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幸せの数式

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現実のあらゆる物事を、数式で完全に説明することはできません。現実の世界にはデジタルに置き換えることのできない、アナログな部分が必ず存在するからです。

しかし数式は、現実に起きている現象を理解する手助けをしてくれます。僕がそれを実感したのは、大学でデュポン・システムを習った時。ご存知の方も多いと思いますが、デュポン・システムとはROE(株主資本利益率)をブレークダウンした一連の数式のことを呼びます。例えばROEをブレークダウンした最初の式は、以下のように表されます:

ROE = ROA(総資本利益率) × 財務レバレッジ(総資本÷株主資本)

この後、各要素が次々にブレークダウンされてゆきます。その結果、例えば「この会社のROEが高いのは、売上げが好調だからではなく財務レバレッジが利いているにすぎない」といった分析が可能になるわけです。

といきなりROEを持ち出してしまいましたが、経営分析の話ではありません。実は今週号(2006年5月29日号)のAERAに、「幸せの数式」というちょっと面白い記事が掲載されていました。あなたにとって、幸せはどのような数式で示せますか?という質問を様々な人に聞き、その回答を解説したものです。

例えば、楽天証券経済研究所の山崎元さんの数式は「幸福≒√経済力×健康×人間関係(※経済力以降はすべてルート内にあります)」です。経済力などそれぞれの要素が2倍になっても、幸福感も2倍になるとは限らないのでルートを付けた、などのコメントが寄せられています。また東北大学の小谷元子さんの数式は「幸福=健康×(人間関係+仕事)」。仕事にはさらに「価値×時間」というブレークダウンが示されています。

こうした数式はもちろん科学的なものではなく、その人が考える幸福の姿を示したものですが、その人がどんな人物か・何を大切にしているかが分かって興味深いですね。また本人にとっても、自分が幸福になるためにはいま何が足りず、何を頑張れば良いかが分かるという点で価値のあるものではないでしょうか。

そう考えると、「数字では示せないものを数式で表すこと」は、実は有意義な行為だと思います。例えば仮説レベルであったとしても、「自分のお客様の満足感を表す数式」を考えてみれば、必要な行動が明らかになってくるはずです。仮に「お客様の満足感=(訪問対応×成果)÷コスト」だとしたら、「今月はあまり訪問できなかったから、目立つ成果を残さないと」とか、「訪問回数を増やしても満足度が上がらない理由は、『訪問対応』という要素を『キーマンと会った回数-キーマンが納得しなかった回数』とブレークダウンして考えてみれば分かるかもしれない」といった風に考えて行けるのではないでしょうか。

ちなみに僕の「幸せの数式」は?というと・・・なかなか難しい問題ですが、やはり「健康×家族×仕事」が基本でしょうか。どれか1つがゼロになっても、幸せは感じられないという思いから、各要素を「+」ではなく「×」で関係付けてみました。ただし、やはり1番大切なのは家族ですから「家族」を「家族の二乗」に修正し、さらに旅行に出かけるのが大好きという点を加味して「(健康×家族の二乗×仕事)+年間の旅行回数」という式にしたいと思います。さらに「仕事」をブレークダウンすれば、「(やりがい×時間)+収入」といった感じになるかもしれません。

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