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「DVDを買うと、VODが無料で付いてくる!」キャンペーン、米Amazonが開始

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大げさに言えば、「メディアではなく、コンテンツにお金を出す時代」、あるいは「メディアから解放されるためにお金を出す時代」の到来を告げるもの、と捉えることができるかもしれません。米 Amazon.com が、「DVDを買うと、その作品をすぐにVOD(ビデオオンデマンド)で観ることができる」というキャンペーンを始めています:

Buy a DVD on Amazon; Start Watching the Movie in Minutes (NewTeeVee)

その名も"Disc+ On Demand"というサービスについて。現在のところ、対象となっている作品はごく限定されたもので(こちらのリストで確認できますが、現時点で313作品)、サービスを受けられる期間も限定されるようですが、それでも画期的な取り組みであることは間違いないでしょう。気が早いですが、Amazon は電子ブックリーダー"Kindle"も持っているわけですから、「(紙媒体での)本を買ったら Kindle 版もプレゼント!」なんてプロモーションが始まってもおかしくありません。

となると、私たちはいったい何にお金を払い、Amazon(あるいは出版社や流通業者)はいったい何に課金していることになるのでしょうか?普通の見方をすれば、これは「VODをフリー(というよりオマケ)にして、フィジカルなDVDというメディアに課金している」ということになります。しかし考えようによっては、1回お金を払うだけで様々なメディアであるコンテンツを楽しむことができるわけですから、「コンテンツそのもの」もしくは「コンテンツをメディアから解放する権利」にお金を払っていると言うこともできるでしょう。もしくは、「今すぐそのコンテンツを楽しみたい」というニーズを満たす、つまり時間的な制約を逃れるためにお金を払っているのだ、ということになるかもしれません。

いずれにせよ今回"Disc+ On Demand"は、コンテンツとメディアの関係とは何か、そしてそこに生まれる(課金可能な)価値とは何かを考え直す、もう1つの契機になるのではないでしょうか。約300タイトルだけ、しかも期間限定などと言わず、どんどん対象領域を拡大していって欲しいものです。もちろん先程の妄想したような「紙版を買うと電子版も付いてくる」的なサービスもね。

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