スマート革命とお手軽シフト、インスタグラムビデオの登場はツイッターへの対抗策として効果的か、フェースブック衰退を促進するのか!!?
<序文>
スマート革命が進展し、フェースブックが生まれ育ったパソコン+ブラウザーの世界が次第に小さくなる中、写真メッセージサービスのインスタグラムがビデオサービス(「VideoOn Instagram」)を発表しました。インスタグラムは2012年にフェースブックが10億ドルで買収した会社です。
新しく発表されたビデオサービスの特徴は多様なフィルター付きの15秒の短い動画とかツイッターのヴァイン対抗などと言われています。広告ビジネスを巡るせめぎ合いがその後ろにあります。特にビデオクリップCMが有効な二画面方式のソーシャルテレビの領域ではツイッターに押され気味です。
しかし米国のテックブログなどが指摘しているように「主役はインスタグラムのケビン・シストラム氏であり、フェースブックのマーク・ザッカーバーグCEOでは無かった」と言う点でしょう。
インスタグラムは新たにビデオサービスを提供し、一方フェースブックは企業などから投稿されたビデオの広告プロモーションを行います。判り易く言えば「パソコン中心のSNS=恐竜フェースブックの庇護の下、育ち始めた哺乳類インスタグラムが、フェースブックに広告と言う栄養を補給し始めた」と言う図式でしょうか。
スマート革命で台頭を始めたメッセージサービスも文字中心のツイッターやWhatsappなどからインスタグラムなどの写真のメッセージ、LINEのようなスタンプ=アニメのメッセージ、そして短い動画のメッセージへと広がり始めています。
インスタグラムビデオは若者離れが指摘されるフェースブックの延命に有効なのか、それとも結局、恐竜フェースブックの衰退を促進するのでしょうか?
<出所:テッククランチ>
★★ Instagram Videos Could Spell A Billion Dollars Worth Of Magic For Facebook
★★ Instagram、13種類のフィルタを搭載した15秒間ビデオの共有サービスをアナウンス
★★Instagram Introduces a Moving Experience: Video
主役はインスタグラム創業者のケビン・シストラム氏
<出所:allthingsD>
It's An Ad, Ad, Ad World
How Instagram Videos Will Play On Facebook
<出所:Readwriteweb>
<インスタグラム一億三千万人、ツイッターのヴバインは千三百万人>
2013年1月にツイッターが買収した企業によりバインを立ち上げて以来、参加者数は千三百万人(IOSのみ)、アンドロイド版は2013年6月初に公開されました。一方インスタグラムの参加者数は一億三千万人に上っています。インスタグラムの方は今回の発表でIOS版とアンドロイド版の両アプリが同時に公開されています。
<ソーシャルテレビを巡る広告獲得合戦>
注目すべきは二画面方式のソーシャルテレビ(テレビを見ながらスマートフォンなどでわいがやとメッセージを発する楽しみ方)を巡って参加者数も広告売り上げ(例えばテレビ業界などとの提携数)もツイッターが優っている点でしょう。オープンパブリック、リアルタイムメッセージサービスに特化したツイッターはハッシュタグとプロモーション広告によりこの領域を席捲しています。それにビデオクリップのバインが加わり、フェースブックとの差が広がりました。
スマート革命の特長であるお手軽シフト(カジュアルシフトとシンプルさ)と言う点からは明らかにツイッターが多様で複雑なフェースブックに優っています。
その結果、フェースブックはハッシュタグの導入、インスタグラムにおける短い動画サービスの導入で追いつこうとしています。
インスタグラムの15秒はテレビのスポット広告の15秒だと言う点をお忘れなく。
<ブラウザーの上に全てを載せる多様で複雑なフェースブック文化は衰退する?>
写真メッセージサービスにしてもLINEやWhatsappのようなプライベートメッセージサービスにしても、スマートデバイス上の生活者は「あまり露骨な広告は嫌がり」ます。サービス側は従がって一工夫も二工夫も必要な訳です。
今回もインスタグラム側には広告は無く、プロモーションはフェースブックで行います。と言う事は第三者の例えばLINEなどがインスタグラムと組み合わせて広告売り上げを獲得する可能性もあります。
一方既に上場したフェースブックは一時のマイスペースと同じ状況であり「心地よい環境作りよりも収益第一主義に縛られて」広告獲得で手が抜けません。その結果、若者離れが加速するリスクを負っています。
自社開発した短いビデオサービスポークで失敗したフェースブックですが、インスタグラムビデオで当座は凌げても、大きくは衰退の道を歩むのかもしれません。
元々はスマートフォンの申し子である文字メッセージサービスのツイッターがスマート革命の進展の中「今は上場すべき時ではない」と判断しているのは存外、正しいのかもしれません。さてどうなるのでしょうか?