「あなたのご専門は?」と聞かれて答えられるか
仕事柄、様々な職業、そして様々な役職の方々とお目にかかりますが、よく聞かれる質問として「ご専門は?」という言葉があります。
過去の経緯、そして会社の成り立ちからか、私の会社は規模が小さいにも関わらず多岐にわたる仕事を行っています。そのためか、会社としての本業もさることながら、個人的に何を専門として得意であるのかを確認したくなってしまうのかも知れません。
私個人としては、この「ご専門は?」という問いに対して言葉に詰まってしまいます。様々な会社で様々な仕事を経験すると、どんなことにでも対応できる一方で、”専門”性は薄れていくというジレンマを感じる一瞬でもあります。また同時に、自らが得意として時間を費やしてスキルを蓄積しているエリアである「マーケティング」も、その内容は多岐にわたるため、「専門は?」と聞かれて「マーケティングです」と答えても、聞く側にとっては漠然としか理解できない回答なのかも知れません。
ちなみに、皆さんはこの「ご専門は?」という問いに対して、即座に答えることができますでしょうか?そして、その答えは本当に「専門」性を表現しているでしょうか?
「職種」、「職域」、「専門」という分類で考えた場合に、「専門」という問いに対して「職種」、「職域」で答えてしまうのは、”専門”性が薄れている証かもしれません。技術者であれば、この3分類に対して、かなり明確な答えが出せることが多いと思いますが、それ以外の場合には明確な答えが言えないケースが多いのではと想像しています。
ゼネラリストとスペシャリストの差であると考えればそれまでかもしれませんが、ゼネラリストであってもスペシャリティーを持つべきであると考えていますので(これはIBM時代の教育の賜物かもしれませんが)、薄れていく専門性の中でもコアになるスペシャリティを改めて再確認して強化していく必要があるのかも知れません。
入社して数年いた組織では「カバチタレ」という言葉がはやっていました。本来の技術における専門性に対しては、「お話をする」ということは専門の領域には入らないかもしれません。しかし、技術を理解して咀嚼してお客様に伝えるということが専門の一つであれば「カバチタレ」も一つの”専門”ではないかと考える今日この頃です。