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「つぶやき」か「ツイート」か?

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これからは「つぶやき」ではなく「ツイート」。Twitter に書き込まれるメッセージの呼称が、ツイートに統一されることになりました:

日本版Twitter、「つぶやき」から「ツイート」に 米国版と表記統一 (ITmedia News)

Twitter日本版トップページなどで、従来は「つぶやき」としていた投稿コメントの呼び名が、「ツイート」に変わっている。米国版では投稿コメントを「Tweet」(ツイート)と呼んでおり、米国版と統一するため表記を変えたという。

モバイル版では10月15日のリニューアルから「ツイート」が使われていたとのことで、気づいていた方も多いかもしれませんね。この名称変更、僕が見ている限りでは「わかりやすくなる」という声がある一方で、「つぶやきの方が親しみやすい」「ツイートと言われても何のことだか」という否定的な意見も少なくないようです。

実はこの呼び名の件、先日もご紹介したTwitter マーケティング』に収められている @fumi さんによるインタビューの中で、Twitter 米国本社の松沢由香里さん(Japan Country Manager)が解説されている部分があります:

ツイッター社はもうひとつ重要な決断をしています。今後は「つぶやき」という単語を使うのをやめて、日本語でも「Tweet」(ツイート)という単語を使っていきたいのです。というのも、初めてツイッターを使う方には、なぜほかの人の「つぶやき」を再度共有すると「ReTweet」(リツイート、あるいはRT)と呼ばれるのか分からない人も出てくる恐れがありますから。今後は「Tweet」という単語を早期に広めたいと考えています。

ITmedia News の記事でも「ブランディングの一環」という説明がありましたが、米国本社としても「ツイート」の呼称を広めたいという意識があるわけですね。こうなってくると、単なる呼び名の統一以上の重要性を帯びてきます。

「ツイッター」でビジネスが変わる!』を翻訳していた時に強く感じたのですが、英語の「ツイート」と日本語の「つぶやき」ではニュアンスが微妙に異なります。「Tweet」は小鳥のさえずりという意味で、文字通りチュンチュンとにぎやかに談笑しているイメージですね。対する「つぶやき」は独り言を囁いているようなイメージで、「企業の Tweet」などという表現があった場合には、「企業のつぶやき」と訳してしまって良いものかどうか悩みました。それと同じ文脈で、Twitter をコミュニケーションツールとして認識してもらい、企業による利用も進めるためには「つぶやき」という呼称は使わない方が良い、と主張されている方々も少なくありません。

一方で、「つぶやき」という表現は Twitter のゆるさを象徴する素晴らしい言葉だとする意見もあります。確かに「主張」や「発言」などという言葉が使われていたとしたら、たとえ140文字といっても気軽には書き込めませんよね。ましてや「ツイート」などと言われたら、慣れていない人にとっては「いったい何を書き込めばいいんだろう」となってしまうでしょう。「つぶやき」という言葉がどこまで日本の Twitter 文化に影響したかは分かりませんが、カジュアルなツールだというイメージを与えることには貢献しているはずです(少なくとも「粒谷区」という名前は生まれていなかったですよね)。

ということで「ツイート」「つぶやき」双方にメリットがあると思うのですが、個人的には Twitter 本社の意向ということで、「ツイート」という表現を主に使いたいと考えています。ただ、「Twitter は気軽に『つぶやく』ツール」という雰囲気は残っていって欲しいですね。

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