生命保険「有料相談」を行える資格と品格 その1
過去2回に渡り、生命保険における「中立」について書きました。
乗合代理店、同形態の保険ショップ(ショップでも「アフラックショップ」のような一社専属のところがあります)の提案は「中立・公正」なのもなのか、というテーマでしたが、この議論の根本的なところで忘れてはならない重要な要素があります。
それは保険の「無料相談」です。
なかには、乗合代理店、保険ショップにて極一部ですが「有料相談」を謳っているところがありますが、なんだかんだキャンペーンなどと称して「無料」にしたりするケースが多く、有名無実化していることが少なくなくありません。
つまり、ほとんどの乗合代理店、保険ショップにおきましては「無料相談」にて「中立・公正」を高らかに謳いあげてお客様を集めて、収益はきちんと保険会社からの販売手数料とボーナスから上げているのが基本的な構造です。
ここで見えて来るのは、<「無料相談」では収益は保険販売の手数料に頼るしかないので、構造的に「中立・公正」は担保できないのではないか>という議論です。
極論ですが、「無料相談」でご来店したお客様が、なんらかの理由で何も加入することなく「無料相談」だけで終わってしまえば商売あがったりで、それが半分以上を占めると乗合代理店・保険ショップの経営は成り立たなくなります。
しかし、実際には現状まだまだ国内生保加入のお客様が70%程度を占めるため、簡単にひっくり返すことができますので、特に保険ショップの多くは土日祭日年末年始営業の商業施設内に入っている優位性もあって伸してきているわけですね。
そんななかで、前々回お話ししたような保険ショップ最大手の社長の脱税疑惑とともに、「手数料優先販売疑惑」といった「保険ショップの闇」が一部マスコミで取り上げられため、業界内外では多少の波紋が広がっています。
それじゃあ「無料相談」ではなく「有料相談」ならば「中立・公正」を担保できるんではないか、と心ある(?)業界の一部の方々が考えたのは数年前です。
生命保険加入について有料で相談に応じてそれなりのフィーが稼げれば、保険販売の手数料に頼ることなく「中立・公正」な提案ができる、という単純な理屈です。
しかしながら、この「有料相談」には多くの高いハードルが存在します。
まず現状では「無料相談」が定着しているなか「有料相談」の優位性が見えづらいことです。
というか、必ずしも「有料相談」だから「無料相談」に勝つわけではないという事実です。
例えば、「無料相談」でA保険ショップで相談して提案を受けたが「良さそうだけど手数料優先かもしれなから、多少お金をだしても有料でB代理店に相談してみよう」となった場合、B代理店でもほぼ同じ提案を受けたとしたらどうでしょう。
実際には、A保険ショップでの提案をB代理店に見せて相談すると思いますが、あえて見せないでB代理店に相談した場合に同じような提案になることは充分想定できます。
(A保険ショップの提案を見せれば、重箱の隅をつついてでもよさ気な提案をしますよね)
そうなるとB代理店の有料相談手数料は、お客様は無駄な出費であったと感じます。
「何だよ、有料だとか言っても無料のところと変わんないじゃん、損した、損した」と。
他にも実務的なことを鑑みれば、様々な低くないハードルがあり、トライした方はたくさんいますが結局は保険会社からの販売手数料に依存せざるをえない乗合代理店・保険ショップが大多数です。
けれどもそんな状況のなかで、果敢に保険の「有料相談」に取り組んでいる方々もいらっしゃいます。
現状定着してしまっている「無料相談」の慣習をぶち壊そうと、マスメディアに出ていろいろな発言をされている方もいます。
「中立・公正」を担保できる「有料相談」であれば素晴らしいのですが、そうでなければ単なる「無駄なコスト」であり、その内容がミスリードであったなら・・・。
まくらが長くなりました。
本当に書きたいことは・・・以下次号です。