「エジプトより愛をこめて」
早速ですが、こちらの映像からどうぞ:
ちょうど半日前に僕が見たときには、再生回数が約300回。それが現時点で6万3千回を超えていますから、バイラル的な広がりを見せているのかもしれません。
エジプトの抗議活動を先導して一躍有名になったワエル・ゴニム氏(参考記事)や、同じく抗議活動にFacebookを通じて貢献した"We are all Khaled Said"(参考記事)などといったグループがこの動画を取り上げているので、既に目にしていたという方も多いでしょう。動乱で疲れ果ててしまった姿とは打って変わった、暖かくて平穏なエジプトの日常。そこでは様々な言葉で「エジプトより愛をこめて」というメッセージが語られています。
いったいこの動画は何なのか。Fast Companyの記事で解説されていました:
■ Egypt Turns to Social Media Again, This Time to Rebrand as Tourist Friendly (Fast Company)
Back during the height of the protests in Egypt, Fast Company wrote about how social media was accelerating the pace of revolution. Now it looks like activists in Egypt are turning to social media to accelerate the next phase of revolution: the return to normalcy.
A video was posted to YouTube Thursday called "From Egypt with Love," which seems to be trying to encourage tourists, and possibly business people as well, to look at the Middle East with fresh eyes.
エジプトでの抗議活動の最中、Fast Companyではソーシャルメディアが革命のペースを上げていることについてレポートした。そしていま、エジプトの活動家たちは、革命の次のフェーズを加速させようとしているようだ。つまり「日常への回帰」である。
今週木曜日、「エジプトより愛をこめて」というタイトルが付けられた映像がYouTubeにアップされた。この映像はどうやら、観光客やビジネス関係者たちに、中東を新しい目で見ることを促すためのもののようだ。
ということで、混乱ですっかりダウンしてしまったエジプトのイメージを回復し、再び観光客に来てもらおうというキャンペーンのようです。そして「革命」と同様、そこにソーシャルメディアの力が活かされようとしていると。
まだこのキャンペーンを誰が運営しているのか、残念ながらはっきりしたことは分かっていないようです。YouTubeのページからリンクされているのは、"I AM EGYPT"というFacebookページのみ(当然ながらと言うべきか、同ページはエジプトの観光産業に関する記事を掲載していたり、美しいダイビングスポットの写真を集めていたりしています)。ただ前述のゴニム氏がツイートで宣伝していることから、Fast Company誌では「彼も一枚噛んでいるのではないか?」と考えているとのこと。まぁ彼が運営に参加していなかったとしても、この映像がクチコミで広まって、イメージ回復につながることを狙っていると考えていてもおかしくはないですね。
「まだ完全に平和が訪れたわけでもないのに、こんな映像は不謹慎だ」「また観光に依存する国にしたいのか」など、内容については賛否両論あるようです。しかし現状で観光産業に携わっている人々が多い以上、エジプトと混乱のイメージが結びついてしまうのは同国にとってマイナスでしょう。再びエジプトの良さを伝えるアピールを始めなくては、という考え方があっても良いと個人的には思います。もちろんエジプト人自身がこのキャンペーンを望まないのであれば別ですが。
いずれにせよ、今度はエジプトに平和をもたらすために、ソーシャルメディアの力が発揮されることを願っています。
< 追記 >
そういえば肝心のゴニム氏のツイートをご紹介していませんでした:
世界中の市民の皆さま、私たちの国にご招待します。エジプトから愛をこめて: http://bit.ly/inknLSA
【○年前の今日の記事】
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