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語れるウヰスキー

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企業向けシステムの世界で働いていると、大っぴらに語れる話というのはそう多くありません。そして大っぴらに語られる場合というのは、(最近某銀行であったように)良くないことが起きた時だったりします。そんなわけで「語れる商品」というものがある仕事の人を羨ましく思ってしまうのですが、昨夜参加したこのイベントでも、そんな羨望を感じまくりでした:

シングルモルト余市・ブロガーミーティングのお知らせ (Agile Media Network)

ニッカウヰスキーが製造した「シングルモルト余市1987」がワールド・ウイスキー・アワード(WWA)2008で世界最優秀賞「ワールド・ベスト・シングルモルトウイスキー」を受賞したとのことで、その開発秘話を聞きながら、すでに販売が終了しているこのお酒をテイスティングできるという夢のような(?)イベントでした。

シングルモルト余市1987

解説していただいたのは、チーフブレンダーとしてシングルモルト余市1987の開発にあたった久光哲司さん。コンセプトや開発にあたっての苦労、受賞の喜び、またブレンダーという仕事・ウイスキー作りという仕事の裏側をお話し下さいました。実は1987年という年、久光さんのお嬢さんが生まれた年とのことで、お嬢さんのイメージと重ねながらブレンドされたのがシングルモルト余市1987だったとのこと。世界最優秀賞という偉業を成し遂げたこの一品を、久光さんもご自身で購入してお嬢さんに差し上げたそうなのですが、残念ながらその価値を分かってもらえず。今は部屋の片隅に追いやられているそうです……

僕も娘の父親としてお気持ちが痛いほど分かり、思わず目頭が熱くなったほど(酔っていたからという話もあり)。だからという訳ではないのですが(もちろん非常に美味しいウイスキーでしたし、仕事に傾ける情熱というものにも感銘を受けました)、一層このウイスキーに親近感を覚えたように感じます。まさかお酒のイベントに出て、その味以外でここまで文章が書けるとは思ってもみませんでした。しかしそれだけのストーリーがあったからこそ、社内・社外問わず大勢の人々を魅了し、世界的な賞を受賞するに至ったのかもしれません。

シングルモルト余市1987とニッカウヰスキー創業者・竹鶴政孝もちろん様々な理由で、自分の仕事を語れないという場合もあるでしょう(冒頭で述べたように、僕もそんな人間の一人です)。しかし関係者の間だけでも、後からポジティブな想い出話ができるような姿勢で仕事をすること、それが魅力的なモノ/サービスを生み出していくことにつながるように感じます。それを語る人々を見ていれば、モノ/サービス自体には一切触れずにいても、だいたいその中身が分かってしまうものですしね。

ということでお嬢さんには理解されなくても(?)、やっぱりこんな魅力的なウイスキーを生み出す経験をされた久光さんが羨ましいなぁ、と強く感じてしまった次第でした。

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