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Facebookの米国人ユーザー、一度も会ったことのない「友達」は7%のみ

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おなじみPew Research Centerの"Internet & American Life Project"から、またまた面白い調査結果が出ていることをTechCrunchが報じています:

調査結果:Facebook「友達」の7%とは会ったことがない (TechCrunch日本版)

タイトルで言い切っていますが一応解説。Pew Research Centerから発表された報告書"Social networking sites and our lives"(PDFファイル)によると、2010年10月20日から11月28日にかけて米国内に住む18歳以上の人々にインタビューを実施、その結果Facebookユーザーの平均「友達」数は229名であったとのこと。そしてその「友達」の中で一度も会ったことのないのは僅か7%。一度しか会ったことがない友達も3%のみで、残り90%は2回以上会ったことのある人々であるという結果が出ています:

pew_socialmedia_research

では米国人はFacebook上で誰と友人になっているのか。こちらもなかなか興味深く、「22%が高校からの知りあい、12%が親戚、10%が同僚、9%が大学の友人、8%が家族、7%が課外活動、2%が近所の人」だったとのこと。実数による平均値で見ると、以下のようなグラフになります:

pew_socialmedia_research2

平均的な(米国の)Facebookユーザーは、56名の高校時代の友人を「友達」としていると。家族(4名)はまぁ分からないまでも、近所の人(2名)まで含まれているというのは、日本と米国ではFacebookというサービスが違う立ち位置に立っていることを示しているのではないでしょうか。

最近いろいろな方々とお話しさせていただいているのですが、彼らが口をそろえて言うのは、Facebookは米国においてリアルなコミュニケーションを実現するためのインフラになっているという点です。何がリアルなコミュニケーションか、というのは定義しづらいのですが、あえて表現してみるとすれば「お互いに相手が何者なのかをある程度把握した上で行われる意見の交換」といったところでしょうか。学校の友人や職場の同僚と交わされる会話がまさに好例で、それをバーチャル上で展開しているのがFacebookという場、というイメージです。

よく「Facebookは実名主義のSNSだ」ということが言われますが、この表現は外れとは言わないまでもニュアンスが少し違っていて、実名かどうかが問題ではなくリアル上での人間関係/交流関係が反映されているかどうかが重要なのだと言えるでしょう。あるいは既にリアルで構築されている関係をバーチャル上で写し取ろうとしているのがFacebook、と表現できるでしょうか(「知り合いかも?」というサジェストは文字通りの意味で、「この機会に友達になれば?」というお誘いではない)。いずれにしてもPew Research Centerの調査結果は、まさにこの点を明確に反映しているものだと思います。

先ほど「日本と米国ではFacebookの立ち位置が違う」と書きましたが、それは結果論であって、運営側は日本でも米国内と同じような使い方をして欲しいと思っているかもしれません。日本の場合、Twitterが先に入ってきたために、どうしてもTwitter的な使い方(知り合いではなくてもとりあえず気になる人をfollow/friendし、バーチャル上のつながりをきっかけにして関係を構築して行く)がFacebookにも流用されているように感じています。日本で先ほどと同じ調査をしたら、「一度も会ったことのない人」の方が逆に90%を占めるという結果になるのではないでしょうか。

もちろん、どちらの使い方が「SNSとして」正解だと言うつもりはありません。日本にもリアルな人間関係をベースにしようとしているMixi、ゲームというバーチャル上のコミュニティを起点にしているモバゲー、GREEといった差があります。どれか1つのSNSを選び、それだけを使えなどという法律はないのですから、TPOに応じて使い分ければ良いだけの話でしょう。ただリアルなコミュニケーションを追求するSNSに、国民の大部分が加入しているという状況は、様々な意味で大きな可能性を秘めているものだろうなという印象を受けています。Mixi、あるいはFacebookが日本国内でもそこまでの位置を狙って行くと面白いですが……。

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