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修学旅行とWEB2.0

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実はまったくの初耳だったのですが……奈良県が「修学旅行ブログ」なるものを開設していたそうです。修学旅行中の思い出を書き込める、というブログなのだそうですが、残念ながらまったく利用者が集まっていないとのこと:

奈良の「修学旅行ブログ」、利用は1年でわずか3校 (Sankei WEB)

修学旅行で奈良を訪れる生徒数の落ち込みに歯止めをかけるため、人気回復策として始められたのが「修学旅行ブログ」だそうです。奈良県という公的機関が運営するサービスなのに、開設後1年で利用したのは3校だけ……いったい何が悪かったのでしょうか。県の観光課は、以下のようにコメントしています:

「教員が学校単位で申し込まなければならない煩雑さのほか、年配の教員にはブログよりも活字の印刷物の方が目にしやすかったのが原因ではないか」

なるほど。ブログ開設申し込みフォームを確認してみましたが、確かに学校単位で申し込まなければならないということに加え、日程や宿泊予定ホテル名、行き先まで入力必須になっています。これではちょっと敷居が高く感じられたことでしょう。しかし「年配の教員にアピールできなかった」という点には疑問が残ります。僕の父は小学校の「年配の教員」でしたが、教育現場でのPCやネットの必要性を感じていましたし、また現場には僕らと同じ年代の教員も多いはずです。「1年で3校だけ」の原因は他にもあるのではないでしょうか。

そう思っていろいろ見てみたところ……開設者向けのログイン画面に、こんな一言がありました

IDとPASSを入力してログインボタンをクリックして下さい。
自分の学校のブログを見ることができます。(旅行期間内のみ)

「旅行期間内のみ」!?あぁ、だから日程が入力必須になっていたのですね。しかも「開設申込フォームにて指定した旅行日程の初日が来ると、自動的にブログが開設されます」とのことで、事前の書き込みは不可能なようです。しかし本当に旅行期間しか見れないのかな、と思って詳しい規約を確認したところ、こう書かれていました:

旅行期間に設定した期間中、ブログの書き込みや管理ができます。日付は間違いの無いようご確認下さい。
ブログは旅行期間終了後3ヶ月間閲覧することができます。

あぁ良かった、3ヶ月は保存してくれるんだ……と一安心、なわけはありません。しかも書き込み・管理ができるのはやっぱり旅行期間中だけのようですから、これじゃ申し込みが集まらなくて当然ですよね。ということで、ブログというものを理解していなかったのは、学校関係者ではなく奈良県の関係者のようです。

と、奈良県の「修学旅行ブログ」は残念な結果となってしまいましたが、「修学旅行に WEB2.0」という発想自体は良いのではないでしょうか。準備の様子や旅行中の行動をブログに書き込む、というのは面白そうですし、プランニングには Wiki が使えるかもしれません。また観光地のウェブサイトや関連ニュースページを校内ブックマークでまとめ、生徒の中で人気のある観光スポットを見える化する……なんてこともできそう。「この大仏を観た人は、こんな寺院も訪れています」なんてレコメンデーション、は難しそうですが。

いずれにしても、こういった学校行事は「学校で WEB2.0」の良いきっかけになるかもしれませんね。実は表に出てきていないだけで、自社(自校)サーバたてて校内専用ブログやSNS、Wiki を実現している先生も少なくないのではないかと思います。

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