オルタナティブ・ブログ > シロクマ日報 >

決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

「Twitter でつぶやいたら、ニューアルバムからの一曲を無料でプレゼント!」

»

またまたお知らせです。全4回シリーズでお届けしている「企業と Twitter の向き合い方」、第3回・第4回が今日・明日で公開されます。ご興味のある方、ご確認いただければ幸いです:

企業とTwitterの向き合い方:Twitterマーケティングの成功事例を分類する【前編】 (ITmedia エンタープライズ)

*****

さて、今日も今日とて Twitter ネタですが。ちょうど Twitter マーケティングの事例にもなりますので、ちょっと紹介しておきましょう。

Twitter で何かをプロモーションする。そのためには、大勢のフォロワーを得なければならない。それは事実だけれど、迂回策もあって――というのが「企業と Twitter の向き合い方」の第2回のテーマでした。思わず「なるほど!」と唸ってしまうユニークなものから、「これはグレーゾーンだな」と釈然としないものまで、様々なテクニックが登場しています。今回ご紹介する事例は……どちらかというと、後者に属するものかもしれません:

Download a FREE MP3 from the NEW album for just one tweet

Jack Johnson というアーティストが、ニューアルバムのプロモーション用に設置してあるサイトです。アクセスすると、以下のような画面が表示されると思います:

JJ_1

どうやら10月27日に発売されるアルバムのようですが、画面中央部にはこんなメッセージが書かれています:

Twitter で友だちに(ニューアルバムのことを)つぶやいてくれれば、アルバムからMP3で1曲プレゼントするよ!

といった内容ですね。で、その下にはどうやら Twitter にそのまま投稿できるとおぼしきメッセージ欄が表示されていて、自動的に挿入されるメッセージに加えて、自分で考えた文章も追加できるようになっています。ちなみに自動挿入される文章は以下の通り:

Download a Free Mp3 from the new Jack Johnson Album En Concert from @brushfire records here http://bit.ly/jackmp3

Jack Johnson が @brushfire レコードから発売するニューアルバム"En Concert"のMP3を、1曲無料でダウンロードしよう。URLはこちら:http://bit.ly/jackmp3

こちらに自分の言葉を加えて、画面最下部にある"TWEET THIS"ボタンを押すとこうなります:

JJ_2

一部ですっかりお馴染みなってしまった、OAuth による認証画面です。メッセージの投稿を行うということで、「読み」権限だけでなく「書き」権限の承認も要求されていますが、これは Jack Johnson の良心を信じて、許可してしまいましょう。

すると自動的にダウンロードが始まり、僕の場合は"Flake"という曲が手に入りました。そして僕の Twitter アカウントを確認したところ、以下のつぶやきが追加されています:

JJ_3

ご覧のように、日本語部分は文字化けしてしまいましたが、先ほど自分で入力した文章+自動挿入される文章が一緒になって投稿されていました。で、このメッセージを見た他の人々が、上記のサイトにアクセスして(その方に興味があれば)同じ事が繰り返されると。

というわけで、Twitter と OAuth を使って「アルバムから1曲プレゼントする代わりに Twitter で宣伝メッセージをつぶやいてもらう」という仕組みを実現しているわけですね(ついでに Brushfire Records の Twitter アカウントの宣伝にもなると)。倫理的にどうかという話はともかく、Jack Johnson や Brushfire Records のアカウントだけで宣伝しているよりも、はるかに多くのつぶやきを生み出すことができるでしょう。

しかし問題になるのは、まさにその倫理面かもしれません。別にお金を渡されるわけではありませんが、何かと引き替えにメッセージをつぶやくという行為について、否定的な感情を抱く人も多いでしょう。また逆にプロモーションが上手く行きすぎてしまい、「ダウンロードしよう!」というメッセージでタイムラインが埋めつくされるなどということになったらどうでしょうか。ニューアルバムの認知度は上がっても、アーティストのブランドに傷が付くという危険性は高いはずです。結果を見てみなければ何とも言えませんが、少なくともリスクの高い手法のように感じます。

とはいえ Twitter でフォロワーを築くのは簡単な話ではありませんから、「臨時雇いのセールスマン」を得るという手法も、手を変え品を変え登場してくると思います。「新しい本が出版されます!宣伝メッセージをつぶやいてくれたら、第1章のPDFを無料プレゼント!」なんてね。

Comment(0)