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大型 Kindle が教科書市場を制する?

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Apple が Twitter を買収するかも?」ネタは松尾さんに取られてしまったので(笑)、僕はお馴染み Kindle をめぐるうわさ話の方をフォローしておきましょう。米 Engadget がリークとして報じているものですが、ニューヨークで6日午前に行われるプレスカンファレンスにおいて、ディスプレイが大型化された新型 Kindle が発表されるとのこと:

Amazon、9.7インチ画面の新型 Kindleをまもなく発表 (Engadget)

米ニューヨークで6日午前中に予定されているプレスカンファレンスに先がけて、新型 Kindleの直前リークが届きました。新モデル Kindle DX (仮)は事前のうわさどおり大型の 9.7インチ画面を採用。6インチの電子ペーパーバックである旧Kindle / 現行 Kindle 2に対して、新聞や教科書など一覧性の必要なコンテンツに適したデバイスです。

実は以前からウワサが流れていた「大型 kindle」。今回の情報が正しければ、現行が6インチ(約15cm)で単行本サイズなのに対して、新型は9.7インチ(約25cm)と10cmほど大きくなり、教科書に適したサイズになると。そして Engadget の記事でも解説されていますが、単にサイズを合わせるだけでなく、新たな教科書コンテンツを Kindle フォーマットで売り出すことについても準備が進められているようです。

Kindle と大学教科書については、以前から密接な関係がありました:

Kindle が大学のテキストに使われ始めている件

学生にとっては「大量の教科書をヒーヒー言いながら持ち運ばなくて済む」というメリットがあり、出版社にとっては「転売や譲渡による機会損失を防げる」というメリットがあるわけで、既に米国の大学数校で Kindle 版テキストの提供が始まっています。今回、画面が大形化されれば、これまで以上に対象となる教科書の幅は広がることでしょう。BusinessWeek はこんな指摘をしています:

Amazon's Kindle Is Off to College (BusinessWeek)

By entering the nascent market for higher-education e-books, Amazon is attempting to expand the audience for its Kindle platform. Amazon could also use a new device to pursue a slice of the high-volume business of college book sales, valued by the National Assn. of College Stores(NACS) at $5.4 billion in the 2007-08 fiscal year. Amazon's technological possibilities are legion. The Kindle could carry science textbooks that update according to new discoveries, as well as classics that feature Internet links to historical notes and literary criticism.

高等教育における電子ブック市場が今まさに生まれようとしているところだが、Amazon はそこに参入することによって、Kindle の利用者を拡大することを狙っている。また大学教科書ビジネスという大きな市場を、Kindle を通じて追求することが可能になるだろう。NACS(大学書店協会)によれば、2007-08会計年度の同市場は54億ドルだったとのことである。Amazon が持つ技術的可能性は多い。Kindle の電子書籍であれば、新しい発見に応じて科学の教科書をアップデートすることが可能だし、ネット上にある歴史解説記事や文芸批評記事へのリンクを埋め込んだ古典文学の教科書などというものも可能になる。

つまり大学教科書市場は Amazon にとって魅力的であると共に、Kindle が持つ機能を優位性につなげられる領域であると。ただしその一方で、同記事では価格の問題(大学生が数万円もするデバイスを新たに購入したがるか?)、デバイスの重複の問題(既にPCやネットブック、スマートフォン等を持ち歩いているはずでは?)、サイズの問題(大きくすることで逆に学生のバッグに入らなくなるのでは?)、そして競合他社の存在といった課題があることも指摘されています。うーん、確かに僕が学生なら「ラップトップで見れるようにしてくれれば1台で済むのに!」と感じてしまうかもしれません。

ただデバイスの重複という点については、既に「iPhone 向け Kindle アプリ」という対応が現実のものとなっていますし、将来的には主要デバイスで Kindle フォーマットの電子書籍が読めるようになることが期待できるでしょう。そもそも Amazon にとって(電子ブックリーダーとしての) Kindle とは、「タマゴ(デバイス)が先か、ニワトリ(コンテンツ)が先か」という状況を打破するための過渡的な存在でしかないのかもしれません。とにかく電子書籍市場を開拓して、そこにフォーマットとしての Kindle を浸透させてしまえば Amazon にとっては勝ちなわけですから、場合によってはデバイスとしての Kindle を犠牲にする施策を取る可能性も考えられます("Kindle for iPhone"のように)。いずれにせよ、あくまでもデバイスではなくフォーマットとしての Kindle を広めるということであれば、様々な戦略が可能ではないでしょうか。

しかし米国の電子書籍市場は、Amazon が活発に動いているおかげでなかなか面白いことになってきていますね。一方の日本ではケータイが中心ということで、独自の電子書籍文化が定着しつつありますが、また「ガラパゴス」と称されるような状況が生まれることになるのでしょうか。

【○年前の今日の記事】

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