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紛争やチェルノブイリとは全く別の顔を持つ多数の天才的IT技術者を輩出したIT大国、ウクライナの真実の姿に迫る。

ウクライナより 戦争は技術を進化させるか?

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昨日大統領選挙が行われたウクライナからのレポートです。意外と言うか下馬評通りと言うか国民的コメディアン、お笑い芸人のゼレンスキー氏が現職のポロシェンコ氏を破り、ウクライナの新大統領に選ばれ世界中に衝撃が走りました。旧ソ連の国で政治経験がなくオリガルヒ(財閥系)でもない所謂「庶民の」候補者が大統領になった例は筆者の知る限り初めてではないでしょうか?これからウクライナがどのように変化していくのかに注視していきたいと思います。

戦争ははたして技術を進化させるのか?

さてこのブログの主旨は政治を語ることではないのでウクライナのIT事情に本題を戻したいと思います。今日のテーマは戦争は技術を進化させるかです。平和なキエフに住んでいるとついつい忘れがちですがウクライナ東部では今でも軍事的緊張が継続しており、時折物騒なニュースを目にすることがあります。

戦争が技術の進化に貢献してきたことは歴史が示すとおりです。第一次世界大戦では飛行機、戦車、毒ガス兵器が始めて登場し、第二次世界大戦では航空母艦、弾道ミサイル、原爆が発明され、使用されたことは広く知られています。その後、米ソ冷戦という新たな戦争に伴い、スーパーコンピューター、宇宙開発、大陸間弾道ミサイル、GPSそしてついにインターネット(もともとは軍事技術でした)が登場し、現在に至ります。

民間に転用されるウクライナのミリタリーテクノロジー

ウクライナのITフェアなどに顔を出したり、IT企業に訪問すると自動ドローン兵器もしくは戦車遠隔操作技術、戦場の画像認識技術、兵士訓練用のARヘルメットなどの技術を持った企業が非常に多いことに気がつきます。これは全て戦争の副産物といってもよいでしょう。2015年2月のミンスク和平合意以降大規模な戦闘はなくなりましたが、そのためこれらの技術が民間転用という形で市場に出てきました。もともと軍事用だったインターネットの技術が民間に転用されたのと同じ構図です。さすが国家の存亡の危機を救うため終結したIT集団が作り出した技術だけあり、ウクライナは世界有数の技術大国だといえます。下地としてもともとウクライナはソ連時代ロケット技術、原子力発電、核兵器などの開発拠点でした。それらの遺産が今日の高度な理数系技術レベルを後押ししているのです。

これら民間転用技術の一例として農業用ドローンの普及があります。ウクライナ製の農業用ドローンは世界でも有数の高技術を有しており、GPSによるドローンの自動制御、自動での農薬散布、画像認識技術による散布エリアの細かい設定、正確さなどで知られており、北米などへ輸出されています。日本でも大規模農場の多い北海道や地方などでの導入が期待されます。農業国ウクライナならではの技術と言えるでしょう。(ウクライナのGDPに占める輸出の割合は農業、金属そしてITの順になっています)

AR、VR、ゲームなどのエリアでも軍事シミュレータを転用した技術によりウクライナのIT企業は活発にその市場を広げつつあります。画像認識、コンピュータビジョン、AIなども軍事産業によって発展した技術と言えます。

日本の将来のために

近い将来AIを制する者が軍事を制するという時代が必ず来ることでしょう。そのためにも日本も自国の防衛のためにもAIに代表される技術に投資していくことは早急の課題だと思われます。そうしているうちにも隣国のロシア、中国などはどんどんAIに投資し、軍事力を高めていっています。日本がウクライナのように軍事紛争に巻き込まれないためにも技術力を高めていくことが重要でしょう。

Ago-ra IT Consultingへのご連絡は下記まで:
hiroshi.shibata@ago-ra.com

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