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アクティブサポートのとてもシンプルな秘訣と、その秘訣を「突き抜けて」実践した心温まる優良事例4選

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Customer_service

"アクティブサポート"という言葉をご存知でしょうか。先日発売したばかりの Twitterアクティブサポート入門 という書籍の著者である河野武さんとお会いしたのですが、日頃から使うようになっていたこの言葉を日本で初めて言い出したのはおそらく彼だということを聞き、改めてこのアクティブサポートについて考えてみました。

アクティブサポートとは、いわゆる従来の顧客サポートとは違うものです。メールや電話で問い合わせを受け付けてからそれに対応するのではなく、疑問や不安・不満を抱えている生活者をソーシャルメディア上で発見し、企業が能動的に問題解決を図るもの、それがアクティブサポートだと言えるでしょう。イメージしやすい例では、昔から「ブログに書評を書いたら、著者からコメントが返ってきた」という話はよく聞きますが、そのメインステージが今ではTwitterに移り変わってきているのだと思います。

傾聴するだけではなく、アクティブサポートによって「どこが」「なにが」といった具体的な意見を聞き出すことによって、離反直前の顧客を見つけ、その離反を未然に防ぐことができます。商品やサービスの改善のヒントを得ることもできます。結果として、顧客とのつながりを資産化することができるようになります。ソーシャルメディアの普及によって、これまでは声として認識されていなかった、いや認識できなかった生活者の疑問や不安・不満などを発見することができるようになったことは、企業のマーケティングを大きく変えたはずです。顧客接点の一つとして、アクティブサポートは大きな力を発揮することは間違いありません。弊社ループス・コミュニケーションズCEOの斉藤のブログで、ソフトバンクモバイル社の取り組みを詳細にインタビューしていますので、よろしけれはそちらもぜひ。

<参考記事>
日本最大規模のTwitterアクティブサポート、ソフトバンクSBcare。運用ノウハウを公開 http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2011/02/sbcare-0083.html


海外では、ザッポス・ベストバイやコムキャストなどがアクティブサポートの有名な企業だと思いますし、身近な国内企業だと、上記ソフトバンクモバイル( @SBCare )やブックオフ( @bookoffonline )・NAVER( @naver_jp )・UQコミュニケーションズ( @UQ_WiMAX )・シダックス( @KARAOKE_SHiDAX )などが挙げられます。他にも中小企業でもアクティブサポートを実践している企業は数多くありますが、そのほとんどは、マーケティング担当者が熱い想いを胸に、ボランタリーで始めているケースです。個人に依存しないためにも、理想的にはソフトバンクモバイル社のようにコールセンターの形でやる体制を構築した方が良いはずですが、正直なところ難しいというのが多くの企業の現状でしょう。

customer services shoot

TwitterやFacebookを利用するだけであれば無料ですが、それを運用してアクティブサポートを実践していくためには、相応のコストがかかります。ほとんどの場合、最もコストがかかるのが人件費や、担当者が専門的な知識を得るための教育費ですが、河野さんの Twitterアクティブサポート入門 は、1冊を読めばアクティブサポートを実施できるようなハウツー本で、僕自身もあっという間に読んでしまいました。アクティブサポートの特徴や効果といった基本的な知識から、運用のガイドライン作り、モニタリングすべきキーワードの選定方法、アクティブサポートでの利用に役立つサービスやアプリケーションの紹介まで、かなり具体的に解説してくれています。アクティブサポートの実践を考えている企業担当者の方には強くオススメする1冊です。



では、今回のブログ記事のタイトルにもさせていただいた、アクティブサポートのとてもシンプルな秘訣とは何なのでしょうか。"生活者の期待を超えること"、シンプルですが、これに尽きると僕は思っています。米ザッポスのコア・バリューの言葉を借りれば、”Deliver WOW Through Service(サービスを通じてお客様にWOW!を届けよう)”と言えるでしょう。そしてこの言葉は、弊社ループスのコア・バリューの一つでもあります。

■ザッポスのコア・バリュー(19ページ目)


コールセンターでは「クレームは最大のチャンス」と言われます。アクティブサポートをきっかけとして、生活者の不満への対応を的確に行い、期待を超えることができれば、その生活者からの信頼がまるで変わってきます。解決すると思っていなかった問題をTwitterでつぶやいただけで、企業側から歩み寄ってその問題を発見し、解決してくれれば、エンゲージメントが高まり、絆が深まります。生活者との交流によって、購入までのステップから検討・評価の段階を一気に飛ばすロイヤリティ・ループが構築され、熱狂的な支持者=ファンになってくれるのです。

顧客接点が混在化・一体化してきた今の世の中において、ザッポスのコアバリューのような本質を一貫させ、生活者から愛される企業になれるかが勝負の分かれ目になってくることでしょう。この記事の後半ではタイトルのとおり、生活者の期待を"圧倒的に"超えた事例4選をお届けします。ビジネスはもちろん、何かの記念日のサプライズの際の参考にも使えるかもしれません(笑)



1.最高の顧客サービスだと著名人を唸らせたステーキハウス

"今まで聞いた中で最高の顧客サービス:Morton’s Steakhouse"という記事は、いいね!が10,000以上、RTも5,000以上、コメントも300以上も付いています。

<元記事>
The Greatest Customer Service Story Ever Told, Starring Morton’s Steakhouse | Peter Shankman
http://shankman.com/the-best-customer-service-story-ever-told-starring-mortons-steakhouse/

Hey @Mortons - can you meet me at newark airport with a porterhouse when I land in two hours? K, thanks. :)less than a minute ago via TwidroydPRO Favorite Retweet Reply

@Mortons 2時間後にニューアーク空港に着くんだけど、Porterhouse(サーロインを大きく切った最上のビーフステーキ)を持ってきてくれないかな? (和訳)


ITベンチャーの創業者、ソーシャルメディアマーケティングのコンサルタント、投資家などとして知られるShankman氏は、あくまで冗談でつぶやいただけなのですが、空港に到着した時には、24オンスのPortehouseステーキと大エビ、サイドポテトとパン、2枚のナプキンとナイフとフォークが入ったバッグが、本当に届けられたのです。最寄りの店舗から空港までは23.5マイル(約38キロ)離れており、まさか2時間後に届くわけがないと考えるのが普通な状況の中、Morton'sの対応としては、以下のように推測されます。

・ツイートを見たMorton'sの社員が社内で決済をとり、Hackensack店に連絡、オーダーを出す
・Hackensack店で調理し、テイクアウト用に包装する
・車にサーバーをセットし、ニューアーク空港まで車を走らせる
・空港まで向かう途中、Shankman氏がどのフライトでどこに着くするかを調べる
・空港でセキュリティを通った先に待っている

<参考記事>
1万以上のLikeを生む最高の顧客サービスを提供したステーキハウスの話 http://capote.posterous.com/create-a-wow-to-created-a-buzz


テキストで書くのは非常に簡単ですが、実際にこの対応を行うのはとても大変だったはずです。そのことを想像したShankman氏は感激のあまり、先述のような詳細なブログを書いたのでしょう。

Mr. Porterhouse




2.就活生への非常に丁寧な対応が印象的なカゴメ社

4月初旬、東京都内の女子学生の自宅に、就職先として応募したカゴメ社から小ぶりの段ボール箱が届きました。彼女は約1ヶ月前、同社への就職を希望して履歴書や志望動機などを記した応募書類を送っていましたが、残念ながら数日前に不合格通知がメールで届いたばかり。「なんだろう?」と不思議がりながら開けた箱の中には、カゴメ社のジュースと調味料が詰められ、添えられたカードにはこう記されていました。

「今回はご期待に沿えませんでしたが、就職先として興味を持っていただき、大変感謝しております」

この女子学生は「何時間もかけて書類を作って応募しても、メール1通で不採用を通知する企業が多い。そんな企業の商品は買う気はなくなる。丁寧な対応が新鮮だった」と話したとのこと。カゴメ社ならではのステキな取り組みです。

tomato juice - KAGOME




3.定期的に足を運び、元気をもらいたくなる居酒屋

スタッフの元気、お祭りのような活気を売りにしている居酒屋は数多くありますが、僕が学生時代からよく使っているのは、 てっぺん というお店です。朝礼が有名だったり、居酒屋甲子園の発起人がつくったお店ということで、ご存知の方も多いはずです。

渋谷にある男道場や女道場はもちろん、新宿にあるろばた焼きのお店などの系列店にも何度も足を運び、長い付き合いの大切な友人、苦楽を共にした前職の後輩、ソーシャルメディア上で知り合った新しい友人など、多くの友人に紹介しています。まさにファンと言えますが、そのくらいインパクトが大きかったのでしょう。

この記事では、てっぺんがどのように「期待値を超えてくれた」のかはあえて割愛します。実際にご自身で足を運び、体感していただければ幸いです。もしくは、 @takeshi_kato 宛てにリプライをいただければ、僕は喜んでご一緒させていただくかと思います。

Photo




4.たまたま靴を売っているサービス・カンパニー

「母親を突然亡くしたため、プレゼント用に購入したシューズを返品したい・・・」と申し出た女性。この話は非常に有名なので、ご存知の方も多いことでしょう。皆さんご存知、ザッポスの逸話でも最も有名なものです。

この女性は、病床の母親のためにオンラインで靴を購入したのですが、残念ながらその母親が他界。途方に暮れているところに、ザッポスから「シューズのサイズが合わなかったら返品を受け付けます」というようなメールが届きます。このメールを見た女性は上記のとおり、電話で返品を申し出たのですが、電話を受けたコールセンター社員は、悲しみにくれる彼女の元に宅配業者を手配する(※規約では顧客が集配所まで持っていくことになっている)とともに、翌日には手書きのメッセージカードを添えた色鮮やかなお悔やみの花束を届けたのです。感激のあまり号泣した彼女はその感動をブログにつづり、それがネットを駆け巡ることになりました。


高級ホテルのリッツ・カールトンや高級デパートのノードストローム、そしてディズニーなど、顧客へ感動を届ける素晴らしいサービスで著名な企業はありますが、その前提となっているのはハイバリュー・ブランドで、それに裏打ちされた高い利益率です。対してザッポスは、最も激しい価格競争にさらされているオンライン小売業という厳しい経営環境のもと、顧客に感動を届け続けています。

その秘訣は、ザッポスの大ファンである弊社ループスCEO斉藤がブログにまとめています。ぜひそちらも併せてご覧ください。

<参考記事>
ザッポス伝説、その舞台裏にあるドラマとロジック、エモーション http://blogs.itmedia.co.jp/saito/2011/02/post-f519.html




最後に、"Zappos Family Music Video"という動画を紹介します。やらなければいけないからやるのではなく、”生活者の期待を超える”ことを心から楽しめる。そのような文化を持った企業が「愛される企業」となり、これからの世の中を生き抜いていくのだと思っています。




ループスTV放送のお知らせ

本日8月30日(火)20時〜第17回のループスTVをお届けします。約1ヶ月振りの放送です。詳細は以下をご確認ください。

第17回ループスTV 話題のソーシャルリクルーティング最前線 〜企業と学生の国内最新動向を探る〜
http://blogs.itmedia.co.jp/socialreal/2011/08/8302017tv-7dbe.html



Facebookページリニューアルのご報告

8月に入ってから、ループスのFacebookページをリニューアルオープンしまし​た。早速1,200名以上の方々にいいね!を押していただき、嬉しく思っています。また、旧ページは一定期間の後に閉鎖する予定です。


上記新ページでは、ループスメンバーのブログや講演内容などのループス関係情報を集約する他、ソーシャル関係のニュースを中心に紹介しています。今後も適時、お役立ち情報を充実させる方針です。引き続き応援いただければと思います。



<最近の人気記事>

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2.ひとつ上のFacebookマネジメント術(技術評論社)
3.仕事を成功に導くFacebook活用術(ソフトバンク クリエイティブ)
4.Facebookブランディング(翔泳社)
5.まったくの初心者でもFacebookをビジネスで使いこなせる本(日本実業出版社)

 

Comment(1)

コメント

加藤さん、紹介ありがとうございます!
コールセンターがベストなのはお客さんに迷惑をかけないためなのですが(個人に依存すると継続できない)、現状はなかなかマーケティング・広報とサポートの距離があるため、ソフトバンクモバイルのようにサポートから発案されないかぎりはうまくいってないように思います。
ただソーシャルメディアマーケティングはそもそも全社的な取り組みでなければならないので、その理想的な状況に少しでも近づけるようにぼくのノウハウをほぼすべて開示したのが本書です。
ひとつでも多くの会社、ひとりでも多くの担当者に読んでいただければいいなと思っています!

p.s.
なお、ぼくは紹介されたステーキハウスの事例は評価していません。あれはきわめてアンフェアなもので、サービスの観点では批判されてもおかしくないと思います。

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