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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

サンタさんは今年もやって来る

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12月になったので我が家では例年のごとくクリスマスツリーを飾った。アメリカに住んでいた時に買ったもので、組み立てると2メートルを超える巨木になる。当初はその巨大さを感じさせることなく、リビングの隅におとなしく鎮座していたのであるが、海を越えて日本に到着する間に成長したらしい。狭いマンションの一室で天井すれすれで聳え立ち、例年このシーズンになると部屋の一角が使用不能に陥ってしまう。組み立てて飾りつけを終えるのに2時間近くかかるので、今年あたりは止めようかと妻と話していたのであるが、子供にとってはクリスマス気分を盛り上げるための必需品だし、この巨大さは時々家に遊びに来る友達に自慢するネタでもあるらしい。結局のところ押し切られて、今年も飾ることになった次第である。

そろそろサンタさんにどのプレゼントをねだろうかと思案を巡らせる時期でもある。娘は欲しい物リストの棚卸しをしながら、どれがプレゼントで、どれはお年玉で買う物で、どれは来年の誕生日プレゼントだという具合に計画(皮算用と言うべきか)を立てている。その一方で、そろそろ友達経由でサンタさんの存在について雑音が入り始めているのも事実である。親としては対策を講じなければならない。

まずはサンタさんに、プレゼントは何がよいのか手紙でお願いしなくてはならない。そして、「サンタさんは英語じゃないとわからないから」と、娘のたどたどしい手紙にもう一枚便箋を使って英訳を追加して封印する。そして宛先に「Dear Mr. Santa Claus」とわざとらしく書いて見せ、切手代がもったいないから、「じゃあ後は切手を貼って出しておくから」と預かっておく。フィンランドに手紙を出すのだから、クリスマスイブの1週間以上前に手紙を出そうねと言ってある。そして絶対に見つかるわけにはいかないので、その手紙は実は会社の行き来に使っている鞄の中に入れっぱなしのままである。

そしていよいよクリスマスイブの夜は、サンタさんをお迎えする準備をしなければならない。「あちこちの子供にプレゼントを配って歩くので疲れちゃうから、飲み物とクッキーとをテーブルの上に用意してあげよう」という具合である。そうすると娘が寝ている間にやってきた「証拠」に、ちゃんと翌朝にはプレゼントが枕元に置いてあるだけでなく、飲み物が減っていてクッキーにも手が付いているというわけだ。

ここまで工作しても、うすうすと矛盾は感じるものだ。サンタさんはどこから家の中に入ってきたのか、世界中の子供達に一人でプレゼントを配っているのか、そもそも配る前のプレゼントはどうやって手に入れているのか、等である。「う~ん、わからないな。でも、不思議な事ってあるんだよ。」と言いながら、親にとっても解けない謎があって真剣に悩んで見せるのである。こんな演技がどこまで通用するのかはわからないが、うそをつく方も、うそをつかれる方も、お互いに幸せな気分になれるなんて、この事くらいのものだろうな。

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