日本を離れてはじめて生花を習いました
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大学時代、下宿先の大家さんはお花の先生で、習っているクラスメートもいた。母も「お花くらいは習っておいた方がいいんじゃないの。」と勧めたが、私の答えはノー。「お茶だのお花だの、花嫁修業なんか無用の長物。私はキャリアウーマンを目指すんだから。」
まー、何て突っ張っていたんでしょう。
シアトルに転勤して数年経ったある日、日本への出張時に本屋でふと手にしたのが、なぜか「初めての花の生け方」(監修:勅使河原宏、成美堂出版)だった。
花と器とで作り出す三次元のグラフィックアート。自然の産物を用いながら、自然ではあり得ない組み合わせの結果、美しい空間を生み出す...生花って、とってもクリエイティブで面白いじゃない。本を読み終え、シアトルに戻ってきてすぐ、ダウンタウンにある日本総領事館のオフィスを訪ねた。「あの、近くでお花を教えている方を紹介してください。」
通勤途中のマーサーアイランドで、草月流を教えておられる箱守先生に、こうして巡り会った。こんな素晴らしい芸術を、日本を離れて初めて知るなんて、何たる皮肉.....
でも日本を離れなければ、あの頑固な偏見を捨てて、素直に生花の魅力を認めるなんて機会は、私には多分おとずれなかったのだろう。
これを人生の回り道というなら、これからも幾度も人生の回り道を経験するんだろうな。いや、こんな回り道こそが私の人生そのものなのかも知れない。
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