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ある時はコンピュータの製品企画担当者、またある時は?

ハロウィンの風景

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いつの頃からか日本でも10月の終わりともなればハロウィンらしい。僕が子供の頃はそんなイベントは聞いたことは無かったし、そもそもハロウィンなるものを初めて知ったのは英語の教科書においてであった。その時はせいぜい、アメリカには子供が近所の家にお菓子をねだりにいったり、カボチャのパイを食べたりする習慣があるんだな、それにしてもカボチャをデザートにするなんてあまりうまくなさそうだな、といった程度の印象しか持たなかった。その後アメリカでカボチャパイなるものを初めて口にした時に、サツマイモのようなホクホクしたやつとはカボチャの品種が違うことを知った次第である。ただ、どっちにしろあまりうまいと思わなかった。僕にとって、アメリカのケーキはまずい、という図式はまだ崩れていないのである。

アメリカに住んでいた時に娘が通っていた保育園でもハロウィンのイベントは開催された。化け物の仮装をするのが本来の姿なのかもしれないが、園の方針で他人に恐怖心を与えかねない仮装は禁止されていたので、娘はお気に入りのクマのプーさんの着ぐるみを着て行った。他にもミッキーマウスだったり、天使の格好だったりした子供達が行列を作って園内を練り歩くのを、親達がカメラに収めるという具合である。他愛のないものだ。夜は夜で、近所のショッピング・モールに出かけて行って、お決まりの「トリック・オア・トリ-ト」というせりふと交換に、キャンディーをいくつかもらってきた。これが店ごとにあったので、あちこちまわると全部で大人の両手に山盛りになる。お陰でしばらくは僕のおやつに事欠く事はなかった。

先日は移動の際に時間が少々余ったので、東京都内のとある駅構内のコーヒーショップに入り、コーヒー片手にPCを広げて、溜まった未処理のメールをさばいていた時のことである。ふと気が付くと髪を紫や緑色に染めて魔女の衣装を着込んだ一段がどやどやと入ってきて、「ハッピーハロウィン!」と叫んでいる。いや、ここは日本だし、僕は別にめでたいとも思わないんですけど。そして、コーヒーショップ内の客の一人一人に向かって、ハロウィンの合言葉は何だと聞いている。どうやら無事に「トリック・オア・トリート」と答えられるとご褒美がもらえるらしい。それって本来は外からやって来る魔女の側が言うべきせりふじゃあないのか、最初から椅子に座っている人間にそれを言わせてどうするんだ、そもそもそれって合言葉というのが正しいのか。などと心の中で勝手に突っ込みながらもこっちはメールに忙しかったので、全身に「邪魔するなよ、話かけるなよ」オーラを発散させてPCに没頭していたら、無事に脇を通り過ぎて行ってくれた。

ハロウィンのデコレーションはまあ、日本でもあちこちで目にすることもあるが、それ以上のものはあまり浸透していなくて、どうもまだ違和感がある。ましてや大人にトリック・オア・トリートと言わせてキャンディーを配るのは、何か変だ。そこまで無理しなくてもいいんじゃないのかな。

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