企業のためのスマホ戦略羅針盤 書評など
先日、恵比寿のAjitoを訪問した際に、同行したTKMこと加賀谷友典さんから献本いただいた一冊が、今日ご紹介の「企業のためのスマホ戦略羅針盤」。
加賀谷友典さんとのつきあいはそろそろ5年にもなるのですがが、いつも変化し続けていて、クールに新しい驚きを与えてくれる頼もしい存在です。その加賀谷さんはフリーのIT系のプランナーなのですがが、なぜだか電通にもデスクを持っている不思議な男。今回その加賀谷さんが電通メンバーの方々と書き下ろした一冊が、本書「企業のためのスマホ戦略羅針盤」です。
数年前にはイノベーターのツールであったスマホも、現在ではiPhone4やAndroidを大学生や普通のOLが電車の中で使いこなす時代になっています。スマホは完全にコモディティ化され、企業のコミュニケーションもスマホ、そして、そのスマホで閲覧されるソーシャルメディアやアプリを意識したモノに本来なら進化すべきなのですが、まだまだ頭が切り変わっていない企業も多いように感じられます。
そんな、待ったなしの状況でも、変化を始めている日本企業も当然ながら現れ始めています。昨年、そして、今年とオンライン連携型、位置情報などスマホならではの特徴を意識した企業のスマホアプリがリリースされ始めています。そして、成功している企業事例も散見されています。
そんな時代に「企業のためのスマホ戦略羅針盤」が電通から出版されました。本書は、タイトル通り企業のスマホコミュニケーション戦略について、シンプルにわかりやすく説明してくれています。企業の成功事例も含めながら、相当思い切ってコンテンツを絞っていますが、スマホでの成功のキーはユーザー重視という視点は明確で、逆にそのこだわりが本書を読みやすく、面白くしているような気がしています。
成功した企業アプリの事例紹介の中に、著者たちの意味深な刺さる一言が盛り込まれていて、100ページ弱の薄い本にも関わらず、侮れない一冊になっています。特に第4章の「企業アプリの未来」と終章は、何回となく読み返しました。この本と一緒に企業の未来のコミュニケーションについて考える事ができたのは、加賀谷さんのおかげです。加賀谷さん、感謝!
AboutOne(写真上)の事例紹介には色々ヒントがありました。
「大切なのはダイレクトな短期収益を目指すのではなく、中長期視点で暮らしの基盤に近い部分を考え、サービスを提供していくことです。ここが企業と生活者の間でのスマートフォン・コミュニケーションの真髄といえるかもしれません」
本書88Pから引用
「すでに展開されているFacebookやGoogleなど、国境を超え、世界規模でのインフラになっています。今後、国家レベルで提供されているインフラの代替サービスを民間企業が担っていくとしたら、次のFacebookやGoogleになる可能性はどの企業にあります」
「世界中の生活者がスマートフォンの画面に表示されるひとつのボタンから、企業のサービスにつながっているとしたら、そこにはとんでもないコミュニケーションのチャンスが与えられているはずです。」本書90Pから引用
企業がデジタルとグロバールな大海原の中で飛躍するためには、スマホを使ったコミュニケーション戦略を重視しなければいけないという思いが、「企業のためのスマホ戦略羅針盤」を読了した後により強くなりました。スマホなしではユーザーとつながれない時代が、もう始まっているのです。
今後も面白い企業のスマホ事例を紹介する場を加賀谷さんや電通の皆さんには、ぜひお願いしたいです。