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農業にも集合知を

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先週気になったニュースを1つ。農林水産省が、農家が生み出したままになっている「眠れる技術」を発掘する仕組みを検討しているそうです:

農水省、「農業の眠れる技術」で認定制度導入へ (NIKKEI NET)

検討されているのは「匠(たくみ)の農業技能伝承士」という認定制度。「農家が独自に生み出した農業の生産技術」を認定し、保存・普及を図るとのこと。長年培った経験からしか得られない知識や技術は、地域で共有することはまれなのだそうです。言ってみれば「農業版暗黙知の共有」を目指すイメージでしょうか。

まだまだどんな仕組みで情報が収集され、共有にまでつなげられるのかは分かりませんが、ぜひ成功して欲しい試みだと思います。僕は「食料自給率を100%にしろ!」という意見ではないのですが、最近は遺伝子組み換え作物の話や中国産食品の危険性の話など、外国産の農作物に対する懸念が高まっていますよね。そういった状況の中では「日本産の農作物」というオプションを残しておくことは重要だと思うので、こういった新たな支援を続けて欲しいと感じています。

で、ふと思ったのですが、この制度にネットを活用することができないでしょうか。ご存じの通り、WEB2.0系サービスでは様々な「集合知を育む試み」が行われていますから、参考にできる部分は多いはずです。農家でネットを使う人なんていないだろ、と言われてしまうかもしれませんが、果たしてそうでしょうか。また個人的なイメージですが、ニュース等で「コンピュータを駆使する農家」が紹介されているのを目にすることも多いと思います。各農家に1台、という状況でなくても、組合が情報を取りまとめて発信するということもできるでしょうから、最初から「できない」「やらない」とあきらめてしまうのはもったいないでしょう。

もっとラディカルなことを言えば、世界中の人々から知識を募る「オープンソース農業」なんてのも確立できるかもしれません。農地のデータや画像、気象情報等をネットにアップし、全世界からアドバイスを募る -- いうなれば「農業版ゴールドコープ・チャレンジ」です(Goldcorp Challenge とは、カナダの鉱山会社 Goldcorp 社が開催しているイベントで、同社が所有する鉱山に関する情報をすべてオープンにし、そのデータを基に鉱山のどこに金が眠っているかを当てた人に賞金を与える……というもの。詳しくは『ウィキノミクス』をどうぞ)。いや、そこまでは行き過ぎだとしても、「農業にも集合知」はもっと進化できるのではないでしょうか。

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