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米国内の「外国人材」はどんな仕事に就いているのか?

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米国でマスターズ・ゴルフトーナメントが行われています。残念ながら石川遼選手は予選敗退してしまいましたが、片山晋呉・今田竜二の両選手は予選を突破し、今日・明日もテレビで観戦するという方も多いのではないでしょうか。(余談ですがマスターズはIT対応もちゃんと行っていて、ウィジェットiPhone アプリなんかも用意されています。)

さてさて、マスターズを観ていると世界各国から選手が参加していることが分かりますが、もちろんスポーツだけが米国が外国人を受け入れている分野ではありません。単純労働者からからエグゼクティブクラスまで、米国では幅広い領域で外国人が活躍していますが、どんな分野でどの国から来た人が多いのかを簡単に把握できるページが New York Times で公開されていました:

Immigration and Jobs: Where U.S. Workers Come From (New York Times)

お馴染み New York Times のマルチメディアコンテンツ。今回はタイトルからも分かるように、海外から外国にやってきた労働者たちが、どんな職業に就いているのかを示すというものです。

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アクセスすると、上のような地図とグラフが表示されます。見るだけで大体内容は把握できるかと思いますが、地図上にある円の大きさが、その国からやってきた労働者の数を示しているわけですね(具体的な数値は地図の下にある棒グラフ、もしくは地図にマウスオーバーすることで表示されるバルーンで確認できます)。最初に表示されるのは全職業が対象になっていますが、左横にある"Find an occupation"というメニューから職業を絞ることが可能。例えば"Business and technical professions"の中にある"Computer software developers"を選択してみると:

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大体予想はできていたかと思いますが、インド系の人々が圧倒的な1位で約12万5,000人。それに中国、ベトナムが続いています。それでは分野を変えて、医師("Health, education and service professions"内の"Doctors")ではどうなるでしょうか:

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こちらも予想どおり、と仰る方も多いかもしれませんが、インドがダントツの1位となりました。実はインドは医療分野にも力を入れており、渡米するインド人医師も多いとのこと。例えば3年前のものですが、日経ビジネスにこんな記事があります:

インドの意外な有望産業――外国人を虜にする「病院力」 (日経ビジネスオンライン)

もちろん米国内にいる外国人労働者の職業・出身国構成が、全世界の状況と一致しているわけではありません。地理的な影響(隣国メキシコからの流入が当然多い)がありますし、米国が特に受入を進めている分野というものもあります。従ってこのデータだけで世界各国がどんな産業に力を入れてきているかを把握することはできませんが、概況を俯瞰するのには役立つのではないでしょうか。意外な分野で、意外な国が顔を出しているのを見つけたら、ちょっと背景を探ってみると面白いはずです。

ちなみに左横のメニューにある"Find a country"をクリックすると、ある特定の国の職業構成比が確認できます。ちなみに以下は、インド出身者の構成比。問題のIT系は当然ながら第1位で、医師も第7位にランクインしています:

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日本でも「高度外国人材」の活用を進めるべき、という議論が進んでいましたが、この経済危機で残念ながら「それより日本人の雇用をなんとかしろ」という話が優先されてしまっています。しかしこの2つの問題はどちらが先だという話ではなく、切り離して考えることもできないはずですから、冷静な議論ができる環境に早く戻ってくれることを願います。

【○年前の今日の記事】

キャラもブログを書く時代 (2007年4月12日)
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