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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

始めてのファースト・クラス

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久し振りにアメリカはミネソタ州ロチェスター出張の機会を得て、今シカゴ行きアメリカン航空ボーイング777の機内でこれを書いている。一年で最も寒い時期に、しかも氷点下20度になることが珍しくない極寒の地に出かけるわけだから、島流しのようなものと思われるかもしれないが、1年半近く住んでいた者の立場から言うと、そういった気候もまた懐かしい。だから寒くて辛そうだという思いよりも、第2の故郷に帰るような気分である。

会社の制度が変わって、今年からビジネス・クラスに乗せてもらえるようになった。どこへ行くにもエコノミー・クラスしか認められない時期がしばらくあったので、元通りになったわけだ。かつて入社間もなくて何も知らない若造であったこの僕が、初めての海外出張、初めてのビジネス・クラスにわけもなく感激したのを思い出す。なんと太っ腹なことだったのろう。こんな事をしてくれて、会社は元を取れないんじゃないか、などと密かに心配したものだ。あれから少し年をとってずうずうしくなったので、感激とか心配とは全く無縁である。そして今回は年の始めから運の良いことに、チェックイン時にファースト・クラスにアップグレードしてもらえたのである。思わず成田空港から妻に向けて、「生まれて始めてのファースト・クラスが嬉しいな」とメールを送った。

さすがに座席は広い。横にわずか4列しかないし、座ったままで目一杯伸ばしても僕の短い足では前に届かない。座席が一人分ずつ独立していて、電動リクライニングになっているだけでなく、横に回転させればちょっとしたテーブルがあって、パソコンを置いて作業ができる。密室ではないけれど、各個人の空間が確保されている。アメリカ人仕様に出来上がっているせいもあるのかもしれないが、エコノミー・クラスの座席4~5人分くらいはありそうだ。貸してくれるヘッドフォンもBoseのノイズ・キャンセラー付のやつなので、ラジオなどの音声が非常に明瞭に聞こえる。食事も陶器の皿に一品ずつ熱いやつが出されて来る。いや、生きてて良かった。これなら何時間でも乗っていられそうだ。

しかしながら設備がアメリカ仕様というのは良いことばかりではない。食事用の折りたたみテーブルを引き出すのが一苦労であった。頑丈に作られた鉄の塊を引き上げなければならないので、立ち上がって両手を使わなければならない。個人用のTVを引き上げるボタンも、指で押しただけではびくともしない。手のひらで体重をかけて力一杯押し込まないといけない。そしてTVの向きを調整するにも、ここまで力を入れたら普通は壊れるよな、と首をへし折るように力まないと首を振ってくれない。あと、フライト・アテンダントは英語しかしゃべってくれないし、それよりも何よりも年季が入り過ぎである。つまんないな。

でもやっぱりこの広い空間は捨て難い。そろそろパソコンをたたんで、ベッドで休むとしよう。水平近くになるそうだから、よく眠れるに違いない。

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