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文理系にこだわらない就職活動

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 こんにちは、誠 Biz.ID編集部の上口です。先日初回のエントリーを投稿したところ、先輩編集者から「某ブログに似てるな~」と指摘を受けたり、「寝起きの顔で写真を撮っただろう(笑)」と言われてしまいました。
 ということで今回は、今週のお題「就職活動」に沿って、少し長めに自分の就職活動について振り返ってみます。内容は、主にこれから就職活動をする学生(特に出版社など)向けになると思います。あくまで私の場合の話ですが、少しでも参考になれば幸いです。
売り手市場といわれた時代の就活
 私は2008年度卒の学部生でした。よって就職活動をしたのは前年度(2006年末~2007年)、いわゆる就職氷河期といわれる1993年~2005年と、2008年後半以降の間に存在した売り手市場の時代です。そんな中、ほとんど出版社に絞って活動をしました。
 大学での専攻は情報処理です。その前の高専(中学卒業後に5年間通う高校と専門学校が混ざったような所)でも制御情報工学という学科に属していたので、学生時代はプログラミングなどのソフトウェア面のことと、実習では切削や溶接など機械科が学ぶハードウェア面のことも少し勉強しました。
 そんな私がなぜ出版社に行きたいと思ったのか。それは単純に編集者という仕事に憧れたのと、小さいころから好きな漫画家さんがいて、その人と近いような業界に行きたいと思ったからです。幸いなことに私の大学の学部は文理系でしたので、主専攻以外の例えばメディア論や出版流通論、社会学などの講義を受けることができました。大学時代は専攻にこだわらずにあらゆる分野の講義を受けていた気がします。
まずは何から始めたか
 就職活動を始めるに当たってまず私がしたのは、同じ業界を目指す就活仲間を見つけることでした。大学の友人はほとんどが大学院に進むのと、研究室によっては教授枠みたいなものがあり、面接や簡単な筆記試験のみで就職が決まる場合もあったのです。よって私のように、エントリー⇒筆記試験⇒複数回の面接、というステップを踏むような人が周りに少なく、かつ出版業界というのは一般企業とは異なる採用試験をしているところですので、思い切って別の大学の人と知り合ってみようと思いました。
 具体的には、東京にある就活予備校のようなところに入りました。時期としては大学3年生の秋です。私は大学が茨城県にあったので、週末は1時間かけて東京の姉の家に行き、土曜日は(場合によっては日曜も)その予備校に行きました。
 予備校には、関東圏の大学から同じく出版業界を目指す人が数多くいました。まず入ると、出版社の中でも週刊誌かコミックか情報誌かファッションかなど志望ジャンルでグループを作り、同じグループのメンバーで面接練習をしたり筆記試験対策の勉強をします。
エントリーまでの準備期間
 出版社のエントリーシートは志望理由や長所・短所のほかに、「人生の3大ニュース」「あなたがインタビューしたい人」「大切にしていること」「よく読む雑誌とその理由」など、コンビニなどで売っている一般的な履歴書とは少し異なる質問項目があります。よってどんな質問がきても答えられるように「自分は何に興味があってその理由はなんだろう」というのを考えてはノートに書き留めておくようにしました。
 後は予備校のメンバー間でそれぞれの第一印象や長所・短所を書くなどして、他人からみた自分というのを理解するようにしました。予備校での友人は出会って数カ月の仲でしたが、ともに同じ業界の内定を目指す仲間ですので、信頼感というか結束力がありました。私は極度の人見知りで場合によっては同じクラスでも3年間かけて打ち解けた、という人もいるのですが予備校のメンバーとは互いにあだ名で呼び合えるほどすぐに信頼できる友人になりました。
 少し余談ですが、私の就職活動と少し似ているなと感じた小説があるのでご紹介します。石田衣良さん著作の『シューカツ!』です。マスコミ業界を目指す7人の就活グループが社会に出るまでの話を描いたものです。
筆記試験対策
 出版社も含めてマスコミ関係のエントリー時期は一般業界よりも早いです。私は出版だけでしたので最初のエントリーは大学3年の1月でしたが、テレビ局を受ける人は11月辺りにはもう開始していました。
 エントリーシートが通ると、次に来るのが筆記試験です。実際には複数社を受けるのでエントリーシート作成と筆記試験対策を同時並行で行う感じでした。
 筆記試験対策で行ったのは、ニュース番組を見ることとスポーツ誌を含む朝刊チェックです。とにかく世の中で起こっていることを知るために、予備校のメンバーで分担して関東圏で売っている全ての朝刊をチェックし、そこから気になった話題を穴埋め問題にしてみんなで解く、というのをやっていました。私はITやスポーツは得意だったのですが、政治、特に歴史が絡むものなどが苦手で苦労しました。後は個人的な課題で漢字が書けないので中学・高校生の教科書を購入し、勉強するようにしていました
最大の難関だった面接対策
 就職活動も終盤に差し掛かってくると、目の前の大きな壁として立ちはだかるのが面接です。私は先ほども触れたように面接が大の苦手です(先日弊社の人事と面談する機会があったのですが3年経っても相変わらず苦手だね、と言われたほど)。
 それでも少しはましになったのが、やはり予備校の友人との面接練習のおかげです。時にはカラオケボックスを面接室に仕立てて行ったこともありました。質問内容は志望理由のほかに「今日のファッションのポイント」「一発芸(もしくは得意なことを体で示す)」など。予想外な質問を受けても無言にならないように、とにかく何でも答えるように努力しました。
最終的に
 以上が私の行った就職活動対策の主な内容です。エントリーしようとピックアップしていた企業数は100社を超えていたと思うのですが、実際にエントリーできたのは30社ほど。当時は大学の講義と卒業研究とバイトと、ほかにもやるべきことがあったので最小限に絞りました。
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 活動期間としては大学3年の秋から4年のゴールデンウィークごろまでなので、約半年くらいでしょうか。最も忙しかったのは2~4月です。
 私は最終的に出版社に行けませんでしたが、予備校の友人数人は見事出版社に入社し、編集者として活躍しています。また、別のグループの人の話ですが、就職浪人をして次の年に希望する出版社に内定をもらった人もいるようです。
就活生へのメッセージ
 今は私のころとは市場の状況も違い、当時よりもさらに内定をもらうことが難しい時代だと思います。また最近ではTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアを活用している学生をよく見ます。いろいろ状況も違いますし具体的に何をどうすれば、というアドバイスは人それぞれ異なるのでできませんが、1つ言えるのは自分の得意分野や興味分野と希望する企業の仕事内容がマッチするかを見極めるのが大切だと思います。
 最近読んだ本でブロガーのちきりんさんが書いた『自分のアタマで考えよう』があるのですが、その中に現代の就活の問題点ついて触れている章がありました。簡単に内容を紹介すると、今の学生は企業研究ばかりしていて自分に合った仕事を見つけるフィルターを持っていない(気がついていない)のだそうです。
 フィルターとは、業界や企業規模といったざっくりしたものではなく、例えば私の場合「(仕事を通じて)いろいろな人に会える」「自分で取材をしてその内容を発信できる」「平社員でもやりたいと手を上げれば聞いてもらえる」「通勤時間を気にしなくてよい(フレックス制度)」「東京で働ける」などです。本では自分独自のフィルターの見つけ方を紹介していますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
 私はアイティメディアに入社して今年で4年目になりました。さまざまな経験をさせてもらいましたが、それら全てが今の仕事に役立っていますし、これからもそうだと思います。思い起こせば就活もそうでした。一見、高専や大学で学んだことは役立たないかもしれないと思いましたが、入社当時配属された編集部は製造業で働く人向けの媒体だったのでそのバックグラウンドが役立ちましたし、それ以外でも実習や研修を通じて学んだグループワークの経験が社会人生活のあらゆるところで役立っています。
 学生の皆さんも、もし希望する内定が出ていなくても、最終的に行きついた場所が自分にとってよかったところと思えるように、日々を大切に過ごしてください。偉そうなことを言いましたが、私は就活を通じて新しい友人に出会えましたし、つらかった分いろんな経験をできてよかったと思います。
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