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SAP、エンタープライズ用ARアプリのプロトタイプを発表

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スマートフォンの普及により、一般向けのアプリケーション/サービス化が急速に進んでいるAR(拡張現実)技術ですが、いよいよ企業内利用も現実の話になりつつあるようです:

Augment Reality for the Enterprise - SAP Employee Unveils Prototype (ReadWriteWeb)

実は以前からSAPがARに取り組んでいるという発表はあったのですが(参考記事)、そのプロトタイプが公開されたという話。いや、そもそもARは「工場で作業中の技術者に、ヘッドマウントディスプレイで情報提供する」などといった活用法でも研究されてきたという歴史があるわけですから、厳密に言えば「原点に戻りつつある」という表現の方が適切かもしれません。

今回発表されたのはあくまでもプロトタイプで、このまま提供されるものではないとのことですが、具体的にはこんなことが可能なようです:

The app prototype enables users to mashup location information with any sort of corporate data available in an enterprise's BusinessObjects OnDemand account. The use case Elliot demonstrates is locating the nearest customers and displaying supplemental information.

このプロトタイプ・アプリケーションにより、ユーザーはSAP社のサービス"BusinessObjects OnDemand"内に蓄積されたあらゆるデータを、位置情報とマッシュアップすることが可能になる。Elliot氏が行ったデモンストレーションでは、近くにいる顧客とその詳細情報を画面上に表示するということが行われた。

とのことで、さらに上記のReadWriteWebに掲載されているデモ画面では、ショーウインドウにカメラを向けるとそのパフォーマンス情報(先週と比較してどれほど効果があったか等)が表示されるなんてことが行われているようです。現状で位置情報を駆使している企業や業界は限られているかもしれませんが、それをARという形で簡単に加工・利用できるプラットフォームが提供されるということであれば、いまは誰も思いついていないような面白い使い方が生まれてくるかもしれません。

考えてみれば、ブログやツイッターも「企業内利用できるのではないか」というアイデアが提示されたばかりの頃は「それはないんじゃない?」という反対意見が支配的でした。しかしどちらも様々な活用法が編み出され、具体的な効果を上げる企業も出てきています。SAPの取組みが最終的にどのようなサービスとして具体化されるかは分かりませんが、ARの活用法という点で大きく可能性を広げるものになるのではないでしょうか。

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