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「女性向けゲーム」はいらない

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「ピンクの発想」。以前のエントリで触れた言葉ですが、それを久しぶりに思い出しました:

ビデオゲーム業界が狙いを付ける「女子ゲーマー」 (ITmedia News)

今や米国のゲーマーのうち、38%を女性が占めている。若い女性はゲーム業界にとって「金貨の詰まったつぼ」とも言われ、各社はこの層を狙っている。

ということで、日本の話ではないのですが(既に日本のゲーム業界は、女性を強く意識しているように思います)。米国でもゲームをする女性が増え、ゲーム業界が女性向けゲームの開発に力を入れ始めた、という話。2年前はこんな状況だったのですから、女性ゲーマーにとっては歓迎すべき状況といったところでしょうか。しかしどうも筋違いのメーカーも多いらしく、

女性によるゲームレビューサイトGrrlgamers.comのマネージングエディター、ディディオ・カルドーソ氏は、女性向けゲームはピンクの箱、ファッション、料理、赤ちゃん、化粧といったトレンドが見られると語る。「女の子の世界はもう少し広いと思う」

 Nintendo World Storeで9月12日に16歳の誕生日を過ごしたサットンさんは、料理、ファッション、赤ちゃんの世話にフォーカスしたゲームは自分をおとしめると話す。彼女の好きなゲームは格闘ゲームの「大乱闘スマッシュブラザーズ」、レーシングゲームの「マリオカート」、農場シミュレーションの「Harvest Moon」などだ。

とのこと。ステレオタイプな女性像を描き(ex.「女の子はピンク色が好きだろう」)、それに沿って商品開発を行ってしまうこと(ex.スペックはそのままで「ピンク色バージョン」を発表する)が「ピンクの発想」の定義ですが、それが逆効果になる危険もあることを『女性に選ばれるマーケティングの法則』は指摘しています。上で引用したサットンさんの言葉はまさにこの通りで、「女性だから育児ゲーム?ふざけんな!」という感じなのでしょう。

最近オルタナティブ・ブログで栗原さんが「“用事”モデル」について触れられていましたが、

さて、この「用事」モデルのポイントですが、市場を分析する時に顧客の属性(年齢、性別、年収等)にフォーカスするのではなく、顧客が解決したがっている「問題」、そのような問題が発生する「状況」、そして、そのような問題を解決したがる「理由」にフォーカスせよという点です。

という解説の通り、顧客の属性のみにフォーカスして商品/サービスの開発を行うと、大事なものを見失ってしまう危険があります。今回の事例でも、「女性向けゲーム」などという言葉で考えてしまった瞬間に、例えばホラーゲームやシューティングゲームなどは頭から除外されてしまうでしょう。ところが女性達だって、カップルやグループで肝試し・お化け屋敷を楽しむことがあったり、ストレス解消にカラオケで熱唱するということがあります。その状況に、ゲーム機やゲームソフトはどのような形で価値を提供できるのか――それを考えなければならないはずです。

その意味で、「女性向けの」ゲーム開発を行うのではなく、「結果として女性にもウケる」ゲーム開発を行うのが筋なのでしょうね。考えてみれば、実はそれは女性にとってだけでなく、男性にとっても楽しいゲームが増えるということを意味するのではないでしょうか。どうか「ピンクの発想」を避ける形でゲームの女性市場への進出というものが進んで欲しいと思います。

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