スマート革命とスマートテレビ、スマートテレビの黎明企業ボクシーがサムスン電子に買われた訳
<序文>
2013年にはスマート革命が従来からのスマートフォン、タブレットからウエアラブル、スマートカー、スマートテレビへと拡大を見せ始める中、スマートテレビの黎明企業を支えたボクシーがサムスン電子に買収されました。値段は30百万ドルと見られています。
ボクシーは2010年頃からロクや玩具と自ら揶揄する現行のアップルテレビやグーグルテレビと共にスマートテレビのビジネスを立ち上げたベンチャー企業です。
一方サムスン電子と言えば「スマートテレビと言うコンセプト」を逸早く取り入れた企業であり、デジタルテレビのグル―バルトップ企業です。
何故世界一のサムスンはボクシーが欲しいのでしょうか?
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ボクシーのクラウド録画機
<出所:http://www.digitaltrends.com>
チューナーを内蔵したボクシーのスマートテレビのステイック
ボクシーボックスと共に使用
Samsung's Dumb Plans For Smart TV
サムスンは洗練されたジェスチャーと音声操作の開発に失敗し、追加のボックスを発表CES2013
<出所:Reaqdwriteweb>
<クラウド録画のサービスは中止へ>
サムスン電子はボクシーの買収(テルアビブとニューヨークの45人のスタッフと資産)を正式に認め、同時に7月10日付でボクシーの有料サービスであるクラウド録画を打ちきると発表しています。
今後のボクシーの運命は全く定かではありません。
<ボクシー失敗の本質>
ロクやグーグルテレビ、アップルテレビ(現行の玩具版)との競合の中でボクシーが敗北し、資金ショートに至った理由は幾つかあげる事が出来ます。
ソフトウエア企業のボクシーはメーカーのD-linkなどと組んでスマートテレビ(セットトップボックス)を開発し、2010年末頃から販売しました。
しかしグーグルテレビと同様、インテルのチップを使った為、値段が230ドルや180ドルと高く(アップルテレビやロクは99ドル)、価格競争で太刀打ちできませんでした。
またグーグルテレビと同様、地上波(NBC放送)などの阻止に合い、Huluのアプリも入手できませんでした。アップルやロク、ネットフリックスが粘り強く取り組んでいる放送業界との交渉(エコシステムの成熟の見極め)の能力に欠けていました。
そうこうする内にアップルは13百万セットを販売し、ロクもその半分近い台数を販売しています。
<サムスンの失敗の本質>
これはサムスン電子だけの話では無く、韓国LG電子や日本のパナソニック、シャープ、ソニー、東芝など既存のテレビ業界全体にあてはまると思われますが、NPDの調査などでは購入されたスマートテレビの40%は使われていません。その位操作性などに難があると言う証拠と言われています。
だからサムスンとしてはマイクロソフトのXboxOneの登場やアップルテレビ本格版の登場を控え、ある意味で焦っていると考えられます。
「操作性とデザインに天才的な組織力を持っているアップルテレビの本格版」の登場を前に藁おもすがる思いでボクシーを買ったのかもしれません。
<音声操作の補強なのか?>
番組や映画のサムスン推奨(音声操作)などをボクシーの技術で磨き上げる方向に行くのでしょうが、今後に注目ですね。ボクシーの買収が効果を発揮するのか、それともボクシーのスタッフと資産が浪費されるのかサムスンのお手並み拝見です。