「雪国なう」――140文字で古典文学を?
こちらは今年9月に報じられていたニュースですので、ご存知の方も多いかもしれませんが。米国に住む19歳の学生2人が、古典文学を Twitter に置き換えるというアイデアを生み出し、近々本として出版されることになっています:
■ Classic works get Twitterature treatment in new book (Guardian)
紹介されているのはこちらの"Twitterature"という本。読んで字のごとし、「ツイッター」と「リテラチャー(文学)」を合成した造語ですね。
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「Twitter と文学」と言うと、日本でも内藤みかさんらが #twnovel というハッシュタグをつけて、140文字で物語を書くという試みを行っています(内藤さんご自身による #twnovel のまとめはこちら)。こちらも11月5日に『Twitter小説集 140字の物語』という形で出版されることになっていますが、"Twitterature"は若干趣向が異なります。全く新しい物語を書くのではなく、『若きウェルテルの悩み』や『白鯨』などといった古典を、Twitter スタイルに置き換えてしまおうというもの。例えばシャーロック・ホームズ(!)がこんなツイートを書いています:
Continuing investigation. Made brilliant deductions on many snorts and very little evidence. Notice salt deposits on factory owner's shoes?
捜査なう。証拠はほんの少しで、酒飲んでばっかだけど推測してみた。工場のオーナーの靴に塩分がついてたの気づいた?
どの作品の一部なのか分からなかったので、この訳で合っているかどうか分かりませんが、くだけた言葉が使われているのが分かるでしょうか?そう、単に原作を140字で細切れにするのではなく、まるでホームズ(やその他の作品の登場人物)が現代人として生まれ変わり、私たちと同じ感じで Twitter を使ったら?というイメージで書かれているわけですね。
この発想、古典文学を身近な物にしてくれるという評価がある一方で、「ふざけ過ぎ」という批判もあるようです。うーん、これが文学や現代人の教養(?)にどんな影響を及すかはまだ分かりませんが、少なくとも日本では「まんが古典文学」のような存在は珍しくありませんよね。その意味では、日本でやった方がウケるアイデアかも。例えば、
「トンネルを抜けたら雪国なう」(『雪国』の冒頭)
とか、
「@king 爆発しろ!」(『走れメロス』の冒頭)
とかね。いや、これだと悪ノリし過ぎですね……ごめんなさい。
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