Entertainment × Social Media
国内外のアーティストやタレントのソーシャルメディア活用術をプロダクション出身の筆者が発信。
Lady Gagaのマネージャーとしてその名が知られるTroy Carter(トロイ・カーター)。Lady Gagaの成功の裏に彼の存在ありと言われる人物です。特にソーシャル分野の展開には彼の持つ戦略性を無視することは出来ないようです。インタビュー等での彼の発言を聴いていると、ソーシャル時代のアーティストマネージャーがどうあるべきかについて考えさせられます。。
2011年に生きるアーティストはアドバンテージがある。だってThe BeatlesはFacebookページをもっていなかったし、MichaelJacksonはTwitterアカウントをもってなかったんだから。多くの人はデジタルミュージックを共食い(パッケージCDセールスを減らす存在)と見るけれど、僕はチャンスと捉えている。
先週最も売れたアルバムが4万枚そこらなのに、同じ週に6千万人がソーシャルゲームの「CityVille」をプレイし、そこにお金が使っているんだよ。今僕らには、音楽をいかに“ソーシャル化”し、“体験化”し、“価値を感じるプライシング”をしていくのかが大事になっているんだ。
最初の一文には、環境の変化をとても肯定的に捉える彼の姿勢がとても面白く表現されています。一方で二つ目の文はとても深い意味合いが含まれているように感じます。この点は後述することにして、まずは日本のアーティストマネージャーの背景にあるプロダクションやレコード会社の組織的な問題を考えてみたいと思います。
組織的な問題点
日本のプロダクション、レコード会社ではプロモーターという存在が花形的に存在していました。マスプロモーションの時代には、如何にテレビ、ラジオ、雑誌といったメディアで「露出」を稼ぐかというポイントが大事だったので、メディアにアーティストを売り込むプロモーターが非常に重要でした。
Webというメディアがその存在感を増してくると、プロモーターにWeb担当が登場しましたが、やはりプロモーターとしての役割はWebでの「露出」を獲得することがメインでした。
ただ、「露出」から「コミュニケーション」へ価値が移行するソーシャルメディア時代には、プロモーターのWeb担当というポジションは機能しずらくなりました。両者は本質的に異なるものです。コミュニケーションデザインといったポジションが設置される流れもあるようですが、ソーシャルメディア周りの展開は担当者次第、つまり属人的なものとなりがちです。ソーシャルの肌感覚を持つ担当者が自分の感覚で進めていくという状況です。
今、必要なのはポジションとしてコミュニケーションデザインと、その担当者の育成です。また、担当者はよりアーティストに近い所で仕事が出来るようにする必要があります。
プロモーターはアーティストの音源、写真素材、インタビュー記事などをマネージャーからもらってメディアへの露出を図りますが、どの素材を出していいかのジャッジは、マネージャーに任されています。だた、ソーシャルを通じたコミュニケーション施策においては、そのコミュニケーションのネタ自体どんなものが良いのか、コミュニケーション施策を担当する者がジャッジすべきだと思います。つまりは、マネージメントに限りなく近い立場でコミュニケーション戦略を行っていく「デジタル戦略マネージャー」的なポジションを担う人が必要なのです。これはTroy Carterに近いイメージと言えます。
アーティストと日々向き合っていく本来のマネージャーは人間力が求められますし、そういったスペシャリティを持っているマネージャーも必要です。また一方で、コミュニケーション戦略にスペシャリティをもったマネージャーが存在していいと思います。アーティストのオフショットや、本当に日常的なネタ等をコンテンツとしてコミュニケーションしていくような施策の実施は、よりアーティストに近い立場でないと難しいです。
ソーシャル活用の次のフェーズ
Troy Carterは、『Backplane』という新たなコミュニティプラットフォームを立ち上げると公言しています。Appleが音楽ソーシャルネットワーク『Ping』をリリースする際に、彼はJobsと話をしたようで、その際に彼の中で新しいプラットフォームのアイデアが思いついたそうです。
彼は「Backplane」について“We needed a more concentrated base.”と言っています。このソーシャルプラットフォームを活用してさらに濃いコミュニケーションを実現し、“収益化”へ繋げるところまで持っていきたいと考えているようです。彼は次のようにも言っています。
ソーシャルメディア上でアーティストのファンが100万人いてもそれと同数のCDが売れる訳ではないし、それと同数のチケットが売れる訳ではない。もっと深いところで繋がれるようなコミュニケーションのプラットフォームを作る。
これを「やっぱりソーシャルじゃお金儲けが難しかったんでしょ」と解釈するのは本質からズレているでしょう。アーティストのビジネスは、ライブやイベントといった“場”のビジネスがベースとなっていきます。そこに誘導する為にも今まで以上に深いロイヤリティを形成を実現するようなソーシャルプラットフォームを彼は作りたいと考えているようです。
そしてアーティストのビジネスは、一層プレミアム化していくような気がしています。100万人のファンに向けてではなく、100人のファンに提供するプレミアムな体験、プレアムなコミュニケーション、プレミアムなライブ体験、プレミアムなグッズ販売といった方向に向かうのではないでしょうか。
音楽というコンテンツ自体はソーシャル化してきます。それはつまりフリー化していくことと表裏一体でもあります。一方でオンライン、オフライン問わず、ライブやイベントといった“場”の提供による一層の体験化が進んでいくでしょう。そしてその体験自体がプレミアム化されていくことで、ファンが価値を感じるプライシングが実現されていく。まさに冒頭に挙げた彼の言葉の二文目はこのように解釈出来ると思うのです。
Troy Carterの描くシナリオはアーティストのソーシャル活用を次のフェーズに導いてくれるでしょう。ただ、日本ではまず第一のフェーズとして、短期的な収益を求めずコミュニケーションプラットフォームとしてソーシャルを活用すること。そして“場”のビジネスへ誘導することがまずは先決です。その先に、より深い関係性構築やプレミアムな音楽体験や購買体験といった収益モデルの構築へ向かうのではないかと考えています。
今回はLady Gagaのデジタル戦略の参謀であるTroy Carterからアーティストマネージャー像とアーティストビジネスを考えてみました。起業家でもある彼が立ち上げる「Backplane」がどういったサービスとして登場するのか非常に楽しみです。
8月28日にロサンゼルスのノキア・シアターで「MTV ビデオ・ミュージック・アワード(VMAs)」が開催されました。
Video Of The Yearを含む3部門をKaty Perryが獲得し、Best Female Videoを受賞したLadyGagaが男装して現れました(さすが!)。また、このイベントの中でBeyonceが妊娠を発表し、27歳で死去した故Amy Winehouseへのトリビュートも行われたようです。
YouTube: Katy Perry - Firework
このVMAsという1つのお祭り的イベントのサイトが非常にソーシャル化されたものでした。特徴的なものが以下のコンテンツです。
【BUZZ】
ここでは、ソーシャル上でどのアーティストについて多く語られているかが可視化されています。
【PAPARAZZI】
パパラッチというネーミングのとおり、会場に来たアーティストの写真がアップされ、アクセスが多い順に並んでいます。アーティストの今が見れるわけです。
【HOT SEAT】
これは面白いですね。バーチャルな会場が表示され、白いアイコンはアーティストが座っていることを表しています。特定のアイコンをクリックすると、そのアーティストがどんなTweetをしているのか表示される仕様になっています。
例えばこれがJustin Bieber。自分が会場にいて“どこに誰が座ってるのかなぁ?”と探す疑似体験をさせてくれるかのようです。
もちろんそこからフォローが出来る遷移になっています。
凄いですね。家に居ながらにして自分も一緒に参加しているという感覚を与えてくれる。イベントという“場”の共有がこのサイトにはデザインされています。その結果、私たちにとってこのイベントは“VMAsが行われました”という「ニュース」ではなく、“疑似的に参加した”という「体験」になります。
まさに今行われているイベントの場をリアルな感覚をもって共有する。テレビの画面で見ていたものをより深い体験として共有する。「ニュース」として見たのではなく「体験」したからこそ人は言葉を発し、語ります。ソーシャルでもイベントについて多く語られ、バイラルしていきます。象徴的なのが、イベント内で発表された“Beyonce妊娠”に対する瞬間Tweet数が世界新記録を記録したことです。
このインフォグラフィックはイベント時のソーシャルでの盛り上がりが可視化されています。ツイートの6割を女性が占めており、ツイートの8割がポジティブな内容であったようです。テレビ放送のタイミングで一気に盛り上がっているあたりを見ても、イベントがリアルタイムで共有されたことがわかります。
ソーシャルの本質はコミュニケーションです。その昔、たき火を囲んで人が集まり(=コミュニティ)、そこで自然発生した会話こそがコミュニケーションという言葉の起源だという話を聞いたことが有ります。同じ火を囲んで、参加することこそがコミュニケーションなんですね。
VMAsというたき火の周りにリアルに集まれる人数は限られているけれど、ソーシャルを通じて多くの人に参加してもらう。そしてコミュニケーションが発生する。アーティスト、ファン関係なく、そこで発生した言葉はたき火を囲む皆で共有される。そんなコミュニケーションデザインがVMAsにはありました。音楽業界全体は場のビジネスに移行していくことは明白です。その時に、オンラインでも場を共有させるコミュニケーションデザインとして1つのお手本になるでしょう。
また同時に、VMAsを見ているとこういったイベントがファンのために行われているのだということを凄く感じます。ファンのためという意識無しには、こうしたコミュニケーションのデザインは出来ないのではないでしょうか。日本ではまだまだ、賞やイベント自体がアーティスト自身やプロダクション、レコード会社のためにあるような気がしてなりません。
Onlineでのアーティスト活動を讃えるMTV O Music Awardsでは今後、アーティストの活動を讃える賞自体をユーザーが作り、ユーザーがノミネートアーティストを決め、ユーザーが投票して受賞者を決めるというようにするようです。
その“場”はファンのためにあるのか?そしてオンラインとオフラインを含めたコミュニケーションデザインがされているのか?この二つがソーシャル時代のイベントの価値を決めていくのだなぁと、そんな風に思いました。
【Twitter】フォロワー数 543,956人
リスト数 5,135チャンネル登録者数 139,788人
総動画数 84
総再生回数 131,818,964回
動画あたりの再生回数 1,569,273回いいね! 390,965人
※いずれも2011/8/29時点
毎回インパクトのあるMusic Videoで楽しませてくれるOK Go、もはや彼らはバンドというよりパフォーマンス集団のような印象すらあります。OK Goは2006年リリースの『a millions way』のMusicVideoで披露したダンスが話題となり、これをネタとしてダンス動画のコンテストをYouTube上で行いました。
YouTube: OK Go - A Million Ways
そして、ルームランナーを使ったパフォーマンスが話題となった『Here It Goes Again』では、2006年度YouTube Awards、2007年度グラミー賞(Best Short Form Music Video)を受賞しました。映像を活用したビジュアルイメージの浸透、これは何度も繰り返し書いているように、アーティストにとって非常に重要な要素となっています。OK Goはバイラル性ある動画を武器に、YouTubeというプラットフォームを活用してその認知を広げてきました。
YouTube: OK Go - Here It Goes Again
さらに『White Knuckles』で彼らは、通常の2D版MusicVideoに加え3D版を制作し、これは北米版ニンテンドー3DSのアップデートタイミングに配信がされました。
彼らがGoogleとのコラボのような形で、HTML5を利用した新しい映像プロモーションを行ったというネタも多くの人に拡散されており、さほど目新しいネタでもなくなってしまいましたね。
OK Goは、“新しいメディアやテクノロジーを活用して新しい試みをやる”ということが1つの戦略となっているようです。
ただ、新しい試み自体は直接お金に結びつきづらいのも確かです。前回も書いたように、動画コンテンツは限りなくフリー化しています。OK GoのMusicVideoを視聴してもらうこと自体にお金はほぼ発生しません。
ただ一方で、YouTubeでコンテンツを発見してもらい、それを共有してもらい、拡散してもらうことこそがリアルな“場”のビジネスに繋がるという視点をもつべきでしょう。YouTubeで見つけたコンテンツを、ソーシャル上で共有し、そこにコメントを付け加える、そういった行動や、そういった行動をとる人に一層の価値を見いだすべきです。
最近、アートやエンタメの世界には“Digital Audience(デジタルオーディエンス)”という言葉があります。これは、性別、居住地域といった枠組みとは別の、オンライン上、画面の向こうにいて、積極的にソーシャル活動を行ってくれるターゲットです。
“Digital audiences – engagement with arts and culture online“という報告書の中で、デジタルオーディエンスは
○ソーシャルメディアを通じてコンテンツを発見する
○ソーシャルメディアを通じてコンテンツを共有する
○オンラインでの情報をフィルタリングに利用する
といった行動をとる人であり、彼らはオンライン上のこうした行動がオフライン上でのアクティビティを“代替”するものではなく“補完”するものと考えています。つまり、彼らのようなオンラインで積極的に動く人はオフラインでのエンタメに関するアクティビティに関しても積極的という傾向があるということなのです。それは
○オンライン上でチケットを購入する
という行動特性にも繋がっています。つまりデジタルオーディエンスはオンライン上で情報を見つけて実際にライブに行く人達なのです。オンラインで動画見るだけでなくオフライン、つまりリアルな“場”への流れをもった人達なのです。
デジタルオーディエンスは、発見したコンテンツとのエンゲージが深まることで、それを共有し、自ら創造するという行為へと繋がって行きます。動画コンテントに参加する、MADムービーを制作するといった行為がそれでしょう。
OK Goが戦略的に行っている試みは、多くのデジタルオーディエンスにより共有され、コメントされ、またMADムービーが制作されています。その意味ではデジタルオーディエンスとの深いエンゲージメントが築かれていると言えます。
その結びつきこそがライブやイベントといったリアルな場のビジネスへの誘導となり、セールス面での成功を導くものなのだと思います。エンタメは“場”のビジネスに移りつつありますが、“場”のビジネスへ誘導するためにも、オンライン上のコンテンツが大切ということにもなります。
最後に、OK Goが行ったリアルな場を取り入れた企画を紹介させていただこうと思います。
YouTube: GPS OK Go Film - Range Rover Evoque
これは、レンジローバーの位置情報アプリを使った企画です。走った道がデジタルマップ上にビジュアライズされる機能を使い、ファンと共にリアルに街を練り歩き、デジタルマップ上に大きな“OK GO”という文字を浮かび上がらせるというものです。
素晴らしいのは、リアルな場で行われた企画が動画コンテンツとしてまたオンライン上で共有されていくという流れです。ソーシャルからリアルへ、そしてリアルからソーシャルへという循環を生み出すOK Goのコンテンツ展開には学ぶべきところが多々あります。
YouTube、HTML5、3D映像、位置情報アプリ、OK Goはテクノロジーそれ自体ではなく、それをどう使ったら面白くなるの?という部分をいつも体現してくれます。テクノロジーはそれを使って何が出来るの?何が便利になるの?何が楽しいの?の部分こそ価値なんですね。
また、誰もが発信者となれるソーシャルメディア時代には、無形のアイデアや発想そのものに価値が宿るようになっています。そんなフラットな世界の中で、最新のテクノロジーを利用して最先端のアイデアを発信していくこと自体が、自らのクリエイティビティの証明となり、最先端であるというメッセージとなり、OK Goは真にアーティストたり得ているのではないかと思うのです。
参考にさせていただいたブログ : arts marketing
Facebookページリニューアルのご報告
8月に入ってから、ループスのFacebookページをリニューアルオープンしました。早速1,300名以上の方々にいいね!を押していただき、嬉しく思っています。また、旧ページは一定期間の後に閉鎖する予定です。
上記新ページでは、ループスメンバーのブログや講演内容などのループス関係情報を集約する他、ソーシャル関係のニュースを中心に紹介しています。今後も適時、お役立ち情報を充実させる方針です。引き続き応援いただければと思います。
今回は世界の歌姫こと“Beyoncé”です。彼女はYouTubeとVEVOでオフィシャルのチャンネルをもっていますが、いずれも動画あたりの平均再生回数は1,000万回を超えています。驚くべき数字ですね。
【YouTubeチャンネル】チャンネル登録者数:279,271人
総動画数:34
総再生回数:446,590,144回
動画あたりの再生回数:13,135,004回チャンネル登録者数:286,497人
総動画数:67
総再生回数:829,582,738回
動画あたりの再生回数:12,381,831回いいね!:27,276,294人
※いずれも2011/8/16日時点
前回Lady Gagaを取り上げた際に、“映像によるビジュアルイメージの浸透”が非常に重要になっていると書きました。音楽は、友達から借りたCDで共有されるものではなく、ブログやSNSに貼付けられた動画で共有されるものとなりました。音楽は“聴く”以上に“見る”ものとなり、アーティストは楽曲と共に視覚的な“イメージ”を売らなければいけない時代になりました。
多くのアーティストはYouTubeにチャンネルを設置し、MusiciVideoやメイキング動画をUPしています。Beyoncéもしかりです。彼女も映像を効果的に活用した“イメージ”の発信と、映像をフックにしたコミュニケーションを行っています。
1 Music Videoでブランドを伝える
2008年にリリースされた『Single Ladies』のMusic Videoはとても印象的なものなので、覚えている方も多いでしょう。
彼女の価値(バリュー)って何だろうと考えると、歌唱力はもちろん、圧倒的にセクシーなプロポーションでありダンスですよね。このMusicVideoはまさにそのバリューを伝えてくれるものです。YouTube上では、一般ユーザーによる『踊ってみた動画』が多数UPされました。もちろん、好きじゃないとわざわざ振りを覚えて動画をUPしませんから、『踊ってみた動画』はファンによる一種の“ロイヤルティの表現”でもあると思います。その意味でこのVideoは効果的にバイラルしたと言えるでしょう。
当たり前なんですが、その動画はアーティストのバリューを伝えているのか?という点は大切なポイントです。インパクトがありバイラル性をもつ動画でありながら、且つアーティストのオリジナルなバリューを伝えるものになっているのは素晴らしいですね。
2 Music Videoの背景にあるストーリーを話す
今年4月にリリースされた「Run The World (Girls)」のMusic Videoでは、エチオピアのダンサーが起用されています。彼らは世間的には無名な存在だったのですが、自分たちでYouTubeにダンス動画をUPしており、それを見つけたBeyoncéが(恐らく見つけたのはスタッフだと思いますが)呼び寄せたそうです。Beyoncé 本人も「YouTubeの動画を見て一目惚れしたわ!」ということをインタビュー動画で語っています。
Lady Gagaしかりですが、クリエイティブにおいて自分専用の固定チームを組むよりも、作品毎に最先端のデザイナーやプロデューサー等を取り入れてチームを組織することが今の流れですね。その中に、ダンサーとしてYouTubeで発掘した世間的には無名のエチオピア人を起用したというストーリーが入ることは、コミュニケーションのネタとして効果的に利いているように思えます。本人が呼び寄せたということで、ダンスへのこだわりを持っているという印象づけも出来ます。
YouTube: Beyoncé - Run The World (Girls)
当のエチオピアのダンサーは、呼ばれてMusicVideo撮影に参加したのですが、Beyoncé のことを知らなかったというエピソードもまた面白いですね。
3 Music Videoにファンを参加させる
Beyoncé を含め、動画コンテストを開催するケースが増えています。ファンにとって動画投稿はロイヤルティの表現でもあるので、もしアーティスト本人に公認をもらえればそれほど嬉しいことはないですよね。ファンからの愛情表現に対してアーティストが答えるという1つのコミュニケーションが成立していると思います。
新曲「Best Thing I Never Had」で行っているのは、正規のMusic Videoとは別に、ユーザー参加型の別バージョンを作るという企画です。楽曲とリンクさせた『幸せあふれる結婚式』と『忘れられない卒業式』をテーマに、一般の方から写真と動画を募集し、それを編集して別バージョンのMusic Videoを作るんですね。自らの写真や映像がオフィシャルのVideoに使用されるかもしれないという期待感は大きいものです。
参加方法は簡単で、動画はYouTubeへ、写真はFlickrへ、いずれも#BeyonceBestThingというタグを付けて投稿すればOK。非常に敷居が低く、参加しやすいものになっています。
YouTube: Beyoncé - Best Thing I Never Had
Beyoncéは動画を通じて、自らのバリューを伝え、コミュニケーションのネタを提供し、またユーザーを作品に参加させるという試みを行っています。こうした試みは、ファンとのエンゲージメントを築くのに貢献するでしょう。ただ、結局曲は売れたの?お金になったの?という疑問は残ります。実際のところ、今年リリースの「Run The World (Girls)」「Best Thing I Never Had」に関してはチャートのTOP10に入ることが出来ず、不発という書かれ方がされているようです。
場のビジネスへ
ここでもう1つ考えたいのは、楽曲を売るというスタンスからの脱却です。楽曲や映像そのものはネット上で共有される存在となり、ユーザーにとって限りなくフリーの存在となりました。この状況では、むしろフリーのコンテンツをソーシャル上でいかに広く見せ、それによってどれだけ『共感という価値』を得るのか、そしてアーティストとしてのブランド力をどう高めていくのかという考え方へのシフトが必要でしょう。
アーティストはある意味「芸人化」しているのかもしれません。芸人は“ネタ”そのものに対価をもらっているわけではなく、面白いネタをもっていることで芸人としての価値を高め、番組出演や営業を通じて対価を得ています。芸人と言えば吉本ですが、
吉本興行の近年の動きって『場』を作ることだと思うのです。つまり、テレビ番組というコントロール出来ない“場”以外に、常設の劇場という『場』をつくり、自前の放送局という『場』つくり、大規模なイベントという『場』を手がけています。
アーティストも同様、『場のビジネス』に移っていくのではと思うのです。マドンナがプロダクションではなくライブ制作会社と契約をしたように、ライブという『場』であり、ファンクラブという『場』がセールスのフィールドとなっていくのではないでしょうか。フリーのコンテンツによって共感という価値を得て、ブランド力が上がったアーティストは『場』で稼ぐ。付随的に、マーチャンであったり、プロデュースであったりというビジネスも発生するはずです。
Beyoncéは、動画を通じたコミュニケーションを行っていますが、これが直接的に曲のセールスに云々という視点で見るのではなく、こうしたコミュニケーションで得た共感という価値、絆、エンゲージメントが、次の『場のビジネス』に繋がっていくのだという視点で見ていくことが大事なんじゃないかと、そう思っています。
おまけ
Single Ladiesのフラッシュモブも、ソーシャル上でのバズを引き起こしました。
YouTube: Flash Mob 100 Girls Dance in Piccadilly Circus to Beyonce Single Ladies
Facebookページリニューアルのご報告
ループスのFacebookページを先日リニューアルオープンしました。早速900名以上の方々にいいね!を押していただき、嬉しく思っています。
日本語の「ループス」も含めたページ名にしたこと、これまで未対応だったチェックイン機能のスポットに対応したこと、主にこれら2点を旧ページ「Looops」から改善しています。
この新ページ限定のコンテンツ・最新情報も発信していく予定です。引き続き応援いただければと思います。
前回、コミュニティの形成には“継続的な場”と“強力なコンテンツ”が必要なのだと書きました。AKB48はまさにこの2つが揃っていますね。秋葉原に、毎日のように講演が開催される劇場という“継続的な場”を持ち、“会いにいけるアイドル”という今までにない“強力なコンテンツ”があります。
AKB48はリアルに劇場という“場”を持っていますが、オンライン上ではソーシャルメディアが“場”を提供してくれます。しかも“場”をもつコストはゼロです。これまでコストをかけてメディアへの露出を図ってきたアーティストも、コストゼロでオープンな“場”をもてるようになりました。だからこそ資金力や政治力ではなく、その“場”に人を集めるための“強力なコンテンツ”力の勝負になってきました。
ガガ様は思い出させてくれます。ソーシャルメディア自体に注目が集まることで忘れられがちな「コンテンツこそ命!」ということ。その上で、ガガ様が何故ソーシャルメディアの活用術に長けているのかいうと、ガガ様は、LADY GAGAというコンテンツの表現をメディアに最適化させているからだと思います。
今の時代、情報を伝えるためには“映像の活用によるビジュアルイメージの浸透”が凄く大事になっています。これはエンタテイメントに限らないでしょう。彼女自身は、もの凄い美女でもなければ、ボン•キュッ•ボンッのスタイルを持っている訳でもありません。そんな彼女がスターになり得たのは、ビジュアルイメージの徹底した作りこみと、音楽ユーザーが接するメディアに最適化した映像の活用があったからでしょう。
彼女は“LADY GAGA”というコンテンツが、どのようなメディアで、どのように消費されているのかという点に高い意識を持っているんですね。彼女のDVDを見ていて気になった言葉があります。
私はiPodを強く意識している/音楽は今や見るもの
このインタビューは数年前のものなので、今であればまた違うメディア、デバイスを彼女は挙げるでしょう。また、“音楽は音データとしてではなく、映像ファイルとして、ストリームとして消費されるもの”とも語っています。彼女は“LADY GAGA”というコンテンツが映像として消費され、且つストリームとして留まること無く流れていくという認識を強くもっているんです。流れていってしまう多くの情報の中で、インパクトを持ちうる“画”が必要だと感じていたからこそ、あの奇抜なビジュアルイメージを戦略的に作り上げたとも思えます。
一方で、印象的なビジュアルイメージを売る時には、そこに嘘がないということも凄く重要です。イメージをコントロールすることは、とても難しくなりました。マスメディアの時代には、決まったイメージを一方的に発信し、不都合なイメージは揉み消していくような『守り』の姿勢で良かったのですが、ソーシャルメディアの時代にはプライベートも含めて簡単にイメージの裏を突かれるような情報が共有されてしまいます。
この状況では“取り繕う”という行為が意味を失い、多くの場合それはマイナスに作用します。だからこそガガ様は徹底したセルフブランディングを行い、“取り繕う必要のないイメージ”を形成し、『攻め』の展開をしています。相当に高い意識を持ってないと一人の女性があのレベルのセルフブランディングは出来ないですから、ただただ感心です。
YouTube: Lady Gaga - Born This Way
彼女はTwitter上などで自らをMother Monster、ファンのことをLittle Monstersと呼びますが、主と従、スターと追っかけといった“グルーピー”的な扱いをされたくないからなんですね。彼女曰く「ファンは私と行動を共にしてくれるクリエイティブなパートナー」なのだそうです。ソーシャルメディアによりフラットになったファンとの関係性を、こういう所でも柔軟に反映させていることが凄いですね。
きっと彼女はソーシャルメディア時代でなくても、その時代のコンテンツが、どんなメディアでどのように消費されるのかを考えて、最適化させていたでしょう。そこにこそ彼女が“ガガ様”たり得ている所以があると思うのです。
Facebookページリニューアルのご報告b>
ループスのFacebookページをリニューアルオープンしました。
ループス・コミュニケーションズ / Looops
https://www.facebook.com/looops.net
新ページ限定のコンテンツ・最新情報も発信していく予定です。引き続き応援いただければと思います。
エンターテイメントにとって、ソーシャルメディア活用の本質は、“どんな楽しい体験をファンに提供出来るのか”だと思います。難しいことなしに、楽しいことが出来そうであれば使ってみればいいんです。
その点、Second Lifeは面白かったですよ。結果的に大失敗の烙印を押されていますが、ファンとのコミュニケーションの新しい形を見せてくれました。
U2がSecond Lifeでアバターを通じたバーチャルライブを実施したのは2006年でした。相当早い段階でのチャレンジだったのですが、大きな意味を感じました。大物アーティストが新しいメディアを使って企画を打つということは“リスク”です。少なくとも日本のプロダクション的にはそうです。いくら面白そうだと言ってもまだまだユーザー数の少ないメディアを使う。その結果、人が集まらなかったらU2が恥かくんじゃない?ということです。ただ、海外では大物アーティストこそどんどん新しいメディアでチャレンジをしていきます。LADY GAGAしかりRadioheadしかりですよね。このマインドは相当重要だと思います。エンタテイメントコンテンツだからこそ、楽しい体験を提供するためのチャレンジはすべきなんです。
私はSecond Life内で、小規模ながらコミュニティの形成を実現しました。そこで学んだのはコミュニティ形成に必要なのは“継続的な場の提供”と“強力なコンテンツ”ということです。
例えば、このイベントはファンの方からの自発的な要望により開催されました。こちら(プロダクション)からはSecond Life内の“場”を提供しただけ。あとはファンの方が自分たちで作ったアイテム(うちわやペンライト)を手に、集まってアーティストの誕生会を開いたのです。そこでは自然とコミュニケーションが発生し、アーティストに対する絆が深まっていったのです。バーチャルな空間で、しかもアーティスト本人が関わることもなく、ファンの方の“お祝いしたい”という気持ちに対して“場”を提供するだけでこうしたイベントが実現出来るのですね。イベントの最後には、違うアーティストでも誕生会をやりたいので場を提供してほしいという要望がまたこちらに出されました。
YouTube: 浜崎あゆみ 10周年イベントINセカンドライフ avexisland
今、多くの企業様が“場の提供”をFacebookで行おうとしています。大切なのはそこに継続性があるかどうかです。せっかく“場”に訪れた方も、「あ、誰もいないや」「何もやってないや」となってしまうと離れていってしまうんですね。ただでさえユーザー数の少ないSecond Lifeでも私はなるべくログインして、訪れてくれた方が「こんにちわ管理人さん」と声をかけられるようにしていました。
そしてなにより強力なコンテンツの存在です。ソーシャルメディア自体に注目がいくことで忘れられがちですが、強力なコンテンツ無しにコミュニティ形成は難しいですね。ここは次回、GAGA様を取り上げつつ書きたいと思います。
初めまして。
この度、こちらでブログを書かせていただくことになりました矢野と申します。
ソーシャルメディアコンサルティングを行う『ループス•コミュニケーションズ』に所属しています。
前職はエンタテイメント企業におり、アーティストのプランニングやキャラクタービジネスなどに携わったのち、アーティストマネージャーをやっていました。マネージャー時代には海外のアニメフェスに行く機会が度々あり、日本のポップカルチャーが
海外でいかに盛り上がっているのかを肌で感じてきました。
ちなみにこちらのアーティストを担当しておりまして、「何これ?」って思う方も多いかもしれませんが、アニメが海外で人気なように、アーティストも“キャラクター性”というのが海外での評価に繋がるんですね。
YouTube: Aural Vampire - オーラルヴァンパイア - / 湘南族 -cannibal coast-
何故私が今、ソーシャルメディアに関わる仕事に携わっているのかという部分ですが、海外にファンの多いアーティストをいかにプロモーションしていくかという中では、FacebookやTwitter、TouTube、Flickr、USTREAMといったメディアを使うことがとても自然なことだったので、その経験の延長に今の仕事があると自分では捉えています。
それ以上に、Second Lifeが出てきた際に飛びついてみたり、新しいモノ好きという私の性格があるかもしれません。それは皆さんも同じではないかと思います。
このブログはアーティストのソーシャルメディア活用事例を中心に、“エンタテイメントとソーシャルメディア”というテーマを掲げてやっていきたいと思っています。気楽に読んでいただければと思いますのでよろしくお願いします。
最後に、3年半前にSecond Lifeで行ったイベントの動画を見ていただければと思います。生中継の映像を流しながらアバターを通じたコミュニケーションをファンの方と取るという、当時としてはかなり先進的で面白いイベントだったのですよ。
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