スマート革命とラジオ、日本民間放送連盟のラジオ委員会、ラジオのデジタル一斉移行(地デジ)を断念、ラジオはインターネットに一斉に移行か!!?
<序文>
テレビの地デジ化を受けて地上アナログテレビ放送終了後、飽きエリアとなるVHF-Low帯はデジタルラジオの帯域として活用されることが予定されていました。これにより2011年のテレビの地デジ同様にアナログラジオがデジタルラジオに一斉に移行する予定だった訳です。しかしアナログのラジオ放送を行なっている民放のラジオ局全体でのデジタル化一斉移行が、合意に至らなかったそうです。設備投資などのコスト(業界全体で最大約1200億円)がかかり過ぎ、それに見合う広告売り上げも得られそうにないなどが理由です。
テレビは地デジに移行し、ラジオは一部を除いて移行しないことになりそうです。(推進派のエフエム東京は予定を一年前倒しで2013年中にV―Lowマルチメディア放送(デジタルラジオ)の本放送を開始するそうです)
ではデジタル=ラジオ地デジに移行しないラジオの運命は一体、どうなるのでしょうか?
★★ 民放ラジオ、デジタル一斉移行を断念
★★ラジオ一斉デジタル化は断念 民放連ラジオ委
★★AMラジオのFM移行と一斉デジタル化断念は迷走?明走への道?
★★ デジタルラジオの予定帯域にITSを移したら?
<NHKも民放も消極的なのは当たり前、だってデジタルラジオ受信機が存在しない>
朝日新聞などの報道によれば民間放送連盟だけでなくNHKもラジオのデジタル化に対して消極的とされています。
確かにラジオの地デジ実施となれば、放送設備や受信機としてのデジタルラジオの一般生活者への普及が必要となりますが、話はアナログテレビの買い替えによるデジタルテレビの購入とはいささか様子がことなります。結局、現実には誰も話題にしないデジタルラジオ用のカーナビの再発明やスマートフォンに頼る以外に解決法が無いようです。(VHF-Low帯はVHF-High帯のNOTTVと同様に対応スマートフォンに頼るのでしょうが、通信キャリアの目線は冷たいですね)
デジタルラジオ受信機に普及の目途が全く経たないとしたら、デジタルラジオ計画=ラジオの地デジ実施計画は絵にかいた餅と言う事になります。
受信機が普及しなければビジネスとして成立しないが、携帯端末に組み込む形で販売しているNOTTVと違って、デジタルラジオには受信機が普及する見通しがまったくない。推進派のFM東京がいくら意地を張っても、失敗は目に見えている。
引用終わり
<結果としてデジタルの皮をかぶったアナログラジオの登場は避けられた!!>
しかしお陰でラジオのビジネスモデルは大きく創造的に破壊されそうです。
結果として地デジで実施された「デジタルの顔をしたアナログテレビの登場」ラジオで言えば「デジタルの顔をしたアナログラジオの登場」は避けられたようです。
ICT革命のような技術革新には地デジ実施のような「技術の入れ替え」だけでは無く、デジタルに相応しいインフラ整備、サービスの提供、新しい視聴スタイルの提案、組織や制度の改変が伴わないとICT革命のような技術革新は効果を挙げる事ができません。テレビの例ですとテレビ放送事業の地デジは「液晶による美しい画面」をもたらしたものの、データ放送などは20%以下しか使われておらず、ほとんど何も変わっていません。放送は真田紐のようなリニアーな番組表の形からほとんど変わっていません。
これは明らかに「デジタルの仮面をかぶったアナログ放送」です。
一方米国ではインターネット上でのネットフリックスの独自番組「House of Cards」が13話を一斉に封切りしており、「新しい視聴スタイル」と広く話題を集めています。(スマートテレビがいよいよ本格普及する時期の到来)
日本のラジオはラジオ版地デジ断念のお陰で「デジタルの顔をしたアナログラジオの登場」と言う愚を結果として避けられるかもしれません。良くいえば地デジと言う中間段階をすっとばす可能性が出て来たという見方も成り立ちます。
★★ Netflix’s Content-Marketing Secret Sauce Is Wrapped Up In ‘House Of Cards’
<進む地デジならぬインターネットへの移行>
判り易く申し上げれば、今後は「ラジオ局は一斉にラジコのようなインターネットをチャネルとした再送信を強化する」と考えられます。これならコストはあまりかかりません。
今回の日本民間放送連盟のラジオ委員会、ラジオのデジタル一斉移行の断念のお陰で、既存のアナログ放送ラジオは次第に先細りになり、やがて消えて行く運命であることがはっきりしました。そうなれば早晩、予定帯域も通信キャリアに奪われてしまう可能性が高いと考えられます。ラジオの地デジ断念により、ラジオは一斉にインターネットに移行し、IPによりセルラーネットワークやWiFiネットワーク、ブロードバンドを通して提供される最新のサービスに生まれ変わる可能性が高いと思われます。そうなれば今後はラジオ局のUstreamやニコニコ動画の活用も一層進むでしょう。インターネット上での再送信は「金のかからない地デジ」であり、パソコン、スマートフォン、タブレット、カーナビなどスマート革命に乗っかれば、ラジオはデジタル移行が達成でき、なお且つ新しいライフスタイル対応やサービス、インフラなどの問題が解消します。
但し、収益源の広告売り上げの行方は全く不透明ですが。電子新聞時に海外で議論された非営利法人化の議論も出て来るかもしれません。
<雨降って地固まり世界最先端ラジオへ!!?>
地デジ一斉移行の断念により、ラジオはインターネット重視の方向に進みます。もしそうなればメデイアの転換ではテレビよりも進んでおり、画期的な事です。
米国衛星テレビ2位のデイッシュネットワークのチャーリー・アーゲン会長は、「衛星テレビの時代は終わった」「今後は通信キャリアのようなワイアレスネットワーク企業を目指す」と言いだしており、極端に言えばIPDC放送、それもインターネット経由を目指す方向を打ち出しています。
今回の民放連の地デジ断念の決定により図らずもラジオのインターネット移行が進むのでしょうか?業界規模は縮小してもそうなれば一部の勝ち組は世界で先端的な動きと言えましょう。
★★Dish Chairman Ergen on Why the Company Needs a Wireless Network, Anyway
テレビはワイアレス通信キャリアに替わるべきと主張する衛星テレビデイッシュネットワークのアーゲン会長
<出所:allthingsD>