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「おばあちゃんの知恵袋」化が進む Twitter

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Twitter が提供してくれる価値には様々なものがありますが、質問に答えてくれる人がいるというのもその中の重要な一部でしょう。単純にフォロワーの数が多かったり、あるいは活発なコミュニティとつながっていたりすれば「~について知っていたら教えて」と書き込むだけで十分に多くの答えが返ってくると思いますが、それをシステマチックに行ってくれるサービスが登場したそうです:

Service uses Twitter to crowdsource ideas overnight (Springwise)

オーストラリアの Ideas Culture という会社が始めた"Ideas While You Sleep"(あなたが寝てる間にアイデアが)というサービスについて。午後4時までにお題を提出すれば、翌朝10時までにいくつかのアイデアとその評価、実行計画まで作成して提出してくれるというもの。そのアイデア出しの部分で活用されているのが Twitter で、Ideas Culture 社が契約している世界8カ国・200名以上の個人エージェントにお題を提示・彼らがアイデアを投げ返すというプロセスで使われているとのこと。要は Twitter ベースのクラウドソーシングサービスなわけですね。

クラウドソースで問題に対する解決策を考えてもらう、というサービスについては、既にイノセンティブのように具体的な事例が登場しています。今回の Ideas Culture は規模は小さいものの、Twitter 版イノセンティブとも呼べるような存在であり、その意味で成功する可能性は小さくないでしょう。欲を言えば、もう少しエージェントの数が多いと確実でしょうが。

これは有料サービスで、より組織化された形で Twitter の情報伝達力を活用している例になりますが、一方で個人が自発的に質問に答えるという形でも Twitter のデータベース化は進んでいくと思います。前述の通り、質問を書き込めば誰かが反応してくれる(あるいはRTを経由して答えを知っている人とつながる)というケースが既に驚きではなくなりつつあります。また Twitter 検索を使って、新しすぎてまだどのサイトにも載っていないような情報をつぶやきから拾い出すという利用をしている人も多いでしょう。タイトルに「おばあちゃんの知恵袋」という表現を使ってしまいましたが、まさにそんな「困ったときにいつでも頼りになる存在」として定着する可能性があるのではないでしょうか。

一方で、仮にこの楽観的な予言が実現した場合、「最近の若いもんはすぐに答えを Twitter で聞いてばかりで困る!」なんてことになるのかな、と妄想しています。Google 脳ならぬ「Twitter 脳」なんて言葉が生まれたりして。個人的にはそんな状態は、社会全体として個人の知識を共有・活用することだと思うので、頭から悪いことだとは思わないのですが……ともあれ、知識とは何か、どこに存在すべきかということが今後も議論の的になっていくのでしょうね。

【○年前の今日の記事】

分析力が武器なのではない『分析力を武器とする企業』 (2008年9月7日)
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