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元証券アナリスト、前プロダクトマネージャー、既婚な現経営者が、日頃の思いをつづります。

終身の上院議員

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先日100歳を迎えられた、イタリアのノーベル医学賞受賞者のRita Levi Montalciniさん。彼女が所長を務めるEuropean Brain Research Instituteのウェブサイトにある、Montalciniさんの紹介ページ。その最後の行に興味を覚えた。

"In 2001 she was appointed Senator for life of the Italian Republic."

「2001年、彼女はイタリア共和国の終身上院議員に任命された。」

え? 終身上院議員(Senator for live) なんて制度がいまだに存在するの?

イタリア議会のページには、以下のような説明がある。

"In addition to elected members, the Senate also includes life senators - who are appointed by the President of the Republic "for outstanding merits in the social, scientific, artistic or literary field" - and the former Presidents of the Republic, who are ex officio life senators."

「選挙で選ばれた議員に加え、上院には終身議員も含まれる。終身議員は、『その社会、科学、芸術、文学の分野における優れた貢献により』共和国の大統領が任命する。また、大統領歴任者も終身議員となる。」

Wikipediaによると、2009年現在7名の終身議員がおり、議決権も選挙で選ばれた議員と変わらないらしい。

選挙による議員数315に比べて少ないので、その影響力はさほど大きくないだろうと思っていたが、Natureのサイトによると、2006年には彼女の一票が政府の科学関係予算の結果を大きく左右することになったとある。

最近の選挙はどこの国でもお金がかかるし、選挙活動中は肝心の政治をほっぽり出さざるを得ない。票を確保するためには特定の利益団体の支援を得なければならないし、そのためには何らかの妥協も迫られる。一方、Mandalciniさんのような人物を終身議員に迎えれば、余計な打算を越えた視点での決断を仰げるだろう。

こういった制度も、バランスの取れた政治のためには有効ではないかと思った。

Mandalciniさんの100歳を祝うイベントのニュースをYoutubeで見かけた。言葉はわからないけれど、その矍鑠とした話し方に、脱帽です。

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