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「生保」というと最近は「生活保護」の略称だったりしますが、こちらは「生命保険」です。保険会社(メーカー)、代理店(販社)だと言いづらいこと、言えないことを、分かりやすく書いていきたいと思います。新規加入や見直しの際にご参考にして頂ければ幸いです。また、取り上げて欲しいテーマがあればリクエストしてみて下さい。可能な限りお答えしていきます。

かなり気の毒なライフネット生命

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ついに出ました、生命保険の比較広告。

ネット上でナンチャッテ代理店においてやっているケースがありますが、全国紙の新聞で一面広告でオリックス生命がやってくれました。

生命保険会社が、それも全国紙に出したのは恐らく史上初であり画期的です。

業界の一部で「他社との比較資料や広告はタブー」と認識されておりますが、あくまで他社を誹謗中傷するような内容の資料や広告はNGということで「比較がいけない」ということではないのです。

しかし、あえて自社と他社を比較するということは、自社に有利な部分をするわけで、誹謗中傷にならないにしても「引き立て役」になるのは当然で、見方によっては<貶める>ように感じるケースがあります。

コンプライアンス(法令順守)が叫ばれる現在、保険会社各社においてお客様、または不特定多数に提示する資料や広告に「募集資料NO.」をつけて管理しています。
つまり、すべて各社のコンプライアンスを管理する部門がチェックしてナンバリングされたものしか表に出ないことになっております。

各社ともども他から突っ込まれるのが怖いので、また逆ねじもありえるので、募集人や代理店が<画期的な募集資料>をつくって「募集資料NO.」をもらおうとしても却下されてしまうか、骨抜きになってしまっていたのです。

もちろん「社内限定」「ここだけの話し」「研修資料」などの名目でアウトされて漏れてくるものありますが、これだけ堂々と出てきたのは驚きでした。

ただ、内容については全く驚くべきことではなく、数年前から分かっていたことでした。

オリックス生命が出した比較広告の内容は、自社とネット系生保の保険料と保障内容の比較です。
比較対照の保険会社の名前は濁していますが、一部がライフネット生命であることは間違いありません。

このブログで少し前に「ライフメット生命はどっちに向いているのか」というタイトルで書いていて、そこで提示している内容と概要は同じことを掲載しています。http://blogs.bizmakoto.jp/shigotonin/entry/4696.html

死亡保障、終身の医療保険についての比較ですが、保険料やその他の比較において明らかにオリックス生命の方がアドバンテージがあるといった内容です。

死亡保障については、被保険者(保険を掛けられている人)が亡くなれば保険金が出るだけなので、保険料と保険金の比較となりますが、医療保険(ここでは入院保険)については保障内容についての比較もあります。

オリックス生命の方が少々保険料が安い上に、内容としても重大な7大疾病についてオリックスは入院日数の延長あり(60日→120日、ライフネットはなし)、所定の手術はオリックスは20万円(ライフネットは基本プランでは手術給付はなしでオプションとなり更に保険料の上乗せが必要)で、どう見てもライフネット生命よりいいのです。

「生命保険の原価は全社同じなので、人件費を含む経費となる<付加保険料>の違いが保険料の違い」とかなり大雑把過ぎる理論を展開して、「販売の人件費をかけなければ<付加保険料>は大幅にカットできて保険料は半額になる」と大見得を切っていたのがライフネット生命の出口社長です。

どこと比較して「半額」と言っているのか明確ではありませんが、大手国内生保の一番高いものとの比較なのでしょう。
しかし、実際には今回のオリックス生命だけでなく、アフラックやメットライフ・アリコ、その他損保系などなんぼでもライフネット生命よりアドバンテージがあるところは多々あります。

出口社長の古巣であるリーディングカンパニーの日本生命を筆頭に、ふやけて人件費が膨らんでしまっている大手国内生保よりマシなだけであって、まともな外資系、カタカナ系、損保系と比較して、はっきり言ってライフネット生命のアドバンテージは極一部を除くとほとんどありません。

単純に保険料がまともなところに比べて高いです。

ライフネット生命の理屈であれば、生命保険の原価は同じなので保険料の差は<付加保険料>、つまり人件費を含む経費の差ということになりますが、まともな保険会社に比べて経費を多くかけているということになります。

山手線のドア横にB3ポスターを出したりして無駄な広告宣伝費を使っているのか、出口社長をはじめライフネット生命の皆さんが法外な報酬を取っているのか、株主の配当に回そうとしているのか不明ですが、まともな他社より無駄な保険料負担をさせようとしていることが、今回のオリックス生命の比較広告で白日の下に晒されてしまったのです。

せっかく創業時から、ネットで生命保険を安く売るという「斬新なビジネスモデル」で話題となり、株式上場まで果たしたのに、今回の比較広告でインチキがばれてしまった、というか知らなかった多くの層が知ってしまった可能性が高まってしまったのはお気の毒です。

※業界ではライフネット生命の保険料が決して安くないことは常識で、保険業界知ったかぶりの一部FPや、ひも付きのナンチャッテ保険評論家が推進しているだけです。

ただ、今回の比較広告ですが、比較対象がAとかBとか濁してあるので、一般の方がライフネット生命だと認識できないかもしれません。
堂々と<ライフネット生命の「じぶんへの保険」「かぞくへの保険」>と明記すべきだと感じましたが、それではさすがにオリックス生命でも刺激が強すぎると思ったのでしょうか。

アメリカではペプシが思いっきりコカコーラを貶める(逆だったかな)CMを作っているのですから。

他にもいろいろ書いています。
ご興味があればお立ち寄り下さい。

保険選びネット
http://www.hoken-erabi.net/seihoshohin/new_2005.htm                   <具体的な商品の比較など月一で書いています(ほぼ月末更新)>
特約なしとなったニッセイの商品についての考察です。

ヤフー知恵袋
http://my.chiebukuro.yahoo.co.jp/my/shigotonin38
<知恵ノートはほぼ月二で随時更新、生保関連の質問にも答えています>
ご指名の質問大歓迎です。

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