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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

風邪を引いたら

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風邪引きのシーズンである。医者に行くと抗生剤をくれて熱が下がるように、ついでに鼻水が止まるように、咳を抑えるように、はては胃が荒れないように、とかで何種類もの薬をもらってくる。情報公開とやらのお陰で説明はしてくれるのだけれど、なんでこんなに必要なんだか釈然としない。大人はまだよいが、子供は苦いだの大きくて飲めないだの、あれこれ文句をつけるので、食事の後がまた一騒ぎになる。

家族でアメリカに滞在していた時に、何度か医者に行ったことがある。System i というコンピュータの開発製造拠点のあるミネソタ州ロチェスターという町で、人口は10万人足らずである。IBMサイトで働いているのは1万人弱、それを上回る1万5千人以上が働いているのがMayoクリニックという病院である。結構有名な病院で、かつてのレーガン大統領が1981年に銃撃されて入院したところなのだそうだ。他にもアラブのお金持ちが大勢のお供と共に、機体にアラビア語が書かれた飛行機に乗ってやってくることもある。きっと何かの療養のためなのだろう。ダウンタウンをアラブの衣装を身にまとった一団が、大名行列のように列をなして徘徊するのに出くわしたりすることがある。そんな時には脇に避けて彼らをやり過ごすと、何故か衣装から原油の香りが漂ってくるような気がした。

Mayoクリニックは大病院ではあるが、当然のことながら大名だけでなく平民(?)でも足を踏み入れることができるし、子供の病気のために、冬場はだいたい月に一度くらいは小児科のお世話になった。中耳炎を併発しかかっていたりすると抗生剤をもらうことになるが、それ以外はどんな市販薬を買えばよいかアドバイスをくれるだけだ。以下は薬学的知識が皆無の僕が、英語をかろうじて聞きかじったものである。

主に勧められたのは子供用Tylenol(タイレノール)であった。チェリー味とかグレープ味とかあるのだけれど、要は副作用の少ない安全な解熱成分として推奨できるのは、Acetaminophen(アセトアミノフェン)とかIbroprophen(イブプロフェン)なのだそうだ。で、タイレノールはアセトアミノフェンを含んでいるので、まずはこれを試すべきである。そして3日くらい続けてみても効果が無ければイブプロフェンを含む薬に切り替える。だから薬の成分には注意を払えとのアドバイスであった。

ついでながら、日米風邪薬の効力を、例えばアセトアミノフェンの大人の摂取量で比較してみよう。アメリカの薬は強力だと言われているが、どの程度のものだろうか。我が家にあった某顆粒薬には、一包あたり300mgのアセトアミノフェンが含まれている。大人は一日3回服用すると900mgである。一方アメリカで売っている錠剤のRegular Strength Tylenolには、1錠あたり325mgが含まれている。大人は一回2錠、4から6時間おきの服用なので、一日8錠だとすると合計2600mgの摂取量となり、日本の3倍近い。間違ってExtra Strength Tylenolなんてのを真面目に服用すると、一日で4000mg(500mg×2錠×4回)にもなってしまう。なんと我が家の常備薬の4.4倍になる。てなわけで、アメリカで風邪薬を買ったら、服用する量はほどほどに控えた方がよさそうである。

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