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一時的なブームを歓迎しない・・地域ブランディング

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2007年に、世界遺産に登録されたのは、島根県大田氏大森町。通称、「石見銀山」だ。人口500人の過疎の村で、100人もの雇用を生み出している企業がある。石見銀山生活文化研究所だ。衣料品・雑貨ブランドとなっている石見銀山「群言堂」がブランド名で、例えば、私が住む横浜のそごうといった百貨店でもお店を出しているので、ご存知の方も多いかと思う。

昨年、11月 石見銀山生活文化研究所 所長 松葉登美さんに会うために、大森町を訪れたが、大田市から出ているバス(世界遺産となり、観光客が増えてから本数が増えたが、それ以前は1日に数本のみ)から降りると、まさに、昭和初期の街並みにタイムトリップしたようなレトロな建物が並ぶ。

バスが大森町についたのが、まだ、朝の7時台。約束の面談時間が9時30分で、まだ、時間がタップリあった。せっかくだからと大森町で朝の散歩すると、既に、多くの観光客が見受けられて、「さすがに、世界遺産で人気があるな~・・」と感じたことを思い出す。

面談の約束した時間になったので、石見銀山研究所を訪ねると、松葉登美さん自ら出迎えてくれた。本社で、旦那さんで社長の松葉大吉さんにごあいさつした後、松葉大吉さんと松葉登美さんが、長年手掛けた「古民家 阿部家」に案内され、阿部家の一室で約2時間に渡り、お話をいただくことができた。

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阿部家:寛政元(1789)年に創建され、昭和50(1975)年には島根県の文化財に指定された建物。慶長(1601)年に、大久保長安の銀山付き役人としてこの地にやってきた阿部清兵衛の子孫が、代々暮らし続けてきました。空家になり、屋根が剥がれ、床が抜け落ち、建具はボロボロで、室内にも草も生えていて、まるでおばけ屋敷のような状態であったのを買い取り、述べ約10年の時間を掛けて修復し、今では、来客者が食事をし、泊まれるようになるでまになっている。   群言堂の根のある暮らし 松葉登美著 発行者 家の光協会 から引用要約

群言堂ブランドで提供する衣料品・雑貨は、素材作りを日本だけでなく世界にまで行き手掛け、徹底的にこだわった作り方をしている。昨今、ZARA、H&M、フォーエバー21といったファストファッション業者とは、全く真逆の考え方だ。

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また、訳あり品を、年に1度のセールで出しているが、訳あり品を出さない方法を、ある人に、「訳あり品が出たら、作った人の目の前で切り刻む位、徹底すると、品質が良くなる」と言われても、「服や作った人がかわいそうな気がする。多少、柄が違っていても、かえって味があっていいのではないか?」と松葉登美さんは考える。

もともと服のパッチワークからスタートし、ある意味で、多くの古民家を買い取り、パッチワーク(修復)する考え方や生き方そのものが魅力的だ。商品を売っているというより、暮らし方、文化、生き方、考え方を発信している。松葉登美さんが発信する「田舎の豊かさ」「古いものを生かす暮らし」に共鳴するファンがいるから、多少、価格は高くても喜んで買う人が多いのだろう。但し、松葉登美さんと話していると、商品を売っているというより、「ご縁があった人に、着てもらっている」といった感じで、商売のにおいを全く感じない。

長時間に渡り、たくさんのお話をいただいたが、その中で、印象に残っていることを、いくつか紹介する。

「大吉さんが、バス停で目があった青年を連れてきて、雇ってしまったことがある」

今では、東京や大阪といった都会から、優秀な学生が就職したいと来るようになったそうだが、「あなたみたいな優秀な人は、他に就職口があるから、他に行きなさい」と、あえて問題がありそうな学生を採用するという。さすがに、石見銀山を商標登録しておきながら、世界遺産をとった後、直ぐに、市役所に権利を無料で渡してしまう人だけのことはある。

「石見銀山の世界遺産登録で、喜んでばかりはいられない」

松葉登美さんは、デザイナーとしての仕事もあり、海外に行くことも多いという。そして、旅行ガイドブックに紹介されているようなところを訪問すると、人がごった返して、ガッカリすることも多く、石見銀山が世界遺産に選ばれることはいいが、同様に、観光客が訪れて、大森町の良さが失われないか心配だそうだ。

ご自身の本の中で、ブータン政府の例を出しているが、

ブータン政府は、押し寄せる観光客に対し、入国制限を設けました。その代わり、訪れる人にはガイドをつけて丁寧に受け入れ、ホテル代と食事代を含めて1日200ドルを要求するのです。~中略~「ハイバリュー・ローインパクト」つまり、そこに高い価値(ハイバリュー)があるのなら、間口を広げながらも敷居を高くすることで、観光客の数を抑え、自然環境や文化環境への衝撃を小さくしよう(ローインパクト)というのです。~中略~ブータンが有名になったのは、国王が世界に向けて提唱したGNH(国民総幸福)という新たな指標でした。いうまでもなくこれは、GNP(国民総生産)に対する言葉です。世界の大国を診て、経済的に豊かになった国が本当に幸せなのだろうか?と疑問を掲げ、「追及するのは富ではなく、幸せの質ではないか」と世界に問いかけたのです。 

群言堂の根のある暮らし 松葉登美著 発行者 家の光協会 から引用

もちろん、世界遺産登録に向けて、多くの人が尽力したことを考えると、松葉登美さんの考え方を、否定的に捉える人もいるかもしれない。しかし、大森町を心から愛するが上の考え方でもあり、地域ブランディングといった観点からも、一つの考え方であると思う。

お会いした際、JR東日本のエキナカ開発の一環で、昨年度対比成長140%を誇るハンバーガーのM社に代わって、東京のエキナカの出店に胸を躍らせていた。JR東日本の、単に売上だけが目的でない志が高い取り組みにも、エールを送りたいが、是非、一人でも、群言堂ブランド商品に触れてみてほしいと思う。忘れかけていたものを思い出せるに違いない。

群言堂の根のある暮らし―しあわせな田舎石見銀山から
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アマゾンで注文するのもいいが、石見銀山生活文化研究所のホームページから、直接、注文すると、松葉登美さんの座右の銘である「心想事成」が直筆で書かれた本が送ってくる。こうしたちょっとした心遣いも、また、嬉しい。

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