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IT技術者教育に携わって25年が経ちました。その間、変わったことも、変わらなかったこともあります。ここでは、IT業界の現状や昔話やこれから起きそうなこと、エンジニアの仕事や生活について、なるべく「私」の視点で紹介していきます。

もうサーバーは必要ない?

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勤務先のグローバルナレッジネットワーク株式会社では、毎年恒例のイベント「G-Tech」が10月16日(金)に開催された。G-Techの詳細は会社のブログに書いたのであわせて読んでいただきたい(今年もやりますG-Tech ~役に立つ楽しいイベントを目指します~)。今年は11月6日(金)に大阪でも開催される。まだ若干の空席があるようだ(詳細は「特別セミナー G-Tech 2015~攻めのIT、それを実現する人材~」)。

G-Techでは、過去の経緯もあって、日本マイクロソフトの方にはほぼ毎回スピーカとして登壇していただいている。今回は、昨年に引き続きエバンジェリストの高添修氏にお願いした。そこで印象的だったのは、「マイクロソフトはPCの世界では覇者となったが、クライアントデバイス全体で見ると決して勝者ではない」という言葉だ。

Webブラウザさえあればたいていの仕事はできる。AndroidタブレットやiPad用の業務アプリケーションも増えた。どうしてもWindowsが必要な場合はタブレットからリモートデスクトップで接続することもできる。Windowsクライアントの必要性はほとんどない。

いや、サーバーですら必要ない時代がやって来るだろう。Amazon Web Services(AWS)などのパブリッククラウドを使っている人は気付いているだろうが、クラウドの仮想マシンの価格は意外に高い。仮想マシンではなく、「マネージドサービス」と呼ばれるサービスを使えるのであれば、その方がずっと安い。マネージドサービスは、OSを意識せず純粋なアプリケーションサービスを提供する仕組みだ。Oracleデータベースを使いたい人は、Oracleが使いたいのであって、WindowsやLinuxが使いたいわけではない。インストール済みのOracleデータベースが提供されるなら、その方が楽に違いない。安くて楽ができるなら、マネージドサービスを使うべきだろう。

サーバーを使わず、マネージドサービスを組み合わせて構成するシステムアーキテクチャを「サーバーレスアーキテクチャ」と呼ぶ。既にAmazon Web Servicesでは実現可能な構成だし、Microsoft Azureでもそろそろ可能である。プレビュー版ではあるが、マイクロソフトはMicrosoft Azure上でActive Directory Domain Servicesの提供も開始した。グループポリシーも使えるようで、社内のクライアント管理も可能である。

2007年11月に、マイクロソフトのCEO(当時)スティーブ・バルマーはこう言った(「10年以内に社内で運用されるサーバーは無くなる」,MSバルマーCEOが「破壊」を宣言)。

挑発的な意見になるかもしれないが,10年後に,自社で独自に管理するサーバーで,データを保持したり,トランザクションを実行したりする企業は無くなるだろう。
ほとんどのトランザクションやアプリケーション,システム管理機能が,インターネット上のコンピュータ・クラウドからもたらされるはずだ。

マイクロソフトがクラウドサービスを持っていないにも関わらず(Windows Azureの発表は翌2008年)、クラウドに全面移行するという発言が、マイクロソフトのビジネスパートナーに対して行われたということで、当時はかなり話題になった。

その後、2013年に出た日経ITproの記事「社内サーバーが無くなるまで、あと5年」では、仮想マシンをクラウドで稼動させることを前提としていた。マネージドサービスは既に存在したが、まだまだ十分なものではなかったからだ。

もっとも、当時から既にAWSのアーキテクトたちの間では「仮想マシンを作ったら負け」と言われていた。仮想マシンなしでシステムを構築する方向性は既にあったのである。その後、マネージドサービスは急速に進化し、現在では本当に仮想マシンを必要としなくなった。

G-Techでは「Microsoft Azureを使った災害復旧の基礎」というセッションを持った。主な内容は「データのバックアップ」「Azure上の仮想マシンのバックアップ」「社内の仮想マシンのAzureへの複製」である。しかし、サーバーが存在しないとすると、バックアップ体制も根本的に考え直さないといけない。

私は、OSのインストールや初期設定は割に好きなのだが、それがビジネスに必要かと聞かれたら、本質的には必要ないと答えるだろう。ITに必要なことは、ビジネスを支えるアプリケーションであり、その手段が仮想マシンである必然性は全くない。サーバーレスアーキテクチャは、必然的な流れであり、ますます加速するだろう。この時、サーバーのエンジニアは何をすべきなのか、よく考えたいものだ。

AWSの人による「サーバーレスアーキテクチャ」の資料があった。

▲Amazon Web Services (AWS) によるサーバーレスアーキテクチャ

 

この資料の最も重要なポイントはこの言葉である。

All you need is code

「code(コード)」は、プログラムと同じ意味で使うが、プログラムが設計などの上流工程を含むのに対して、コードは実際に動くもの、つまり下流工程の成果物を指すことが多い。抽象的なものではなく「今そこで動くもの」が強調されている。

サーバーレスアーキテクチャでは、IT基盤が既に用意されているため、必要なものはコードだけである。コードの書けないエンジニアはITエンジニアではなくなる。全てのITエンジニアが大規模システムに関わるわけではないだろうが、コードの素養は必ず身に付けるべきである。

 

【告知】猫写真展

本文とは何の関係もありませんが、縁あってグループ写真展に参加します。

横浜赤レンガ倉庫 ねこ写真展  ~今を生きる猫たちのキロク・キオク~

横浜にある赤レンガ倉庫を借りての猫写真展で、私は「猫のチカラ」というグループのメンバーとして5点出展する予定です。入場料が必要ですが、プロの写真家の出展も多いので、猫写真に興味のある方はぜひお越しください。

DSC00715-3S (600x424)

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