「人は働くために食うものだ」
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去年思い切って、もう読まないだろうと思う本は一気に処分した。手元に残った本の著者は、とても偏っている。宮本常一、網野善彦、塩野七生、高坂正嶤、鈴木大拙... あとは古典ばかり。
一方手元に残った本は、繰り返し読み返すことにした。今は宮本常一の「塩の道」の番。彼が、山地に住む人の食生活について語るところを少し抜粋。
「...それではなぜ山間に多くの人が住んで、そしてそういう米以外のものを食物にして生活をしたのかというと、人間は食うためにだけ働いているのではなくて、働くために食うものだということです。
働くために食うということになりますと、そこにどういう仕事があったのだろうか。たとえば木工があります。木を細工する。その木工のような仕事もいろいろある。椀を作り、盆を作り、屋根板を作り、鍬柄を作る。あるいは漆をとり紙をすく、というように人間にとっては、やりがいのある仕事がいくつもあったわけです。...」(「塩の道」講談社学術文庫 P. 132)
企業が何を作っているかというのは二の次で、どれだけ儲けているかともっぱら$
数字を追う経済ニュースを毎朝観ている身にとって、この文章はとても新鮮に聞こえる、のです。
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