英国政府関係者、政府向け Twitter ガイドを作成
「政府も Twitter を活用」と聞くと米国を連想しますが、英国も負けてはいません。既に DowningStreet (英首相官邸)などの公式アカウントが存在しているのですが、今年新設されたばかりの Department for Business, Innovation and Skills (BIS、ビジネス・イノベーション・技能省)という省庁の関係者によって、政府向けの Twitter ガイドラインが作成・公開されたとのこと:
■ Is Big Brother following you? Government's guide to using Twitter (Gurdian)
ちなみに実物はこちら。ありがたいことに、Scribd 上で公開されています:
Template Twitter Strategy for Government Departments20ページ、5,382単語ということで、作者の Neil Williams 氏自ら「少しおおげさかもしれない」と評していますが、なかなか興味深い内容となっています。例えば以下の悩みは、政府公式アカウントならではと言えるでしょう(Gurdian の記事より抜粋):
It also concedes there is a problem with one of the basic Twitter features, the ability to "follow" any other users. It admits that if government departments start following individual users on Twitter uninvited, this may well be interpreted as "interfering 'Big Brother'-like behaviour".
However, once anyone does follow a Whitehall Twitter stream it recommends they should automatically be "followed back" on the grounds that it is not only good etiquette, but could result in a poor Twitter reputation if not done ‑ and in extreme cases could lead to the account being suspended.
またこのガイドラインでは、Twitter の基本的機能の1つである「フォロー」についても(政府アカウントの場合には)問題が起き得ることを認めている。政府機関が個人ユーザーをフォローしたら、「ビッグブラザー」的な行為だと見なされてしまうかもしれないという問題である。
しかし逆にフォローされた場合には、政府 Twitter は機械的に「フォロー返し」した方がマナーを守ることにつながるだけでなく、評判を下げることを回避できるだろうとしている。また一方的にフォローされ続けると、極端な場合にはアカウントが停止されかねない。
確かにいきなり「法務省公式 Twitter (仮)」なんてものにフォローされたら、オレって何か問題発言してたかな!?と驚いてしまうでしょう。しかしこちらからフォローした後であれば抵抗感も少ないでしょうし、本当にタイムラインを見ているか見ていないかは別にして、きちんとフォロー返ししてくれているというのは「中の人」の存在を感じる要因の1つとなります。議論の余地はあると思いますが、個人的にはこの「フォローされたらフォロー返し」というガイドラインは支持したいところ。
一方、政府系に限らず企業関係者にとっても参考になるアドバイスも掲載されています。例えば以下のポイントは、あらゆる組織系アカウントにとって重要なポイントではないでしょうか(同じく Gurdian の記事から抜粋):
In urging his fellow Whitehall civil servants to use Twitter, Williams sets out several grounds rules for the kind of content that needs to make it work:
• Human: He warns that Twitter users can be hostile to the "over-use of automation" - such as RSS feeds – and to the regurgitation of press release headlines: "While corporate in message, the tone of our Twitter channel must therefore be informal spoken English, human-edited and for the most part written/paraphrased for the channel."
• Frequent: a minimum of two and maximum of 10 tweets per working day, with a minimum gap of 30 minutes between tweets to avoid flooding followers' Twitter streams. (Not counting @replies or live coverage of a crisis/event.) Downing Street spends 20 minutes on its Twitter stream with two-three tweets a day plus a few replies, five-six tweets a day in total.
• Timely: in keeping with the "zeitgeist" feel of Twitter, official tweets should be about issues of relevance today or events coming soon.
• Credible: while tweets may occasionally be "fun", their relationship to departmental objectives must be defensible.
Williams は Twitter を使おうとしている英政府関係者に対して、効果的な情報発信をするための基本原則を定めている:
- 人間らしく: Williams の警告によれば、Twitter ユーザーは「機械的な情報発信をし過ぎること(RSSフィードとの連動など)」や、プレスリリースのヘッドラインをそのまま流用することを嫌う。「メッセージの内容を調整するだけでなく、文章のトーンもくだけた感じにして、Twitter 向けに編集し直した方が良い。」
- 更新頻度は高く: 最低でも1営業日につき2回、最大で10回更新を行うこと。またフォロワーのタイムラインを(こちら側の発言で)いっぱいにしてしまわないように、更新には最低で30分の間隔を開けること(ただし@リプライの場合や、緊急事態/特別なイベントの場合を除く)。首相官邸の Twitter では1日に2~3回の更新と、@リプライを行っており、合計で1日に5~6個のメッセージを書き込んでいる(所要時間は20分程度)。
- タイムリーに: Twitter の持つリアルタイム性を損なわないために、公式 Twitter では当日の話題や、近い将来に行われるイベントについて発言が行われるべきである。
- 信頼されるように: Twitter 上のメッセージには時折「遊び」の要素が含まれるかもしれないが、各省庁の目標との整合性は守られなければならない。
RSSでそのまま他のプラットフォーム向けの文章を持ってくるのではなく、Twitter という世界に合わせた文章にすること。また他人のタイムラインという視点を持ち、適切な更新頻度について考えること等々、Twitter を実際に体験してみないと出てこない発想が掲載されていることが分かりますね。というわけでこのガイドライン、もちろん日本の政府関係者にも読んでいただきたい(その前に各省庁での Twitter 利用について検討していただきたい)ところなのですが、企業で Twitter を始める場合にも価値のある資料だと思います。
ところで、この Neil Williams という方の経歴なのですが、
Williams, the author of this template, launched the first ever blog by a British cabinet minister. He admits he once ran a comedy website called idiotica.co.uk but the Cabinet Office confirm that his Twitter guidelines are genuine.
このテンプレートの作者である Williams は、英国閣僚として最初となるブログを立ち上げた。彼は以前、idiotica.co.uk というコメディサイトを運営していたことを認めたが、内閣府は当ガイドラインが本物であることを認めた。
とのこと。さらにブログのプロフィール欄では自らを"government web geek"などと称しています。さすがはモンティ・パイソンの国、といったところでしょうか(笑)。日本でも次期政権には、弾さんあたりに閣僚入りを果たしてもらうべきかもしれません。
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