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サンフランシスコの地下鉄、抗議活動への対抗として携帯電話遮断を実施

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携帯電話上のコミュニケーションによって展開される抗議活動に直面した体制側が、何らかの形でそのコミュニケーションを不可能にしようとする。今年の初めにチュニジアやエジプトなどで見られ、そしていまイギリスで見られるかもしれない光景ですが、一足早くサンフランシスコで再現されてしまいました。ベイエリア高速鉄道(BART)が自らに対する抗議活動に際して、地下鉄駅構内での携帯電話を一時的に使用不可能にする措置に出たとのこと:

S.F. subway muzzles cell service during protest (CNET)

The operators of the Bay Area Rapid Transit subway system temporarily shut down cell service last night in four downtown San Francisco stations to interfere with a protest over a shooting by a BART police officer, a spokesman for the system said today.

ベイエリア高速鉄道(BART)の報道担当者が本日語ったところによれば、同社の地下鉄運行担当者は昨夜、ダウンタウンにある4つの駅において、携帯電話の接続サービスを一時的に停止する処置を取った。これはBART警察官による銃撃事件に対する抗議活動を受けての行動である。

まずはこの銃撃事件がどのようなものだったのかという点ですが、SFGateの記事によるとチャールズ・ブレア・ヒルという45歳の男性が、BART施設内を担当する警察官にナイフで襲いかかり(と警察側は主張)、警察官が銃で応戦したために男性が死亡するという内容だったとのこと。男性が酒に酔っていた、とう報道もあるようです。

そしてこの事件に対する抗議活動が発生するわけですが、単にこの1回だけが引き金を引いたのではなく、2009年にはこんな事件が発生しており:

無抵抗な容疑者を射殺 アメリカ Close Up Of BART Police Officer Shooting Oscar (北の国から猫と二人で想う事)

米サンフランシスコの地下鉄駅構内で今月1日、白人の警官が丸腰の黒人男性を射殺する事件があり、地方当局は14日、Johannes Mehserle容疑者を13日に逮捕し、殺人罪で送検したと発表した。 被害者のオスカー・グラント(Oscar Grant)さん(22)は、サンフランシスコとベイエリアの各地をつなぐ公営高速鉄道システム 「BARTBay Area Rapid Transit)」の駅内でけんかをしているとの通報に応じて駆けつけた鉄道警察官らに電車から降ろされ、地面に押さえつけられた状態で撃たれ、死亡した。 事件の様子は、通行人が携帯電話で撮影しており、動画がインターネットやテレビで広く放映。 Mehserle容疑者は7日、BART警察を辞職したが、その数時間後にオークランド(Oakland)で行われた抗議デモでは、参加者らが暴徒化して100人以上の逮捕者を出す事態となっていた.

BART警察に対しては不信感があったようですね。いずれにせよ、参加者は携帯電話を通じてコミュニケーションを行い、実際に運行に支障が出る状況まで発生したとのこと。そこへ英国の暴動事件が発生、そこでもブラックベリーが重要な役割を果たしているとの観測が流れたため、今回のBARTの決定に至った……という流れのようです。

遮断は午後4時から7時まで4つの駅で行われ、AT&Tを始めとした4つのキャリア全てが不通になったとのこと。BART側は当然のことながら、全て合法的な措置であることを主張していますが、言論の自由という観点から疑問の声も挙げられています。そして今回の状況がエジプトでの一件を連想させるということから、ムバラクとBARTをかけて"muBARTek"など揶揄する声まで登場しているそうです:

AnonOpBART

この画像内に"Ministry of Lulz"という書き込みがあることからも分かるように、ハッカー集団LulzSecを始めとしたハッカー集団も反BARTの活動を活発化させているようで、チュニジアでの「オペレーション・チュニジア(チュニジア作戦)」、エジプトでの「オペレーション・エジプト」を彷彿とさせる「オペレーションBART」などという活動の呼びかけも行われています。過去のケースでは、ハッカー達は言論統制的な行動に強く反発してきているので、今回の携帯電話ブロックは火に油を注ぐだけになってしまうかもしれません。

しかし反発が予想できる中でこういった行動にまで踏み切られたのは、それだけ携帯電話ネットワークが可能にするゲリラ的集団活動が、大きな力を持つに至っていることの裏返しと言えるでしょう。放置すればロンドンのような事態を、強硬な態度に出れば一層の反発を招くという状況。独裁者だけでなく、民主国家の施政者、さらには民間企業(BARTは公社ですが)の責任者に至るまで、この困難な問題に直面する時代が既に到来しています。

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