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高校生の約7割が「携帯電話で知らない人とやりとりするのは怖い」

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「本をよく読む親の子供は優秀」という朝日新聞の記事が、ネットで注目を集めています:

本読む親の子優秀 下位はワイドショー ベネッセ調査 (asahi.com)

僕自身の意見は個人サイトの方でも書いたのですが、あくまでもこの調査で示されているのは相関関係であって、因果関係ではありません。また調査を行ったお茶の水大学の教授らが自ら指摘しているように、学力差は親の行動だけでなく、親の所得や社会環境なども影響を与えています。こういったことは改めて指摘するまでもないと思いますが、朝日新聞の書き方は誤解を与えかねないでしょう。センセーショナルな内容にしたいという気持ちは(僕もよく抱いてしまうので)分かりますが、問題が問題だけに、もう少し慎重であって欲しかったと思います。

で、この記事のおかげで元の調査(これ自体もなかなか興味深い内容が含まれています)を行ったベネッセ教育研究開発センターのサイトに、他にも面白い調査結果が公開されているのを知りました。今回取り上げたいのは以下の調査です:

子どものICT利用実態調査 (Benesse教育研究開発センター)

タイトルの通り、子供たちがPCや携帯電話、またそれらを通じてインターネットにどう接しているかを調査したもの。他の組織や企業でも類似のリサーチが行われていますが、いくつか注目したい結果が出ています。

まず「携帯電話で知らない人とやりとりするのは怖いか」という質問。これに対し、高校生の携帯電話所有者(ちなみに全高校生中の92.3%だそうです)の74.4%が「とてもそう思う」もしくは「まぁそう思う」と回答しています。また同じく高校生の携帯電話所有者のうち、

  • 知らない人からの電話に出ない: 「とても気にしている+まぁ気にしている」 77.0% 
  • 禁止されている場所では電源を切る: 「とても気にしている+まぁ気にしている」 72.9% 
  • 携帯電話を使いすぎない: 「とても気にしている+まぁ気にしている」 70.9%

などなどの結果が。報告書自体も、子供たちが「使用場所や方法は気にしているようだ」と指摘しています。マスメディア等で描かれる「携帯電話で生活が乱れる子供たち」という姿とは、ちょっと異なる結果ではないでしょうか。むしろドン・タプスコット氏の『デジタルネイティブが世界を変える』のように、倫理的に行動し、ICT技術を正しく使っていこうとしている姿の方が近いように感じます。

もちろん携帯電話が絡んだ非行や犯罪は現実に起きていますし、それらを放置しても良いということではありません。しかし、まさに先日ご紹介した本『リスクにあなたは騙される』が指摘しているように、メディアの印象操作効果・「いまの若者は昔より悪いはずだ」という私たち自身の固定概念によってリスクが過大評価され、過剰反応してしまう危険性はないでしょうか?それによって子供たちから学ぶ機会を奪ってしまったり、無意味な対策にリソースが取られてしまう恐れはないでしょうか?

それを防ぐためには、地道なようですが定期的な調査を続け、状況を正しく把握する努力を行うしかありません。またドン・タプスコット氏のように、正しい調査結果を世の中に伝えていこうとする努力も必要でしょう。マスメディアにはセンセーショナリズムに走るのではなく、上記のような「ステレオタイプとは異なる調査結果」も取り上げるなどの行動を期待したいと思います。

【関連記事】

【書評】若者を理解するだけでなく、自らが変わるための一冊『デジタルネイティブが世界を変える』

< 余談 >

これは完全に余談なのですが、上掲の「ICT利用実態調査」では、こんな結果も出ています(元はこちらのPDFファイル15ページに掲載されています):

Ict

うーん、中高生共に6割以上が「インターネットで調べられることでも、できるだけ覚えておいたほうがよい」と感じているのですか。僕なんかは完全に Google 脳で、検索で出てくるなら覚えなくていいやというタイプ。頭が下がります。

【○年前の今日の記事】

関東顔・関西顔 (2008年5月28日)
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