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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

2006年に初めてやったこと

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大晦日の夕方である。一通りやるべきことはやったつもりになって、あとはのんびりとしていれば、新年があっちからやって来る。今年一年をしみじみと振り返りながら、2006年十大ニュースなんて、無理に順位をつけたり十個も並べたりするのは面倒なので、ITに多少なりとも関わっていて、僕が今年初めてやったことを書いてみよう。

それは某大学院での講義である。僕自身は「System i」というコンピュータの製品企画に携わっているのであるが、もしかしたらまだ「AS/400」という名前の方が通りがよいかもしれない。いずれにしてもこのマシンの認知度が、オフコン市場の風化(というか消滅とか崩壊と言った方が妥当かもしれない)と共に薄れていくことに対する危機感がある。ビジネスが堅調な今から、この製品に対する世間の認識を高めていこう、しかもその対象を社会人ではなく学生を対象にしよう、という活動を進めている。まだ吸収力のある学生であれば、マシン特有のアーキテクチャーだとか価値をすんなりと理解してくれるであろうという期待がある。

僕自身も担当しているコンピュータについてあちこちで説明することが多いのであるが、コンピュータはオープンでなければならない、という要件をよく耳にする。オープンである事によって、他のマシンだとか他のアプリケーション・プログラムと自在にやり取りができるわけだから、その事自体は間違っているとは思わない。ただあえて反論を恐れずに言うならば、「オープンなシステム」とは「オープン・システム(一般的な理解はWindows、Unix、Linuxを搭載したマシンのことだ)」と同義ではない。そしてオープン・システムと言うと、Web2.0だとかAJAXだとか最先端のテクノロジーに目が向けられる傾向があるが、世の中の色々な会社の中で行なわれているコンピュータを使った業務処理というのは、そういった華々しさとは別の次元にあるかどうかには関わり無く、粛々と行なわれなければならない。それは経理だったり、販売管理だったり、生産管理だったりする。こういった領域で求められる価値というのはちょっと違うのですよ、という「異文化の価値」を訴える試みが、大学院での講義だったのである。

あまり観念的になってもつまらないので、「コンピュータに見る栄枯盛衰」というタイトルで、コンピュータの歴史と市場における反応をなるべく具体的に説明してみた。僕の思い込みの説明もあったかもしれないし、1時間30分という限られた枠内に一通りの情報を詰め込んだので、説明が速過ぎたのは今後の反省としたい。ただ帰り際に、聴講していた学生の一人がわざわざ「面白かったです」と声をかけてくれたのには、大いに元気づけられた。

大学での講義は2007年も展開して行く予定である。これまでもどのような講座がよいのか何人かの教授と話す機会があったが、世の中のコンピュータはオープン・システムだけではないことを学生に教えたい、という思いは共通のようだ。大学院の特別講座用に作った僕の資料も次第に拡張・充実させて、まとまったものにして行きたい。当然事前にネタを仕込んでおかなければならないが、それなりに時間がかかるのがちょいとつらい。時間の捻出も2007年の課題かな、とぼんやりと思っている次第である。

てなわけで、皆様よいお年を。

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