次世代放送推進フォーラム、ロケーションフリーの復活はソニー技術者の根性の賜物、しかし・・・

» 2014/07/22

　ソニーが復活したロケフリサービスに関してハフィントンポスト紙などが記事を載せています。筆者も5月頃からこの動きは面白いと思っていました。

■ 祝　ロケーションフリー復活

2014年3月ソニーからロケーションフリーのサービスが復活しました。スマートフォンアプリ（アンドロイドとアイフォン用TV SideViewアプリ、アイフォン用は4月）の活用により、ソニーのビデオレコーダーから屋外視聴（いわゆるロケフリ）が可能になりました。約7年ぶりの復活です。

仕様は2014年3月に一般社団法人次世代放送推進フォーラム (NexTV-F) が発表したリモート視聴の規格に基づいています。

電波産業会（アライブ）の内部規制によりメーカー各社は、全録（ゼンロク）などは実質的にロケフリ機やロケフリサービスの実施を禁止されていました。それが復活した訳です。

ロケフリを開発し、自ら葬ったソニーさんによって復活しました。兎に角、これは目出度いことだと思います。

但し、電波産業会（アライブ）に属さない米国スリングボックスの代理店やソフトバンクなどからは、既にロケフリ機が販売されていた事実は無視できません。何故ならロケフリ自体は違法ではないからです。（第三者によるビジネスとしてのロケフリ実施は、日本では公衆送信権違反の最高裁判決）

■ 日本の地デジ＝デジタルの仮面を被ったアナログテレビの登場

2004年3月に発表されたエアーボード（初代ロケフリ機）はソニーのヒット作品と言われ、大ヒットであり、大変高い評価でした。しかしロケフリに対する風当たりが強まったのは、アナログからデジタルへの移行が本格的に始まった2006年（43県の県庁所在地および近接する市町村で放送開始）頃からでした。放送業界や著作権を持つタレント事務所などがアナログと異なり簡単にコピーできるデジタルに関して過剰に心配をし、大きな縛りをかけて来たのです。コピーワンス、ダビングテンなど放送コンテンツはサービスでは無くモノとしてとり扱われていました。（モノ支配論理）その一環としてロケフリ裁判が行われ、まねきテレビのサービス会社永野商店などが敗北し、法律違反ではない消費者自身の手によるロケフリ実施も放送業界はメーカーに自主規制（自らのサービス中止）を迫りました。ソニーなど業務用機器を放送業界に納入しているメーカー各社は、それに従いロケフリ機の消費者販売を中止しました。こうして日本の地デジはデジタルの仮面を被ったアナログテレビの側面を色濃く残して実施されました。（IOTの時代、外出先から見られないようなテレビはデジタルテレビではありません）例の昨年起こったパナソニックのスマートテレビのＣＭ拒否事件などがそのおまけです。

それが今回の一般社団法人次世代放送推進フォーラム (NexTV-F) が発表したリモート視聴の規格のよって少し改まりました。

■ テレビなど家電崩壊の大赤字、アップルへの敗北感が社内を動かした？

ハワードストリーンガーＣＥＯから平井ＣＥＯへと時代が変わり、テレビなどの大赤字やバイオ事業の売却、アップルへの敗北が明らかとなり、時代がモノのインターネットやスマート家電への流れの中でソニーにもナスネに代表されるあらゆる家電機器のネットワーク接続の機運が生まれ、ロケフリ派が放送業界支持派を社内で説得したようです。そこで二人のエンジニアが活躍しました。

しかし電波産業会（アライブ）に属さないスタートアップ企業はガラポンテレビなどどんどんロケフリ機を販売していました。IOTは電波産業会（アライブ）の外の企業がリードしてます。従がってソニーさんの努力は飽くまでも放送業界や大手企業の体制内改革であり、いわばプロテスタント系キリスト教の台頭に対抗したカソリックの改革（フランシスコ・ザビエル派）に近い動きです。

しかしこれでガラポンテレビやスリングボックスなどスタートアップ系のロケフリビジネスは格段にやり易くなりました。良かったですねえ。

また日本の放送業界にとっても長い目で見れば朗報だと思われます。

ソフトバンクのロケフリ機である「エリアフリー録画対応デジタルTVチューナー(以前から販売されている・・・）