グーグルグラス最初の「認証アプリ群」はアップルに勝てるか！！？

» 2014/06/17

　バーで禁止されたり「一体何の役に立つんだ！！」とさんざんお笑いのこけ（glasshole）にされているグーグルグラスですが、ヴァージン航空をはじめビジネス利用では少しずつ成果を上げ始めています。ウエアラブルで一体、何をしていいのかわからない消費財領域より、用途が明確なビジネス領域の方が先に市場が立ち上がりそうです。

■ 審査しないグーグルアプリから認証アプリへの戦略転換

グーグルグラスが最初の「認証アプリ群」（“Glass at Work Certified Partners.”）を発表しています。参加はAPX, Augmedix, Crowdoptic, GuidiGOの四社です。(おっともう一社増えています＾＾）

　★★Glass at Work

<出所：グラスアットワーク＞

丁度、アップルのMFI認証に匹敵すると考えられるグーグルグラス「認証アプリ群」です。従来アップルのアップストアでは品質保証を厳格に行っており、アプリには審査が行われていました。一方これまでグーグルは時間のかかるアプリ審査を行わないので有名でした。ここで戦略転換をした訳は一体何故なのでしょうか？

■ ネットサービス型製造業の時代への対処

モノのインターネット時代が到来し、様々なスマート機器から他のスマート機器に司令を送り、動かす、操作する、モノを作る時代が到来しています。

アップルはWWDC2014で21世紀のメーカーの姿（ネットサービス型製造業の形）を世界に示しました。その特徴は系列取引から外部の集合知によるコミュニティ経営とでも表現される手法へのシフトです。照明でフィリップスのＬＥＤ照明やアイビーコンと組んだり、健康管理でナイキのヒューエルバンドと組むなどしてMFI認証プログラムを活用したパートナーのコミュニティを作ってアップルストアでパートナー製品を販売する姿勢を示しています。

一方グーグルは提供するアンドロイドが、メーカーから見ればモジュール部品の無料調達の為、メーカー製品（サムスンやＬＧ、ＨＴＣ、ソニーなどの製品）に関しては保証が出来ません。その結果、アップルのようにＭ２Ｍのサービスでエンドツーエンドの動作保証は不可能でした。その結果、自動車業界などではアップルのカープレイが10社を越える自動車メーカーとパートナーを組んだのに対してグーグルのアンドロイド自動車連合はわずか4社しか参加していません。理由はグーグルの場合、エンドツーエンドの動作に信頼が置かれていない為だと見られています。

それを一歩越えようというのがグーグルグラスの最初の「認証アプリ群」の発表でした。グーグルグラスの場合、アンドロイドはメーカー修正の無い純正アンドロイド（アンドロイドウエア）が使われており、グーグル自身が開発販売するか、少なくともハードウエアからの開発に関与します。

■ ビジネス領域での成功は確実？

サムスンなどにハードウエア製品のリーダーシップを握られているスマートフォン領域では、アップルのMFI認証を真似るのが非常に難しいグーグルもグーグルグラスのような自社開発製品の領域ではアップルのMFI認証に対抗できます。

アップルのヘルスキットに対抗する医療ビジネスアプリの例が下の動画に出ています。その他企業のデータにアクセスできるAPX Labsのオフィスワーカーの為のアプリ、スポーツやエンターテインメント、ビルのセキュリティ管理などのCrowdopticのアプリ、博物館や文化関連の建物で有効なGuidiGoのアプリなどです。確かに人と会話しながらの作業の場合、同時にデータを見るにはグーグルグラスは有効ですね。丁度、立ち作業にアイパッドが有効だったのと同じ見方です。

活用領域が明確な場合、作業の目的がはっきりしている場合には、グーグルグラスの認証プログラムは有効と思われます。四半期に２．５億台売れるスマートフォン市場でアイフォン中心に攻めて来るアップルに比べて、四半期に７０万台出荷されるスマートウオッチよりまだ小さい市場ですが、グーグルグラスでグーグルはアップルに局地戦を挑んでいる構図です。

■ 企業のウエアラブルまとめ買いが始まっている

ビジネス利用の場合、企業グループ保険のフィットビットなどは、ＩＢＭやＢＰなどの企業が一括して買い上げて社員に配っています。グーグルグラスでも企業のまとめ買いが期待できます。グーグルグラスのビジネス利用はアップルに対抗できるかもしれません。