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「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

保険会社を分けるメリットとデメリット2

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前回は、保険会社を分けるメリットをお話ししました。
いいとこどりができるだけでなく、「告知枠」を活用すれば様々なメリットが享受できます。

基本的に保険会社を分ける、というより結果として保険会社が分かれた、ということ考え方が王道です。(中には、あえて「リスク分散」ということで保険会社を分ける方もいらっしゃいますが。)

今回お話ししたいのは、メリットの裏側にある保険会社を分けることのデメリットです。

第一には単純に手間がかかることです。

書類は国内生保お得意の「特約てんこ盛りセット」であれば、一枚の申し込み書で死亡保障から入院特約、介護特約、三大疾病特約、年金特約、保険料免除特約、傷害特約、災害特約などなど自動的に(勝手に)付いてきます。

各社の保障内容やバランスなど吟味すると、複数の保険会社に分かれて、保障の目的によって保険商品は単品でそれぞれとなりますので、申込書もその分だけ必要になります。

面倒といえば面倒ですが、合理的な保障を確保するためには当然と受け入れましょう。
「特約てんこ盛りセット」のデメリットは比べれば、こんな面倒など取るに足らないことであります。

ここまでは加入の際のことですが、給付を受けるときのことを考えてみます。

例えば、がんになって入院や手術をしたとします。
加入状況はA社で入院保険、B社でがん保険に加入していました。
そうなるとそれぞれ別々に給付金を請求することになりますので、診断書は2枚必要になります。(他社の診断書のコピーや領収書で対応してくれる場合もあります)

診断書は1枚につき3千円~1万円かかりますので、入院日数が少なかったりすると差し引きの金額があまり残らないケースがありえます。

でも、そのぐらいは受け入れましょう。
デメリットとしては小さいと思います。

しかし、なるべくなら給付金の請求などの手間は少ない方がいいのは当然です。
そこで気をつけていただきたいのは、加入する窓口です。

保険会社を分けるのはいいとしても、加入する代理店は一本化した方がいいと思います。
きちんと自己管理できるのであればいいですが、何十年に渡って普段考えない生命保険を管理するのは不可能です。

ひとつ実例を挙げます。

あるお客様は20年ほど前に勤め先の会社の勧誘でアフラックのがん保険に加入しました。
それとは別に、他のアフラックの代理店からがん保険に加入して、がん以外の病気で入院したら給付される特約を付加しました。

それから10年以上経ち、がん以外の病気で入院して手術することになり、勤め先の会社に給付されるのか問い合わせましたが、「がん保険なので、それ以外の病気で給付はありません」との返答。

このお客様の意識としては、勤め先に問い合わせているのですが「アフラックに問い合わせたが、やはりがん保険だから他の病気だと給付はないんだな」ということとなり、結局そのままになってしまいました。

それから10年経ち、ヒョンなきっかけで加入しているアフラックの保険で、勤め先以外の代理店で加入した方ではがん以外の病気での入院、手術での給付があると知りました。

仮に同じ代理店で加入していたとすれば、「2つのがん保険に加入されており、そのうちのひとつの特約で給付される可能性があります」と返答があったはずです。

このケースでは10年前の診断書が取れれば給付されることになりましたが、「ヒョンなきっかけ」がなければ永遠に給付されなかったことになります。

レアケースであると思われますが、加入している生命保険を100%認識していなければ起こりかねないことです。

防衛策としては、加入する窓口となる代理店を一本にすることなのです。
まともなところであれば顧客管理はきちんとしておりますので、何かあったときには使い倒しましょう。

できれば、その代理店に他社で加入して残しているもののデータも把握してもらって一括管理してもらうのがいいでしょう。

しかしながら残念なことに、まれに代理店が飛んでしまうことがあります。
ほとんど場合は「飛んだ」代理店の契約は他の代理店に移管されるので、そこがきちんとしていれば問題ないのですが。

最終的に何十年も経って訳が分からなくなってしまったら、加入している保険会社に直接問い合わせすればいいのです。

「それならはじめから保険会社に直接問い合わせればいいじゃん」と突っ込まれそうですが、それだと生命保険代理店のクッションとしての存在価値がなくなってしまいます。

機会があったら書きたいと思いますが、あまり公言できないことも含めて微妙なケースでは保険金や給付金の請求において、生命保険代理店はお客様と保険会社の間で貴重なクッションの役割を果たすことがあるのです。

ともあれ、前回と今回の結論としては、保険会社を分けることのメリットはデメリットを凌駕するということです。

多少の手間は受け入れて、なるべくひとつの窓口で目的別に保障を分けていいとこと取りをすることが合理的であり、
そうすべきであると思います。

 

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