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「ふらりと立ち寄れる」感が Twitter の魅力

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一時期「Mixi 疲れ」という言葉が話題になりました。Mixi 上でのコミュニケーションに文字通り疲れてしまうことを指した言葉ですが、いよいよ「Twitter 疲れ」も懸念されてきているようです:

狙われた“つぶやき”――Twitterに仕掛けられたワナ (ITmedia エンタープライズ)

流行がいまだに継続中で、ここに来てさらに拡大しつつある Twitter。マスメディアやブランド、セレブや政治家までが参加するプラットフォームになりましたが、そろそろ疲れを感じるユーザーが出て来ているのではないかと指摘されています(以下、2ページ目からの引用):

つまり、mixiなど「友達」が強制されるものと比べると、気軽さが売りだったはずなのだが――いつの間にやら、フォローが膨大になり、情報洪水の中で必要なものが埋もれてしまったりする。さらに、「フォロー返し」という、本来必要のないものまで、義務に感じているユーザーも出ているようだ。自分がフォローされたからと言っても、別に相手をフォローする義務はない。もちろん、そこでつながりを作ることも可能なのだが、義務にしてしまうことによって、せっかく希薄にして気軽にしていたはずの、人間関係を強調することになり、Twitter疲れを加速してしまうのである。

さらに、わたしはまだそれほどフォローしていないが、その中にメディアを入れてしまうと、かなり頻繁にニュースが“つぶやき”として入ってきてしまう。最近は、ITmediaも含めて複数のメディアや、企業がTwitterに参入してきている。数十人をフォローしているにすぎないわたしでさえも多くの“つぶやき”が飛んでくるのだから、3桁以上フォローしているユーザーの場合はどうだろうかと考えるとゾッとする。結局、メディア系のフォローはやめてしまう人もいるようだ。

個人的な話をさせていただくと、はいま約1,300人のユーザーをフォローしています。日本人か外国人か、人間かボットか、個人か企業かなどといった基準でフォローを止めることはしていません(スパムは論外ですが)。しかしそれでも「Twitter 疲れ」という状態にはなっていませんし、僕以上に他人をフォローしているアカウントも度々目にします。もちろんどちらが正常なのかなどという議論を始めるつもりはありませんが、何百人フォローしても Twitter なら気にならない、というユーザーも存在していることを理解すべきではと思います。

さらに個人的な話を進めると、僕が Twitter に疲れていない理由は「関係の緩さ」にあります。はっきり言って、僕は自分のタイムラインに流れているメッセージを全て読んではいませんし、自分をフォローして下さっている相手にも「僕のメッセージは全て読んでくれ!」などと求めてはいません。それが Twitter に一般的な文化なのかどうかは分かりませんが、何となく同じ前提で Twitter と付き合っているユーザーは多いように感じます。喩えて言えば、Twitter は絶え間なくお客が訪れ、絶え間なく会話が流れる居酒屋。ふらりと立ち寄って、その場で交わされている議論に参加するのも良いし、自分一人で愚痴っているのも楽しい。いつ来ても、いつ帰るのも自由。皆バラバラだけど、時には小さなテレビに映し出されるWBC中継を観て一丸となって盛り上がる……そこには「足跡だけ残して無言で立ち去るな!」などといった息苦しさはありません(もしかしたら Mixi 的な文化がこれから生まれてしまうのかもしれませんが)。

一方で、Twitter 上で見逃せない発言をキャッチしてくれるサービス/仕組みが整いつつあります。ふぁぼったーbuzztter は有名ですし、はてなブックマークの新着・注目エントリに Twitter の1投稿が上がってくるということも例外ではなくなりました。海外では Twitter 上の話題をリンク別にまとめる twitt(url)y などといったサービスが存在していますし、これらを活用していれば四六時中タイムラインをチェックしていなくても、大きなトレンドをキャッチすることは十分可能でしょう。ただ繰り返しになりますが、別に流れに乗らなくても怒られないというのが Twitter の魅力であり、こうしたサービスを必ずしも使う必要はないと思いますが。

当然ながら、Twitter はフォロー数/被フォロー数の多さを競うゲームではありません(最近この辺を勘違いした輩がいましたが)。フォロー数が多くなければ Twitter を活用していることにはならない、などということは決してありませんし、ごく個人的なコミュニケーションに範囲を限定するという使い方だって正しいでしょう。ただ、フォロー数が膨大になってもコミュニケーションを維持できるというのが Twitter の面白さであり、他の SNS 系サービスと比較してユニークな点なのではないでしょうか。

【○年前の今日の記事】

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