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マスメディアの衰退が「Twitter 議員」を生む?

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衆議院議員の逢坂誠二さん(@seiji_ohsaka)を Twitter でフォローされている方は既にご存知だと思いますが、逢坂議員がBBCから取材を受け、ネットと政治について語られたそうです。逢坂議員自らがその様子を Twitter 上で書き込まれていますので、彼の Twitter をご覧いただくか、「#twbbc」というハッシュタグで検索してみて下さい(#twbbc は今回の件に対してつけられたタグで、様々なユーザーが関連情報や感想を発信しています)。

で、まったくの偶然なのですが、同じく英国の Times が英国内の「Twitter 議員」事情についてレポートしています:

Twitter oils the wheels of council networking (Times Online)

While he is being interviewed for this article, Tom Garrod is sending updates to his followers on Twitter. Garrod represents a new generation of local politicians. The 19-year-old Conservative was elected to Norfolk County Council in June and is one of the youngest councillors in the country.

このインタビューを受けている間にも、Tom Garrod は Twitter を更新している。Garrod は新世代の地方政治家の象徴だ。彼は19歳の保守党員で、6月の選挙でノーフォーク・カウンティ議会の議員に選ばれている。英国で最も若い議員の一人だ。

ということで、インタビューを受けたのは弱冠19歳の議員である Tom Garrod (@tomgarrod)。デジタルネイティブ世代ということでソーシャルメディアに精通しており、活動を Twitter や Facebook 等で情報発信しているとのこと。「支援者は僕が何に取り組んでいるかが分かるし、最も素晴らしいのはそれに対して反応ができるという点だ。僕は彼らに意見を求めることができるし、彼らは僕に自分の意見を言うことができる」("They can see what I’m up to, and the best part is that they can respond to it. I can ask their opinion and they can tell me what they think.")とコメントしています。

さらに英国内の地方議員の中には、少なくとも Twitter ユーザーが200名存在しているとのことで、彼らの Twitter をアグリゲートする TweetyHall というサービスも登場しています。面白いのは、このサイトを設置した英国の地方自治体協会のコメント:

Tweety Hall, launched by the Local Government Association in April, is an online resource that helps people to track what their councillor is up to. Edward Welsh, the LGA’s programme director for media and campaigns, says the decline of local newspapers is one factor in the growing popularity of social networking. “Councillors have fewer channels available to them to speak to the public and so the online community is rapidly growing in importance.”

Local Government Association (LGA)が4月に立ち上げたサイト"Tweety Hall"は、議員たちが何をしているのかをフォローできるオンラインサービスである。LGAのメディア・キャンペーン担当ディレクターである Edward Welsh は、議員たちの間でソーシャルネットワークが人気になっている原因の1つとして、地方紙の衰退を挙げた。「地方議員たちには市民に対して情報発信できるチャンネルが少なく、オンラインコミュニティの重要性が急速に高まっている。」

「メディアが衰退すると政治家を監視する力が弱まるので、市民が不利益を被る」という説がよく唱えられますが、逆に政治家にとってもメディアの衰退は「市民と接触する機会が減る」という不利益をもたらすわけですね(Garrod のような若い地方議員にとっては特にそうでしょう)。ソーシャルメディアへの進出は、多くの議員にとっては新しい可能性の模索というより、やむを得ない選択肢になっていくのかもしれません。

先日の「政治と Twitter」イベントでは、政治家の中にはまだまだ情報リテラシーを持つ人が少ないことが指摘されていました。従って日本で「Twitter 議員」はなかなか増えていかないのではないか――そんな観測もありますが、日本でもマスメディアの衰退が続いていけば、「やむを得ず」Twitter のアカウントを取るという政治家が増えていくのではないでしょうか。また TweetyHall のような関連サービスが、政治家に近い団体の方から積極的に設置されるという例も出てくると思います。そのアプローチが良いか悪いかは別にして、意外と速く「ネット政治」が一般化する可能性も大きいのではないか、と期待も込めて述べておきましょう。

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