忘れられない本:「忘れられた日本人」
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宮本常一著の「忘れられた日本人」を読み終えた。
網野善彦がその著書で百姓は農民と同義ではないことを教えてくれた。その網野氏が師とも仰ぐ宮本氏のこの本は、かつて日本の村の寄り合いでは、郷士も百姓も区別なく、大変民主的に事が決められていたことを教えてくれる。
他にもこの本が昔の日本の村について教えてくれるのは、
- 名主は一軒一軒順番になる村もあった
- 夜這いに関しては大変寛容だった
- 結婚は本人同士が決めたあと、親は大抵後から承諾したものだった
- 若い娘は世間を知るため、嫁入り前に長旅に出たものだった
- 文字を知った人は、その知識を、村人の暮らしが楽になる為に用いた
- 著者の祖父は「納得のいかぬことをしてはならぬ」という信条を生涯通した
etc......
日本各地をくまなく歩いた著者の一番知りたかったことは、「今日の文化をきずきあげて来た生産者のエネルギーというものが、どういう人間関係や環境の中から生まれ出てきたかということである。」
日本という国には、まだまだ忘れてはならないことがたくさんあるようです。
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