WWDC2014アップル・クックCEOの再評価とインターネットがモノを動かしモノを作る時代のクラウドサービス
WWDC2014の内容を実現し、成功させれば数年前のアップルのテイム・クックCEOの選定は故ジョブズ氏の「慧眼の至り」と言う事になるでしょう。
■ 評価が変わり始めたクックCEO
モノのインターネットの時代にはアイウオッチなどの魔法は、効果はありますが、アイフォンやアイパッドほど大きな売り上げや利益には繋がらないと予測されています。そうなればサプライチェーン全体で稼ぐしかありません。テイム・クックさんはその役割に最適な人物だったと再評価され始めています。
■モノのインターネット時代の二つのハブ戦略
―サービス基盤ハブiCloud、もうひとつのハブはアイフォンー
WWDC2014でアップルのクラウドサービス(iCloud)に対して大きな変更が発表されています。ドロップボックスやグーグルドライブに対抗したパーソナルクラウドの充実発表、クラウドキットなどのAPIとSDKの充実が目立ちます。
従来はiTunesストアの付属サービスであり「ロッカーサービス主体」だったiCloudがモノのインターネット時代に備えて「モノを動かし」「モノを作る」「モノを測定する」方向に対応し始めています。「アイフォンから始まり、アイフォンに終わるモノのインターネットの導線」を考えれば、真中にクラウドサービスが位置します。従がってこの領域は他社に渡せません。
またヘルスケアのデータは恐らくアイウオッチからアイフォン経由でクラウド処理され、結果がアイフォンに返ってきます。サッカーのコーチの処にも選手の疲労度合はアイフォンに返ってきます。自宅の照明やカメラのオンオフはアイフォンから操作し、アイフォンに結果が返ってきます。アイパッドなどにはアイフォンからコンタクト・シンク(エアードロップなど)で飛ばします。(アイフォンのアクセサリーの役目、10月に出るとされるアイウオッチも同じ)
アップルの場合、セールスフォースドットコムのように「モノのインターネット時代のワークフローが明確」になっています。それをセキュリティ面も考慮して強靭なエンドツーエンドの閉鎖システムで実施し、その周りにオープンなMFI認証プログラムを配置し、数千の機器メーカーを取り込みます。その最初がカープレイであり、将来、セールスフォースなども「モノの操作」「モノの自動製作(3Dプリンターなど)」のアプリではアップルとの連携を無視できなくなるでしょう。
今後はアマゾンAWSのような処理も加えるのでしょうか? 当然、次はビジネス領域です。
お金を稼ぐスマート機器を束ねる中心に唯一大量生産で儲かるアイフォンを持って来ました。(コンタクト・シンク)こうしてアップルはiCloudとアイフォンと言う二つのハブ戦略を明確にしました。
■ ボックスやドロップボックスは跳ね飛ばされるのか?
既に一部の米国テックブログはボックスやドロップボックスの衰退を予想し始めています。ICloudの充実やグーグルドライブ、アマゾンAWSの値下げなどの圧力に耐えられないと言うことのようです。グーグルなどが開始し、アップルも発表した最近の値下げでストアレージが一挙に安いコモデティになりました。単なるクラウドサービスはプラットフォームであり、一つ下のレイヤーですから、ここはアップル、グーグル、アマゾンが譲らないでしょう。特にアップルはスマート機器からスマート機器までのセキュリティや一体的コントロールの保証などが強みです。(これはアンドロイド、アマゾンの弱点です)
■ モノのインターネット時代には魔法使いよりサプライチェーン使いが強い
モノのインターネット時代(M2M対応)に向けてクックCEOは大きく戦略の舵を切り始めました。その中心がクラウドサービス(iCloud)の重視でした。従来はアマゾンやグーグルなど輝くクラウドサービスに注力する企業に対してアップルは故ジョブズCEOによるスマート機器の魔法が光っていました。モノ支配論理からサービス支配論理への移行の中でモノの魔法が弱くなる中、サービスを更に強化しようとしており、その中心はクラウドサービス(iCloud)と言う事になります。
アップルはサプライチェーンに滅法強いクックCEOの下、大量生産できるアイフォン、パーソナル・クラウドサービス(ICloud)、エンドツーエンドのスマート機器の操作(MFI認証プログラムやホームキット、ヘルスキットなど)を抑え、モノのインターネット時代を制覇する戦略のようです。その中心のパズルにICloudがあります。
6月末のグーグルIOと10月のアイウオッチ、アップルテレビ脱玩具版の発表が楽しみです。
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