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決して最先端ではない、けれど日常生活で人びとの役に立っているIT技術を探していきます。

昨年末から今年の頭にかけて、こんな映像が話題になったことを覚えていらっしゃるでしょうか:

そう、Wii のコントローラーを使って様々な先端的技術を実現してしまう、カーネギーメロン大博士課程の学生(当時)Johnny Chung Lee さんの動画です。その Lee さんがこの後どうなったか、そもそもなぜ自分の発明を YouTube にアップしたのか、New York Times でレポートされています:

If No One Sees It, Is It an Invention? (New York Times)

When he completed his degree this year at the Human-Computer Interaction Institute of Carnegie Mellon, he received “lots of offers from all the big places,” according to Paul Dietz, who convinced Mr. Lee to join him in the applied sciences group of Microsoft’s entertainment and devices division. “When we told Bill Gates we were trying to recruit Johnny, he already knew about his work and was anxious to bring him to Microsoft,” adds Mr. Dietz, a research and development program manager.

Lee 氏を説得して、マイクロソフトのエンターテイメント&デバイス部門応用科学グループに引き入れた、R&D プログラムマネージャーの Paul Dietz 氏によれば、彼はカーネギーメロン大学の Human-Computer Interaction Institute を卒業後「大企業から数多くのオファーを受けた」。「ビル・ゲイツにジョニーをリクルートしようとしていると話したら、彼は既にジョニーのやった事を知っていて、彼を引き入れたくてやきもきしているようだった。」

とのことで、マイクロソフトに加わっていたのですね。しかもビル・ゲイツの耳にまで彼の発明が届いていたとは!いやはや、YouTube にアップしてみるもんです。「YouTube を利用してアイデアを知らしめる」という点について Lee 氏がどう感じているかは、彼自身が以下のように解説しています:

He might have published a paper that only a few dozen specialists would have read. A talk at a conference would have brought a slightly larger audience. In either case, it would have taken months for his ideas to reach others.

Small wonder, then, that he maintains that posting to YouTube has been an essential part of his success as an inventor. “Sharing an idea the right way is just as important as doing the work itself,” he says. “If you create something but nobody knows, it’s as if it never happened.”

彼はごく少数の専門家だけが読む論文という形で発表することもできた。カンファレンスで発表するという形なら、もう少しオーディエンスは増えただろう。どちらの場合でも、彼のアイデアが世間に広まるまでには何ヶ月もかかる。

それでは、YouTube に動画を投稿したことが、彼の発明家としての成功の重要な一部だったのだろうか。「正しい手段でアイデアを共有することは、アイデアを生み出すのと同じくらい重要なことだ。何かを創造しても、誰もそれについて知らなければ、何も起きなかったのと同じだ」と彼は述べている。

重要度で言えば、「アイデアを生み出すこと」と「それを正しく伝えること」は等価であると。もちろんアイデアを生み出すことが最初のステップですが、それが自分の手元にあるだけでは、当然ですが他人には価値を与えることはできません。運動会ではありませんが、「イノベーションを達成した」という点で終わりだと思ってはダメで、「みんなに知ってもらうまでがイノベーションです」という態度でいなければいけないのでしょうね。

逆に言えば、本当は生まれているのに、誰も知らないがために「生まれていないも同然」になっているイノベーションが世の中には沢山あるのでしょう。イノベーションというと、どうしても「どう生み出すか」「生み出される状況を作るか」という点に主眼が置かれてしまいますが、「どう発見し、流通させるか」という点だけに注目してみても効果が上がるかもしれません。「社内にもっとイノベーションが起きないかなぁ」と考えている経営者の方は、それを起こす施策を追求することに加え、イノベーションを効果的に発表する場を創造することにも力を注いでみてはいかがでしょうか。

アキヒト

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小林啓倫

小林啓倫

株式会社日立コンサルティングの経営コンサルタント。WEBサービスの企画・運営、新規事業の立案などに携わる。個人でPOLAR BEAR BLOGも執筆中。

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