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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

武士も博打打ちも陰陽師も遊女も「芸能」だった時代

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このところ読書がおろそかになっていたので反省。

やっと、網野善彦著の「蒙古襲来」を読了。

中学校の歴史の授業では、二度とも「神風」が吹いて日本は救われた、程度にしか習わなかったような。でも、蒙古の世祖は三度目の遠征を計画し、長期にわたり日本に重圧をかけていたのだという。蒙古が実際に攻めて来た時には、防戦した人々も多く命を落とした、という事実も、私の「歴史」からは欠落していた。

もっと驚いたのは、当時「芸能」と呼ばれる職種は、今よりもっと広かったということ。武士、歌人、巫女、遊女、博打打ち、絵師、等々、広く「芸能」と理解されていたらしい。この本では、蒙古襲来の後、後醍醐天皇の旗揚げから鎌倉幕府滅亡に到るまでの頃に、このような幅広い職人観が変化し、現代につながる差別観が生まれて来たという。

また当時は、女性も相続権が広く認められていた。女性の地位は、鎌倉時代以降明らかに低下していった。

何の根拠もなく、歴史とともに社会は進化していくものだと思っていた、私の勝手な「常識」を、この本はまたことごとく覆してしまった。つくづく、自分の「常識」=無知は世間の非常識なのだ、と感じた次第。



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