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事業アドバイザーとして活動する以前は、会社の経営者として様々な事業を立ち上げていました。その時代の失敗談、成功談から最近の事業アドバイス事例、改善事例など、事業繁栄のヒントになる実体験を書きます。

出稼ぎ労働者の人材派遣会社の実態

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コンクリート製品製造メーカーの元請けとして、事業を拡大していました。

私自身も現場に入っていたのですが、工場の管理的な仕事をしていました。

工場全体の管理ですので、私の会社以外にもいくつかの協力会社があり、人材派遣会社も管理範囲に含まれます。

今回は、その人材派遣会社の実態の話です。

その人材派遣会社は、北海道、東北から冬季限定の出稼ぎ労働者を関西に送り込んでいました。

冬期は雪が降って仕事が減るので、その期間だけ関西に住み込みで仕事をして、春になったら帰って行くのです。

人数は3人くらいだったのですが、なぜか全員が使えない人材でした。

言い方は悪いですが、いてもいなくても変わりませんし、誰でもできる仕事しかできないので、非常に使いにくかったのです。

そこで、どんな状況で、どんな理由で出稼ぎに来ているのかを聞いてみました。

すると、全員が口をそろえて「話が違うんです!」と言ってきました。

詳しく聞くと、人材派遣会社からは「工場内の仕事で、関西なので寒くないですよ」という説明だったということです。

詳しい仕事内容は聞かされなかったようですが、関西で仕事ができる機会も限られていることから、それで十分だと思っていたということです。

飛行機で出発する時には、派遣会社の担当者が見送りに来てくれたということです。

そして、最後の打ち合わせとかをして、いざ出発という直前になって、担当者はこう言ったということです。

「あと、一部で外の仕事もありますんで!」

そう言われても、聞き返す時間もなく、飛行機に乗ることになります。

わざわざ見送りに来るなんて、気の利いた派遣会社だと思いきや、最後の最後に本当のことを言いに来たということですね。

これはちょっとあんまりですね・・・。

そして、一日中外の仕事になりました。

しかも、この工場は滋賀県でも1番寒い「信楽」にあります。

寒くない工場内の仕事なんてとんでもなく、1番寒い地域の屋外の仕事に就くことになるわけです。

これでは、やる気が起こらなくて当然です。

派遣会社は、最初から嘘を言っていたことになります。

その派遣会社は、工場と外の仕事をするという契約になっていましたので、工場内の仕事は最初からありません。

それなのに、工場内の仕事があると偽って、労働者を募集していたわけです。

「関西でも有数の寒さの地域で、一日中外での仕事になります」

わざわざ寒いところから寒いところに行くこともありませんので、これでは希望者がいなくなってしまいます。

それを覆すのは金額しかないのですが、派遣会社が労働者に出せる金額は知れています。

往復の旅費はもちろんですが、こちらで住む寮や担当者の人件費なども、工場からの支払いで賄わなければなりませんので、どうしても労働者の時給は安くなってしまいます。

そうなると、こうして嘘をついて集めるしかないのでしょう。

こんなやり方ばかりじゃないと思いますし、この派遣会社だけかも知れませんが、これはあまりにひどいやり方ですね。

飛行機に乗る直前になって言われるわけですから、なんかマンガのような話で笑ってしまったのですが、彼らの悲壮感は大きいものがありました。

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