エレベーターに乗るとソーシャルシフトの難易度が分かるかもという話
今日、Looopsの斉藤 徹さんの著書「ソーシャルシフト―これからの企業にとって一番大切なこと」が発売になりました。
「すべての顧客接点で素晴らしいブランド体験を提供する」という、企業と生活者との新しいコミュニケーションにどうやって対応していくか、という内容の本なのですが、企業によってその取り組みの難易度に違いがでるんだろうなと思います(そのため、この本では、段階的な以降を書いています)。
一番の障害は、従業員の判断基準が「外部(顧客都合)」にあるか「内部(社内都合)」にあるかというところに尽きると思うんですよね。顧客を基準にものごとを判断する企業は、ソーシャルシフトも容易だと思いますが、社内論理を基準にしてものごとを判断する企業にはいまひとつピンとこないかも知れません。
ということで、まずは、顧客との接点でその会社が「内向き」なのか「外向き」なのかを考え直してみませんか。
そのための簡単な方法が、エレベーターでの応対です。
お客様がエレベーターに入ってきたとき、
・従業員同士でのおしゃべりを控える
・「いらっしゃいませ」と声をかける
・「何回ご利用でしょうか」と声をかける
・お客様が「行き先階」ボタンの前に立っていたときには、その役割を代わる
・お客様がエレベーターを降りるときには「開く」ボタンを押す
やっている会社は当たり前にやっていることでしょうが、意外とできていない会社も多い。また、社員の毎に意識に大きなばらつきがある会社もあるのもあるでしょうね。
お客様が同じエレベーターにいるのに、無視して同僚との雑談を続けているという会社もあるかと思います。
私がそうでしたが、組織が大きくなって分業された企業だと「自分達が担当している仕事の先に顧客がいる」ということをイメージしづらいんですよね。ですので、「顧客」に対するリアリティがなかった。
その状態で、従業員の顧客接点が大きな影響をあたえるようになるソーシャルメディア時代を迎える。そのために何の対策を打つかということだと思います。
ソーシャルシフトというのは、決してFacebookやTwitterなどのSNSをはじめるということではない。
「ソーシャルメディア時代には、一つ一つの顧客接点がブランドに与える影響が著しく増加する」ことを受けて、顧客接点における従業員の行動をどうやってブランドに結び付けていくかということですね。
従業員にしてみれば、これまでは、すでに出来上がったブランドのイメージにしたがって行動するというので、楽だったのですが、これからは、自分の行動でブランドのイメージが大きく変わってしまう。ということです。
顧客接点についてもう一度考え直すきっかけとして、まずは、社内のエレベーターの応対から、振り返ってみてもいいんじゃないでしょうか。
(photo: Animal's Contact / ShironekoEuro)